速報→「猫のサロン ~奇譚集~」猫の会
2010.8.28 16:30
北村耕治の作品を上演する猫の会の企画公演「猫のサロン」。夏らしく少し怖い話を1+2+3人芝居の三本立て計60分。30日まで、小劇場・楽園。
毎日出かける男の前を黒猫が通りすぎる。妻とも話しているそんな毎日を過ごす中、猫の姿が見えなくなる。男の帰りは遅くなり「猫の通り道」。
亡くなった女を弔問に訪れた男。出迎えたのは妹と名乗る女。居心地のわるくなった男が帰ろうとすると、靴がなくて「猫のいる部屋」。
久しぶりに里帰りした三女、居眠りする畳の上。晩ご飯の準備もそろそろ、というころ。起こした長女は祖母から教わった"猫童子"の語りを近所の子供会でやっていて「猫童子」。
夏らしい不思議な物語を三本でコンパクトに。いろんな役者で観たい気もするポータブルな芝居。 新聞紙を丸めて敷き詰め、斜めに走るたくさんの細い棒の抽象的な舞台。ちゃぶ台が中央。天井から電球。
「〜通り道」は、佐藤達という役者の独り語りの口調。普段彼自身がやっている独り芝居のようなゆるさ、笑いというよりは、もうすこし男の独り語りにシフトした印象。「妻」のことを想っていないわけではないのに、距離が出来てしまうという男のどこかもの悲しささえ感じさせる機微の味がいいのです。
「〜部屋」は、ホラー風味の味付け。序盤のちょっと理不尽な"妹"のやることの理由が見えてくる後半でどんどん怖くなるかんじ。そこの部屋にいる「おばあちゃんの猫」はなんだったんだろう、と感じたりはします。でも、どうもちょっとちぐはぐな感じで進んできたやりとりが、静かに翻弄されるだけだった男がはき捨てる「小遣い」の一言でぴしっと合う感じがぞくぞくします。
「〜童子」は夏の日の畳の部屋、というだけで自転車キンクリートの名作「蠅取り紙」という印象をもってしまうのだけれど、語り口も少し似ています。猫童子という童話の語りをめぐるこの家族たち。田舎を感じさせる為かどうかの名古屋弁(だよな、これ)はそうすべきなのかどうか難しいところだけれど、夏の帰省という場面の感じがよく出ています。
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