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2010.08.15

速報→「さらば八月のうた」M.O.P.

2010.8.14 14:00

M.O.P.の26年目、最終公演。大阪から始まったツアーは16日まで紀伊國屋ホール、そのあと京都。休憩10分を挟み本編160分。そのあと5分強の演奏。前売りは完売していますが、見切れ席(といってもそう大きな問題ではありません)を中心に当日券も出ています。

ラジオ番組に寄せられたメール、祖父が歌っている昔の歌が何かを教えてほしいという。番組のDJは女子大生出身でそこからずいぶん時間が経っているが、その歌に聞き覚えがあるというが、スタッフは誰一人知らない。
横浜港に係留される船、その甲板で毎年8月に集まり旧交を温める人々、時間の流れには抗しがたく人数が減っている。彼らが歌う歌。
その船の甲板、かつては慰問、かつては病院船という時代を経ている。

1932年から2010年に至る時間の流れを行きつ戻りつしながら流れる物語。わりと無駄に見える部分も多いのは作家の作風なのだけれど、丁寧に丁寧に描きます。番組が続いた26年という月日を劇団に重ねつつ、そのノスタルジーに浸らないのは作家の照れか、スタイルなのかと思いつつ。

漫才師、バンド、歌手、その時代なりに職業を変えながら人のつながり。激動の時代だからこそ、「食っていける」なら何でもやる、という時代を描きつつ、劇団が解散するということはそれぞれのメンバーへのメッセージかと思ってしまうのは考え過ぎかしらん。

映画のチケット、漫才師の慰問団、ラジオの外回り中継など、無関係に挟まれたようにみえる(しかもそれぞれの時間が結構長い)のだけれど、終幕に向かってするするとつながるつくりはさすが。番組が終わったあと、終幕はテクニカルには着替えの時間だけれど、戦争前後と現代の間を繋ぐブリッジの役割を持っていて、これはこれで印象的。正直にいえば、休憩後の後半が物語の中心だし、特定の何人かの役者の魅力に依存しているという印象は否めません。でも、これこそがM.O.P.のスタイルだし、劇団ってものだよなぁとも思うのです。

見慣れた役者たちがいくつもの顔をみせるのも魅力。キムラ緑子は漫才師からDJと人物は違うけれど女性の強くなる進化の過程を見せるように力強い。三上市朗はセンセイの一本の軸でひどい男からの長い時代をきちんと描き出し、小市慢太郎は見守る男のポジションが実に暖かいのです。幾太郎を演じる奥田達士も見守るポジション。キムラ緑子・小市慢太郎・奥田達士の三人が、離婚するだのしないだのの会話をする1943年の病院船のシーン、その曲がつくられたすべての源となる結実点が優しくて美しい。

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