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2010.04.04

速報→「乱反射ドロップ」みきかせプロジェクト

2010.4.3 15:00

リーディングだけにとどまらない「みきかせ」というプロジェクト。二団体ずつ二バージョン、計4団体。そのうちの、こゆび侍と本田ライダーズのイチゴ組。転換を挟み90分。4日まで、ワーサルシアター。

蟻地獄に落ちた蟻。蟻地獄に毎夜おもしろい「お話」を聞かせ続ければ殺されずにいられるという。「私と彼氏の物語」を語って何とか助かったが「網膜火傷」。
小学五年生の女の子には、許婚者がいる。その大切な結納の日、家宝の「河童の皿」を隠してしまうが、その皿を狙った怪盗を名乗る同級生の男の子と出会ってしまう。男の子の両親はその海の外側に投げ出されてしまったのだという。海の外で生きられるのか、二人は決死の覚悟で「二匹のマシンガン」。

網膜火傷はこゆび侍での2007年作を約半分に短縮しリーディング形式に。物語を語ることで命をつなぐ、というどこかで聞いたような話の枠組みだけれど、それにとどまらず、人の物語を奪ったり、打算だったりとのイヤな気分全開な書き込み方。もともとは「蟻たち」だった部分を一人の「男」に集約させたことで物語の骨組みがシンプルにわかりやすくなっています。

低く押さえた台詞という微妙なバランスの上に成り立つ語り口という感じはあってそれすらたった4人でバランスを成立させるのはとても難しいことをやっているのだと思うのです。

客演・瀧川英次の圧倒的な存在感。蟻地獄が絶対のものだと感じさせ、その弱さもあわせ持った確かな力。

「二匹のマシンガン」は、 人類の進化の過程の失われた時期、人類は海の中にいたのだという想像を物語のベースに。海で暮らす人類という大仰でマンガのような構造の中に、ボーイミーツガールなものがたりを強固に組み入れています。 ト書きが効果的に効いていてスピード感、軽快な語り口はラジオドラマのようで楽しめるリーディングとしての完成度が高い。基本的に動きらしい動きをする部分はごく少なくて、役者の表情で見せる感じ。この雰囲気は、つめきりの「スイッチョン」に出てきた声優のシーンにちょっと近い感じ。「みきかせ」という点では独自性は薄いといえばそうなのだけど、楽しめる一本なのは間違いがなくて。マシンガンを手に入れると豹変する感じ、男の子より女の子の方がませている、という小学五年生らしさってのも、その属性だけで一瞬にして雰囲気を作ることに貢献しています。

ト書きを読む加藤智恵は脚立の上という更に制約された場所での表現の豊かさ。女の子を演じた生見司織(ヌクミシオリ)、男の子を演じた印宮伸二(イングウシンジ)の二人の軽快なコンビネーションも魅力的。

「みきかせプロジェクト」がリーディングをさらにどうしたものにしたいのか、ということは今ひとつ見えてきませんが、単なるリーディングにとどまらず、しかし上演するまでの障壁を低くすることには貢献しています。相鉄本多劇場が一時期やっていた「横濱リーディングコレクション」(サイト内検索)に雰囲気は似ています。上演の障壁を低く、繰り返しに耐えるモノをつくっていくというのはいいことだと思うのです。

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