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2010.05.25

速報→「ザ・パワー・オブ・イエス」燐光群

2010.5.22 14:00

イギリスの劇作家、デビットヘアーの原作による、現実を切り取ったシリーズの燐光群三作め。金融崩壊のプロセスを題材にぎゅっと濃密120分。23日までスズナリ。そのあと大阪、名古屋。

ナショナルシアターから依頼を受けて取材を始めた作家。イギリスにおける金融崩壊に至る過程を聞き取り始める

日経やらワールドビジネスサテライトではアタシには耳なじみの、しかしそれはポイントの報道としてであって、一連のつながりとして理解している訳ではない出来事を短くまとめたドキュメンタリを人への聞き取りを通して描いていて楽しめます。語り口は軽快でコミカルなところもあって、おそらくはよく知られた有名人を揶揄する感じの楽しさもあって楽しめるのです。

融資のリスクを数式化し、個人のノウハウではなく誰でも参加できる形になり、債権が証券化されてリスクが切り売りできるようになったかわりに見えにくくなったことが歯止めを弱め、潜在していたリスクが吹き出す過程は劇画のように痛快でエンタテインメントとして楽しめます。

じっさいのところこれで全部理解できる、という教科書ではありません。なぜそこでおかしいと思わなかったのだろうと思わなかったのだろう、銀行はなぜ自分たちが過ちを犯したとおもわないのだろうという作家のシンプルな問いかけ。は繰り返し語られるのだけれど、ついに明確な答えは得られません。 終盤に至り、高額な報酬を得ている金融で働く人々は、リスクをとってそれを手にしているのではなく、リスクを巧妙に他人、それも弱者に追わせてプロフィットだけを得ている、という作家の視線はやはりシンプルで揺るがず、しっかりとアタシの心に残るのです。 作家を演じたJohn Oglevee、解説役となる助手を演じた安仁屋美峰はもちろんしっかりと骨幹を。藤井びん演じる銀行家、記者の木訥とした語り口に説得力、 気弱に時折でてくるグリーンスパンを演じた鴨川てんしがコミカルで絶妙。終盤に記者として現れる松岡洋子(燐光群所属になったらしい)はコミカルも持ち合わせエンタメとして楽しい。川中健次郎、猪熊恒和、大西孝洋といった面々もきっちり支えています。

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