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2010.07.11

速報→「遊園地3兄弟の大冒険」ギンギラ太陽's

2010.7.10 17:00

地方遊園地をめぐる表題作90分+老舗デパート岩田屋をめぐる「男ビルの一生」20分を含む約120分。11日まで東京ドームシティシアターGロッソ。

天神の流通激戦区。老舗デパート岩田屋は買い取り仕入れを主とするZ-SIDEを開業するが、なかなか乗らない。長い歴史の中で何度もの危機を乗り越えてきたが「男ビルの一生」
動物とのふれあいと林間学校を軸とする子供たちのための到津遊園(いとうずゆうえん)の閉鎖が決定された。戦前から子供たちのため、動物たちのために生き抜いてきた動物園だった。西鉄を経営母体とする香椎花園(かしいかえん)、だざいふ遊園地とともに長い歴史を作ってきたが、大手テーマパークの一人勝ち構図の中ではどうにもならず「遊園地三兄弟の冒険」。

2000年初演、2007年再演に続く三演め。今までアタシが観た中でも格段に地元の話題という割合が高く、ヨソモノには懐かしさというプラスアルファがない分、なかなか乗りずらい感じがあります。動物園を巡る長い歴史をなぞっていくということを軸にしながらもどうにも地味な感じではあって、遊園地三兄弟の活躍の「夢見る」をファンタジーとして添加、エンタテインメントに仕上げています。

とはいっても、戦前の活躍、戦時中の悲劇、戦後の復興、現在の没落、そこからの新しい姿という構図はわりとギンギラの定番という描き方。安定している反面、すくなくともあたしが見ているわりと多くはこのパターンで、王道の安心感、作家の溢れる優しさの視線が心地よい半面、一歩間違えると説教くさくなるギリギリの線。

遊園地というとどうしても大型テーマパークを引っ張り出さないわけにはいきませんが、著作権ゴロのあの鼠を引っ張りだしてくるのは相当なリスクを負っています。NHKの収録用というカメラが入っているけれど、放送できたらすごいなぁ。会場である後楽園も登場はしますが、ジェットコースターの名付け親、というぐらいの薄いつながりでしかなく、ちょっと無理矢理感は否めません。

2000年初演だからかどうか、「サザエボン」や「だんご三兄弟」のような微妙に忘れられてしまってる危うい時事ネタがあったり、香椎花園がシルバニアファミリースポンサードのような形態になっていることを抜いてあったりと、現実を芝居にしたゆえにアップデートが必要なところも散見されます。

男ビルの一生は、岩田屋(wikipedia)という老舗の存在についてはさすがに福岡にこれだけ通えば知っていますが、地元の大きな百貨店が業態としてなかなか成り立たなくなってきているという厳しい現実をしっかりと見据えながらの復活劇。

閉園した遊園地にせよ、本体を売却して生き残りを図る老舗百貨店にせよ、懸命に生きる「人々の想い」をかぶり物として表現する彼らのものがたりは力強くてしっかりとしているのです。

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