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2010.08.29

速報→「ログログ」キリンバズウカ

2010.8.28 19;30

キリンバズウカ、年に一回のペースで三回目。トラムで。110分。29日まで。

病院を辞め一軒家を借りてカウンセラーをする男、引っ越しを手伝う人々。中学の同級生たち。その中の一人がつれてきたのは、中学時代、校舎から飛び降りて、しかし助かった男。記憶が飛んでいるばかりでなく、「人の記憶を自分のものとして共有してしまう」のだった。

中心となる記憶の物語以外にも、夫婦の間の闇めいたこと、片思いし続ける女、浮気を疑う女、捜査することなどさまざま。記憶を自分のものとしてしまう、というニイムラ(三浦俊輔)以外の人物たちの記憶も混濁していて、取り違えていたり、たった一言に拘泥していたり、たった一人に拘泥していたりと、記憶や想いというものの、アテにならなさ。それぞれがありそうな感じにきっちりと作り込まれていて見応え。

たとえば「頭の中の記憶を消してしまう消しゴム」というワンアイディアが秀逸なのと同様に、少し説明が必要だけれど「人の記憶が自分のものになってしまう」という設定は圧倒的にキャッチーなのです。このアイディアで勝ったも同然、そこに役者陣も充実。ならばもっと、と期待してしまうのが観客の勝手な想い。

もっとも、物語も役者も隙はありません。すでに観たことのある役者が多いということを差し引いても、得意技も、もうすこし別の引き出しもちょこちょこあって、観ていて安心感もお得感もあります。 中山智明は怖さと優しさを合わせもち、傍線のようでいてものがたりの中にしっかりと軸を。こいけけいこは得意なキャラクタという印象はあるものの、それゆえにのびのびとしていて印象深い。岡田あがさは普段見せるよりは一歩引いた可愛らしさが印象的、終盤のちょっとしたステップがすごい。堀越涼の間合い、金沢涼恵に以外にない大人の女約、川田希は静かに見せていての終盤がちょっとすごい。

。 正直に言えば、劇場のだだっ広さをうまく処理し切れていない感は残ります。競泳水着よろしく、舞台上に何カ所かのアクティングエリアを配しています。上手の客席側となるカウンセラーの部屋というのがもっとも中心で、ここの芝居がほとんど。潜り込めただけで感謝なのだけれど、下手側からでは全体に遠い印象があります。まあ、ここに限らず公共系の劇場の多くが抱える問題ではあるのですが。

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