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2010.04.19

速報→「ぼくらのアイドル」味わい堂々

2010.4.17 19:30

アタシは初見の劇団です。アイドルに翻弄されるファンと、不自由で恋愛も出来ないアイドルたちのものがたり90分。21日までOFF OFFシアター。

海辺のコンビニ。店長の弟は学生でいじめられ気味。バイトの女は垢抜けない感じだけれど男性タレントのファンでテレビの収録がある火曜日には休みを取って何時間もかけて出待ちをしにいくほどにはまっている。そのタレントは女性アイドル歌手とお忍びで、この海辺にやってくる。

アイドル自身、憧れるひと、翻弄される人、アイドルを核にしたさまざまな人々を切り取り並べ見せていきます。タレントに憧れるあまりに生活に支障を来しかねなかったり、アイドルをどこまでもココロの中にしまい込んで大切に拘泥してしまったり、あるいはアイドル自身だって恋もしたいのになかなかそうもいかないなど。戯画化しているけれど、憧れる何かへの行き過ぎた感覚のとらえかたは面白くて腑に落ちます。

たとえば店長とバイトの駆け引き会話の凄さ。休みを取ってデートに行きたい店長と出待ちのためにどうしても休みたいバイト。表面的にはごく穏やかな会話なのだけれど、互いに一歩も引かず、というよりはまったく歩み寄ろうとしない会話の迫力を静かに感じるのです。特にタレントにはまり込んでいるバイトの女の「静かに常軌を逸した」感じはもしかしたらアタシも他からみたらそう見えているんじゃないかという感覚の空恐ろしさ。 「あたしからユーシンをとったら」という台詞が、アタシ(にとっての芝居)という感覚にはまりこみます。

崇拝する人に対して近づきがたいという感覚のある種の奥ゆかしさは女性の作家らしい距離感で心地いい。酔っぱらってるというのではなくて、仕事(など)のストレスで吐くという感じも腑に落ちる感じがします。

弱点がないわけではありません。役者がいくつかの役を持っている構造なのにどの役なのかを峻別しずらいところが何点か。終幕で「店長の彼女」を見て驚くポイントが今ひとつ腑に落ちるような落ちないような。 あるいはなぜそこまでファミマにこだわるのかも今ひとつ。制服もそれっぽいし、入店音(ピンポン×3)とかにこだわったわりにPOSでもなく、ディスカウントスーパーのように棚に段ボールというのがちょっと不思議なバランス。

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