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2010.03.14

速報→「風の杜」菅間馬鈴薯堂

2010.3.13 19:30

菅間馬鈴薯(ポテト)堂、劇団卍時代のほぼ25年前の作品だといいます。劇作の改訂稿から決定稿までもネットに全文掲載という心意気はもっと知られていいと思います。15日まで王子小劇場。125分。

銭湯に行ったあと行方不明になった老婆、四ツ木橋で発見された。彼女の証言は、広場で狐を見たのだという。が、彼女はその後死んでしまっていて。

ドサまわりを題材にした熱情と人情が持ち味だとおもう最近の芝居になれていると、ある種「ど・アングラ」仕立てにはびっくりします。彼ら自身が「楽しくて、とても暗い迷作」というとおり、実は物語がよくわからなかったり、レビューっぽかったりするのだけれど、その世界に60分浸ったあたりから、なんか楽しくなってくる不思議な感覚。

舞台には柱が三本、電柱を模したのか、白熱灯がついていたり。客席には下手手前から上手奧向かって斜めに突っ切る花道。おかげで土曜夜の客席は芸術的とも思えるほどの超満員。あとは見た目にはほぼ素舞台。そこに幕が仕切られたり、とさまざまな世界が描き出されます。

男たちが語るのは物語の背景らしきもの。行方不明になった老婆が久しぶりに発見され、その理由として口にしたことが語られ、死んでいることも。それに続いて和服に身を包んでの宴。詩だったり歌だったりとさまざまに。後半で一人の死に至るけれど、なぜ死んだかの事件めいたことを描き出したりの終盤。物語を追っかけようとするとかなり無理があって、これをアタシが面白いと思っているかというと本当のところ自信はありません。

でも、日本のある時代の芝居の作り方の文法にそったこういう芝居を、今でも現役で役者たちと作り上げるという心意気の凄みは確かにあります。 物語に入り込むまでに時間がかかるとか、いろんな意味で古くは感じるのだけれど。それは悪いことばかりではなくて、伝えたい何かをきっちりと濃く描き出すパワーのようなものは明らかにあって、それは強くアタシの気持ちに印象を残すのです。

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