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2010.05.25

速報→「露出狂」柿喰う客

2010.5.22 19:00

女子サッカーを題材に、部活動のあれこれ、100分。毎回トークショーが設定されています。31日まで王子小劇場、キャストをシャッフルする「乱痴気」ステージも2回(おのおの違う配役らしい)設定されています。そのあと大阪。

高校の女子サッカー部、新入生は圧倒的な力を持っているが、レギュラーになれない。我慢ならなくて先輩に試合を申し込む。人数で4対11というハンデにもかかわらず圧勝してしまう一年生を残して先輩たちはみな退部してしまう。一年生のマネージャを加え5人は、絆を深め、4人のままでも練習試合で周囲を圧倒していく。翌年、翌々年、下級生が入って来て盤石のチームに思えたが。

トークショー(毎公演後に設定)によれば、もともと女子サッカー出身のコロをメインに据えた女優ばかりの企画という出発点。サル山のように舞台中央にそびえる塔に乗り、出番でない役も含め全員がおそらく出突っ張りでそのサル山に居続けるテンション。実力と学年の上下関係という微妙なバランスオブパワーに、その年代ごとの評価軸の変化というノイズを加えながら、たった数年間のこのクラブの趨勢を描いていきます。

これもトークショーよれば、作家は今作に描かれたような「最強のセンパイを持った後輩の苦悩がわからない。高校演劇をやっていたころ、自分が最強だったから」といいます。言葉だけ取り出すと不遜とも云えるこの言葉にカチンとくる筈のアタシなのだけど、数年間見続けていると、それが本当に嘘偽りのない自身の気持ちなのだろうな、ということもよくわかって不思議と受け入れてしまうのです。

アタシは自分が最強だったとは思わないしそもそも文化系だったけれど、高校の時のアタシを真ん中にした前後一年の部活の盛り上がりはわりと最高潮で、そのあとの世代とのギャップ、という感覚はよくわかります。学校の部活動は人の入れ替わりも激しいから一年の世代の差でがらりと変わってしまうというダイナミックなところがあって、その感覚はよく描かれています。

なるほど、「最強の一期生」のパートの前半部分の圧倒的なスピードのあるエンタメ感は言葉も芝居も気持ちよくて、面白いのです。まとめ役としてのリーダ−だったり、このグループが大切だと思っていたり、冷静だったり、突っ走るポジションだったりとそれぞれにきちんとキャラクタが描き込まれていて、高校のクラブという場所の雰囲気を巧く描き出しています。

それに比べると「波乱の二期生」「驚愕の三期生」が揃い、「全体の絆」ということを云うアタリからの後半は物語としても大盛り上がりの後の「管理され」たり「しらけた」り「自由という名の放任」だったりする嵐の後の凪を描くようで、キャラクタも一期生たちに比べると少々大味で少々苦戦している感じは受けます。

とはいえ、14人の女優たちが決してアクションというわけではなく、テンションの語りで見せる芝居の面白さにやはりアタシはやられてしまうのです。薄っぺらい、と云う向きもありましょうが、あたしはそのエンタメな感じが大好きなのです。

三世代のマネージャ、岡田あがさの奇っ怪な爺風キャラ、山脇唯の二世代っぽさと切れ気味キャラ、七味まゆみはどういっていいのか、もはやモンスターの領域の凄みのようなものすらあるそれぞれに楽しめます。コロは女子サッカーとの圧倒的な相性が見ていて気持ちいい。深谷由梨香の少々病的な感じは得意な路線、新良エツ子はグラマラスなクールビューティという感じでしばらくぼおっとしてしまうアタシなのです。

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