速報→「月並みなはなし」時間堂
2010.3.13 13:00
時間堂・黒澤世莉の代表作、時間堂名義での三演め( 1, 2)。 気がつけば他劇団へのものも二つみていました( 1, 2) 。105分。14日まで座・高円寺2。気合いの入ったフルカラーのパンフレットはこの三演すべてのキャストが写真入りで並べらられていて、すべて観ているアタシには宝物のように嬉しい。
月移住の選考に漏れた人々の「残念会」に集まる人々。突然現れた役人は欠員を埋めるため、この中から代表者一名を選べという。制限時間は60分。
なんだかんだいって三回とも観ているあたし。ステップアップしたというか、役者も舞台もより洗練され、良くも悪くも「まるでパルコ劇場」という印象を持ちます。役者の荒っぽさからくるある種の味は陰をひそめ、役者と演出のちからでしっかりと作り上げたもの、という印象の仕上がりに。
観客と同じ視点での「聞き手」となるセガワミミを演じた大川翔子は妹っぽさの初演、謎めいた再演のいずれとも違う新たな造形が印象的。熱いエレガ、オノデラキリンを演じた高島玲は、いままでのこいけけいこ以外ではどうにもしっくりこなかったこのキャラクタを「熱さ」を中心に作り上げていて新たな魅力へ。反面でどうにもいままでの役者たちの印象も強く、アタシにとってはそれが見え隠れてしまうのは痛し痒し。
一人を選ぶために話し合う課程で浮かび上がるそれぞれの事情。昨今の自分の事情もからみあって、いままでとは全く違う風に見えるアタシなのです。月に送るなんて大げさなことじゃなくても、転勤に伴って単身赴任するか帯同の異動となるか、ここに居続けるかどうするかなどという、ここしばらくアタシの周りのみんなが悩み抜いたことが箱庭のようにコンパクトにパッケージ。
初めての劇場。椅子も快適で、芝居見せる空間としては広すぎずむしろ1Fの座・高円寺1よりも見やすい印象。
ネタバレかも。
終盤での管理官の一言、なぜこんな選び方をしたのか、という理由を問われた管理官の台詞が初演再演と大幅に変更。台詞を覚えないアタシでも印象ががらりと違うぐらいに。同様に感じた人は居るようで土曜昼の回のトークショーでの観客からの質問にも。作演によればそれは「理不尽なことの理由は、むしろ知らされないことの方が多い」という最近の考えに基づくものだそう。なるほど、転勤は突然降ってくる(泣)ように、生きているあたしたちの視点ではたしかにその通りだし、そういう描き方もあるとは思うのです。でも、それをいっちゃあオシマイよというところもあって、そこに何かの落とし前をつけることもまた物語が持つ力なのだろうなとも思うのです。
それでも、そのおかげで物語の芝居の「売り」となっている「遠く離れる恋人たち」を軸とする人々の関係の提示は相対的に濃くなっていて、終幕直前の無言の恋人たちのシーンはより美しく感じられるのです。
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