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2010.06.15

速報→「ここまでがユートピア」あおきりみかん

2010.6.13 13:00

名古屋を拠点にしながら、年に2回の名古屋・東京公演を続けるあおきりみかんの新作。100分。13日までシアターグリーンBox in Box。

政府による新たな政策実験。離島に隔離された人々はそれぞれが10箇条のルールを作り、自分から半径75cm以内を自分の「独立国」とする。テリトリに入ったものはあるルールに従って相手に吸収されてしまう。その独立の中で新たな活力を見いだそうという意図だが、10人の被験者のうち、2名が脱落し、新たに抽選で選ばれた2名が実験に加わる。

無茶な社会実験という物語の嘘を有無を言わさず引っ張り込む世界。実際のところ、十分な生活の保障とか、この「トピアンルール」とか、逃げた二人は二人のテリトリで居続ければ良かっただけなんじゃないかかとか、大きな嘘を突き通すには少々違和感のある細かいほころびというか、今ひとつ信じさせてくれないところは少々惜しい感じがしないでもありません。

その社会実験で起こるさまざまな現象を世界として描き出すというよりは、むしろ作家の関心は、もう少しパーソナルな部分に向いている気がします。他の人々はすぐ近くに居るのに、その距離は好きな人も嫌いな人も等しく平等な75cmより外。それらの人々と近づきたいという想いがあっても許されないという状態の人々に何が起こるかを丁寧に。誰かと一緒に居たいと思ったり、だれとはなくとも一人では寂しかったり、自分との自問自答が繰り返されたりというあたり、特に女性からみた視点で作家の強みがあるように思います。

円形の舞台の回りに砂。ぐるぐると砂煙を上げて廻り、あるいは舞台から飛ぶように捌けたり装置代わりの直方体を出し入れしたり。スピード感は気持ちいい反面、すこしばかりの不安があるほどに早い動きができるのは役者が若いから出来るということなのかもしれません。

手塚仁美の泣き笑いに目が奪われます。後半でのもう一役に衣装で差がつけづらい厳しい状況の中でもきちんと。成田けいのクールな感じもちょっといい。

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