速報→「スイングバイ」ままごと
2010.3.15 19:30
岸田國士受賞後の初めての90分。会社と時間と家族を巡る物語。28日までアゴラ劇場。CoRichチケットとしてはほぼ全日程が完売に。
地下300万階、地上2000階を超える大きなビル。毎朝「社員」が通ってくる。会社の社内広報部門。新入社員がやってきて、会社を去る人もいて。
タイムカードを模したチケット。持ってはいるわくわくな感じ。エレベータに乗るのも楽しい。サッカーコートのようなフィールド。「わが星」につづいてかどうか「わが社」の物語。会社に入ってくる新人、先輩たち、年上の彼女、退職者、その妻・娘。会社で目立たないけれど長くつとめているおばさん、窓際の人。ビルのフロアの上方向を未来に、下方向を過去と設定。地球全体の時間を枠組みにしながらも、最終的には会社人生を物語の主軸に据えています。
毎日の変わらない日常の繰り返しというサラリーマンの毎日を、植木等風ではなくてポジティブにポップにとらえるのはイマドキの生活感覚からすると新鮮ですらあります。そのポップさをベースに当日パンフにある父親の定年退職のこと、社内結婚であるその妻、その娘の関係というウエットなものをトッピング。こういう「ふわっと」するような気持ちになる描き方は鋭く、持ち味なのです。夫婦の退職間近な会話なんてのは、泣いてしまう。
あるいは目立たなくても大切な仕事をしている「掃除のおばさん」、新人のわりになんかちょっと甘酸っぱい香りの話をとりまぜて、あるいは重なって。
反面、一フロア一年といってみたり、一フロアが一日になったり、回想っぽかったり、実際に時間を行き来してたり、あるいは「会社を辞めること」が意味するモノがいまひとつ見えきれなかったりと、荒っぽさはすくなくとも初日時点ではそこかしこに残ってしまうのも事実。長い公演期間を生かして、どんどん成長していく予感がします。
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