速報→「センチメンタリ」monophonic orchestra
2010.2.6 19:30
箱庭円舞曲の役者、須貝英の立ち上げたユニットの旗揚げ公演。11日までSTスポット。110分。
十年前に起きた飛行機事故で姉を失った弟。姉の夫は生存しているが、姉の遺体はいままで見つかっていない。十年目、姉の遺体を現場に葬ったのは夫である自分だと弟に告白する。
白い壁のSTスポットに燃え端のある木の造形を吊っていて。下には枯れ葉を敷き詰めて。
アタシの世代だと大学受験のころ(代ゼミで夏期講習受けていたら先生がいつまでも来なくて、来た第一声がテレビで飛行機事故の中継をみてたから、だった。忘れもしない寺田文行先生でしたが)の御巣鷹山を借景にしたような物語の背景。いつまでも見つからない遺体、探す人々、偶然居合わせる人々。
たったひとつのワン・アイディアで押し切る方法は数々ありますが、今作は正攻法、まじめに物語に向き合おうとした印象。賑やかさや物語の技巧よりは、ストレートに想いの物語。正直に言えば広げた風呂敷を回収していない人物が居たり、引っ張り回した物語の着地点に苦労している感じもします。
もう一つの問題点は、STスポットという劇場の狭さに起因します。森の中とはいえ、壁があるはずのない空間で、壁を前提にして寄りかかったり、キワを歩くようなかんじがあったりとして空間と物語に齟齬がある感じがします。
とはいえ、物語の骨格は結構好きだったりします。基本的には夫と妻とその弟という三人の物語。それだけで語ればもっとごく短いけれど強度のある物語。結果として人物を増やすことになっているのがあまり効果的でなくなっていると思うのです。
物語やら構造やらを別にすれば、役者の魅力はきちんと。玉置玲央のまっすぐな弟、清水穂奈美の第三者の視点としての位置の強さ、大石憲・伊藤一将の笑わせ具合、浅野千鶴の浮き具合。そうなのです、たとえば浅野千鶴演じる女優は物語の構造にはまることがなく、伊藤一将演じる霊能力者は物語の特異点の解決のためだったりと。
初めて書いた本、というわけではなさそうですが、手慣れた作家とは当然意味が違います。あと何本か、彼の物語を観たい、聴きたいと思うのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「地上の骨」アンパサンド(2023.09.18)
- 【芝居】「濫吹」やみ・あがりシアター(2023.09.16)
- 【芝居】「蒲田行進曲」おのまさしあたあ(2023.09.15)
- 【芝居】「SHINE SHOW!」東宝(2023.09.10)
- 【芝居】「オイ!」小松台東(2023.09.08)
コメント