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2010.08.16

速報→「トップ・ボーイズ」フライングステージ

2010.8.15 14:00

「トップ・ガールズ」に着想したゲイたちの物語、フライングステージの新作。110分。15日までOFF OFFシアター。

ゲイ同士で日本では始めての結婚式をあげたカップル。その新居に集まったのは、歴史上の著名なゲイたち。しかし、カップルの片方は現れない。同じ会社につとめる二人。二人はゲイのカップルであることを隠しているが、片方は自分がゲイであることを周囲に明らかにしているが、その相手は、周囲はおろか親にすらゲイであることのカミングアウトしていない。

前半はゲイにまつわる歴史上著名な人々を登場させ、そこに至る背景を描きます。同性愛自体が犯罪という西欧の時代、男色自体が問題にはならなかった時代などを通して彼らが勝ち取ってきたことを描いていく部分、そういう背景に疎いアタシです。喋っていること自体は理解できても、それをエンタテインメントとして楽しむというところまではなかなかいけないのがつらいところ。

現代のゲイカップルを描く後半は、打って変わって実に見やすい。同性愛を社会が認めることを勝ち取った、という前提で描いていて、前半にあったような犯罪なんていわれることはなくなっているはずなのに、カップルの一人はカミングアウトできずにいるのです。一人はあっけらかんと公言しているのに、一人は隠したいという意志が強く働くこのギャップ、二丁目という特殊な場所はあっても、隠して生きている(劇中では「クローゼットの隠れゲイ」と揶揄される)生き方もまだ生きていて、みんなが認める時代に流れていくのは明らかなのだけれど、その足並みがまだそろわない。自分は自分であれば大丈夫、ということはタテマエとしてはわかっていても、一人では生きていけないわけで、そういう過渡期の物語はおそらく作家やその周囲にとって切実な問題なのです。

役者もそれぞれ魅力にあふれています。母親を演じた石関準のおおらかに包み込むようで、母性を感じさせる美しさ。オバサンであるところの近所の主婦を演じた関根信一とあわせ、後半部分のコミカルなところを徹底していて印象に残ります。メインのカップルを演じた羽矢瀬智之、久米靖馬はことさらにゲイっぽさに走らない自然さが好感。ますだいっこう演じるアランも不思議な説得力があります。まあ、あたし自身がチューリング、ってのに馴染みがあるということかもしれませんが。

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