速報→「のるもの案内」時間堂+スミカ
2010.8.21 16:00
原田優理子のユニット、スミカの立ち上げ公演は時間堂との共同で。短編2編休憩なし60分。22日までMODeL T。1ドリンクと、おみやげにお菓子がつきます。小さな空間であることもあって、前売り完売。
早朝の山手線の中、池袋をでたところ。呑み会帰りらしい若い男女。男は写真の夢を熱く語り、女はそれを素直にすごいと思いながら、自分はなにになりたいか今一つ強い意志をもてずに、菓子作りの専門学校に通っている。少し離れて一人で乗っている朝帰りらしい男、駅で乗り込んできたスーツケースを抱えた女は知り合いだった。久しぶりの再会に驚きながら、互いの近況を探る微妙な距離感「池袋から日暮里まで」
空港で飛行機を待つ女。彼女のことをご主人様と呼ぶ彼は、この旅行で常に傍らにいるのだ、という。彼女の母親とも旅を共にしていたらしい。そこに長いことずっと傍らにいたという男女が、自分たちをおいていくのか、と二人の旅立ちを止めようとして「真ん中から少し浮く」
旅とか乗り物にまつわる短編二つを核に、役者のゲームとかちょっとした動きを重ね合わせての60分。「宿題」と称して、「思い出深い旅の行き先とそのコメント」を観客にカードに書かせたものを壁に貼り、その場所やコメントを何気ない会話の話題として使うスタイル。
オープニングのダンスは寝ている女たちを引き起こす男たちが担いだりして、男と女が居るこの世界を色気のあるシーンにして印象的。時間堂とも、原田優理子の所属するトリのマークとも違うテイストを印象づけます。
「池袋〜」は15min madeで上演されたものの原田優理子演出による再演。初演に比べるとこじんまりした空間。初演の動きをあまり覚えていないけれど、二組の男女を背中合わせにして動かすというスタイルは列車の大きさを想像させるようで楽しい。トランクを役者が演じるけれど、それ自体にはあまり大きな意味はないように思います。 若い頃の何でもできそうな自信に満ちた時間と現在のギャップを鮮やかにみせる本作は、30代ぐらいから後の世代にはスタンダードという味わいすら感じさせ、あたしの気持ちを揺らす一本であることを再認識。もっと「マカロン、マカロン、マカロン」のおまじないを強く見せた方がわかりやすいんじゃないか、というのは初演の時と同じ感想。
「真ん中〜」は作家の初脚本だといいます。ふつうの日常を送っていて、仕事もそこそこきちんとやっていて、部下もできるように過ごしている彼女が、突然旅に出るのは、ということなのだけれど、その理由をことさらに深堀りしたりはしなくて、その気持ちの揺れを丁寧に形にするということに主眼があるように思います。
★ねたばれ★
「真ん中〜」では役者をトランク、携帯電話、日記帳に見立て、トランク一つ、過去の象徴たる携帯や日記帳をおいていく、というあたりの見立てが楽しい。
物語が語ろうとしていることが本当は何なのか、実はよくわかってなかったりしますが、 日常ともっとも結びつく、女の母親のこと、散らかった部屋の中にトランクを見つけて、旅に出ようと夢想した女のことなのか、とあたしは感じました。
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コメント
ぼく、宿題に「フィンランドのヘルシンキ」って書いたんですよ。そしたら、役者たちが「奇跡だ」とか言いながら見てたので、何のことかと思ったら、そういうことでした。千秋楽の奇跡ですかね(^^
投稿: Cyclone_A | 2010.08.22 23:02