速報→「夕焼けとベル」カムヰヤッセン
2010.4.4 15:00
カムヰヤッセンの新作。島に暮らす人々と島を巡る想いの100分。11日まで王子小劇場。コの字型の客席、客席入り口に近い側の二辺側が舞台の正面になるようです。
一隻の小さな船だけが渡る手段の島。裏側になる西の集落は独特の生活習慣を持っていて島の他の集落との交わりは薄い。その集落で時を告げる鐘をついている男の子の家は西の集落の長らしい。その同級生の女の子の家は表側の集落で、駐在の父、民宿を営む母親、発達障害らしい姉と暮らしている。その民宿に映画の撮影だという若者5人がやってくる。
二組の姉妹。姉・妹に対する素直になれない想いを物語の骨格。その物語の骨格が見えるまで、ごくごくゆっくりと丁寧に、その家族と背景を断片として積み上げていきます。断片としてそれぞれのシーンは丁寧に描かれるものの、物語の運ばれる方向がなかなか見えない序盤に観客としてのアタシが気持ちを乗せるのは少々ホネではあります。事件としての何かを期待するよりは、人々の関係が浮かび上がってくる過程を楽しむのが吉。
骨格が見えはじめてからは、アタシの気持ちを物語にのせるのは実にスムーズ。姉妹の想いが語られるのはかなり後半になってきますが、この小さな一人一人の気持ちの一点に向かって描き出そうとする作家の視座は揺るぎません。
正直にいえば、全体の雰囲気は少々地味めなところがあります。その中にあって重実百合演じる妹は、想いを担うと同時に、コミカルな会話の巧さ、ぎこちなさげな動きも併せてとても印象に残ります。川村紗也演じる自暴自棄な女、序盤の少々色っぽいところもオヤジなアタシにはどきどきなのだけど、全般にかっこよい。
å コの字型の客席の一番奥に座ったアタシです。部分的にはボーナストラックな感じの、この席でしか見えない表情のようなものはありますが、全体に入り口側を向いての芝居が多く、そこかしこのシーンの表情をメインに楽しむならば、そちら側を。
終幕は少々びっくり。それをことさらに強調したりせずにさくっと流してしまうあたり、少々もったいない感じはしますがこの作家らしい。この季節らしくて美しい。
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