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2010.05.03

速報→「15 Minutes Made Volume8」Mrs.fictions

2010.5.1 19:00

ショーケース企画として安定した15分芝居の8回目。実力派そろいですべてが水準以上に感じられて嬉しい120分ほど(休憩10分)。2日までシアターグリーンBox in Box。Baseシアターの場所にカフェが出来ていてびっくり。

ネタバレかも。

上演順です。

■宇宙人が来て地球を滅ぼすラストミニッツ。恋人は一緒にいるが、その滅ぼすプログラムは動作しなかった「さっき終わったはずの世界」(国道五十八号戦線)
二人の恋人の美しい終末だったはずなのに、幕切れが延期されてしまったための気まずさという感じを根底に。「終わってる」「死ね」「殺す」なんていう言葉をわりとカジュアルに使い、多数決の民意をわりと正確に瞬時に集計できるというネットな感覚のこの世代っぽさが今の肌感覚によく合います。 それなのに、男女間のそれまでの云えなかった疑問や不安を封印して万全で迎えたはずの終末が、延期ゆえに徐々に吹き出したり、問題点がずれまくったりなんてあたりは年代を問わない感じに描かれていて、コメディとして秀逸に。面倒くさい女を演じるハマカワフミエが(リアルは知らないけれど)「居そうな感じ」で印象に残ります。

■酔っぱらった女を介抱しつつ、不在の友人の家に連れ込む男。恋する気持ちはあるけれど、下心はあるような、ないような「てめぇは草食ってろ」(芋屋)
今回の座組の中で唯一未見の劇団。ベタなコメディの仕立てだけれど、草食男子と悪友ちょっと可愛い女の子という構図はヤンマガぐらいのオトコノコのライトな欲望な感じで。後から登場する兄というのが今一つきちんと腑に落ちないのは、アタシ何かを見落としたか。ドラえもんの登場人物名を異散りばめた会話がほんの一瞬登場するのだけれど、都々逸のようで楽しい。

■池袋で大きなトランクを持って乗ってきた女性は久し振りに見かける顔で思わず声を掛ける男。大塚、巣鴨の走る山手線の車内、溢れんばかりに夢を語るカップルも居て。「池袋から日暮里まで」(時間堂)
朝らしい時間帯、ほんの15分弱の男女の会話ふたつ。お互いのことをまだあまり知らない若い二人は、まだやりたいことが見つかっていない女と、好きなことで身を立てようとがんばっている男の会話。それよりはもう少し上の二人はさらなるステップアップで海外にでていこうというトランクを持った女と、久しぶりに再会した男はどこか煮詰まった感じ。 一つの流れのなかののプロローグとエピローグという雰囲気で、徐々に二つの物語がシンクロ。新鮮な感じでも、もと恋人風でも、距離感を詰めてもいいのか、それはしてはいけないのかということを推し量るやりとりが実に瑞々しくて好きなのです。
金子久美が圧倒的な美しさでちょっと見とれる感じ、役者としてはおそらく初めて拝見する黒澤世莉も、不器用で引きずる感じがちょっとはまります。
トランクをもって日暮里で降りるというラストがいいな、と思ったけれど、よく考えれば池袋からNEX乗ればいいじゃん、というのは云いっこなし。
正直に告白すると、この二組のカップルがつながるということがよくわからずに観てしまったあたし、会話でピースをはめていく力が本当に落ちているのを実感。やばい。

■部屋に居るヤンキーの面々、中央に陣取るヒカルの喋ることが、他のメンバーには難しくてさっぱり判らないけれど、崇め奉っている。ヒカルはその面々が愛おしくて仕方がない。ある日、街の様子がおかしくなり、そしてヒカルは部屋を出て。「Yankee Go Home[ヤンキー母星に帰る]」(Mrs.fictions)
「竹取物語」の姫をヤンキーたちの超越したリーダーに置き換える、というかなり無茶ぶりな構造と、ふつうとはちょっと違う(作家は千葉特有の、というが真偽は不明)ヤンキーの会話をきっちり詰めている感じ。会話のリズムも価値観もアタシとは違うけれどある種のリアルを感じさせます。
正直に言うと、これまで主宰団体としての実行力は感じていても、芝居そのものはどうしてもラインナップの中ですこし埋もれる感じを受けることが多かったのだけれど、今作はそれに負けない確かな会話劇にきっちり。

■人質を取り立て籠もった男。建物を囲う警官たちもなかなか手が出せないが、交渉人を立てて中の様子をうかがおうとして「R.F.D」(PLAT-formance)
今回のラインナップの中ではもっともコントよりの仕立て。二人しかいない役者が何人もの登場人物を切り替えに違和感なくつなぐちからが圧巻。全体に洒落ていて、スタイリッシュなのもたしかに。 人質、立てこもり、警官、交渉人の、笑いをとりながら進むものがたりが、最後の一瞬でくるりとひっくり返りスタート地点に戻るような「メビウスの環」の効果は圧巻。これはたった二人でこれを成し遂げるのがすごいので、三人四人では何の感動もなくなりそうな絶妙のバランスで成り立っていることが奇跡のようで、ライブを見た満腹感。

■東京に出てきた頃の男、大学入学式の前日の渋谷で雑踏に圧倒される中、すれ違った女の姿。あれから10年が経って、少しは東京に慣れただろうか。「TOKYOが始まる」(TOKYO PLAYERS COLLETION)
劇団競泳水着の上野友之が立ち上げた新しいユニット(そういえばコントはどうしたんだろう)。彼自身はおそらく東京育ちじゃないかと想像しますが、東京という特別な場所にでてきた若者の高揚感が実にいい感じ。それなのに、すれ違う女性のことがものすごく気になったり、東京は怖いなとおもう感覚の、この年齢っぽい感じが実にいい。発売中の「漫画アクション」の福満しげゆきも偶然東京のあこがれとギャップのようなものを描いていてシンクロにびっくり(79話。これを書いている瞬間はネットで期間限定配信中)。劇中で大学入学式前の男の頭の中の感じが、福満しげゆきだよな、と思っていたのです。 TOKYOを女性に置き換えて、どこまでアタシのこと知ってるの、と云わせるあたり、実に色っぽくて、印象に残ります。

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