速報→「ビリビリHAPPY」突劇金魚
2010.2.23 19:30
金魚と名前のついた劇団が大阪から二つある今週。東京初見参の突劇金魚。24日まで、アゴラ劇場。100分。
家に帰った女子高生を待っていたのは、強盗の男だった。彼女には夢に向かってやらなきゃいけないことが沢山あるのだけれど、人から目立ってはいけない、努力を続けることが先に花開くと考えている。そう考えて目立たないようにしているのに、なんでみんな、邪魔するの。
芝居については、ネタバレに。
アタリの多い冬のサミットですが、今作の扱いはあまりではないかと思います。大阪で6ステージで評判もいい芝居を、平日のみたった3ステージ、しかも千秋楽が18時開演では、誰を呼びたいのか、さっぱりわかりません。(一昨日よんだ「シアター!」にその記述がありますが)
初日夜にはフェスティバルディレクター。慣れない主宰を守るためかどうか、ディレクターが中心に喋る構成。巧く回している感じではあるけれど、初めて出会う主宰の言葉をもっと聞きたいと思ったのは、先週末も同様でした。
女性の作家、一人の女性を軸に物語。高校生の未来に向けての選択肢の多さにワクワクする今を起点に、もう少し先、さらにもう少し先、あるいは昔の私。別の人物だけれど、「おんなの一生」中心に据えたことで、物語の安定感が抜群なのです。
黒づくめのスミ子に対して出てくる白づくめの女。中盤で現れる彼女は妹で、母親が出ていった原因を彼女に帰するように責めているあたり、妹と対比して目立たないように生きていく方法を選んだ姉。若い頃ならば無限に広がる選択肢、そのための努力だって怠らず、王子様だけを待っている訳じゃない。という序盤の高揚感が楽しい。中盤に作家の今の年齢の先、30代以降。そこには暖かな愛情があるけれど、どうみても男がダメ。というあたり。そのあとにもっと若い頃の自分、何を見ても楽しい六歳ぐらいのさらなる紅葉。
女たちの境遇は決して幸福ではない感じ。トークショーでの質問で、この女性たちは幸福じゃないことが見えるという質問は確かにそのとおり。でも、終幕にみえる女性たちの姿は、「そのときなり」に幸福をみつける、という女性の強みを感じます。景気が悪いときこそ、こういう力なのだというのは腑に落ちます。細かな点が実にいいのです。特に伯爵と夫人。 夫は優しいし好きでいてくれそうだけど、本当に彼は私をみているのかしら、最近来たオンナノコに嫉妬するような感覚も面白い。あるいはバイトしながら追っかけをする彼女と職場のバイトリーダー君の接点。
終幕近くに時間軸を俯瞰してみせる圧巻。音楽も独特のリズムで楽しい。DASH Companyの大塚氏の照明も久しぶりに拝見したけれど実に美しいのです。
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コメント
サミットディレクターの杉原邦生です。
ご来場誠にありがとうございました。
公演スケジュールについては、毎回6〜7団体の公演日程を調整するため、どうしても公平にはならないのですが、できるだけ多くのカンパニーをご紹介できるように実行委員会の方で頭を抱えながら組ませていただいております。
開演時間については概ね各カンパニーの判断になっております。
ポストパフォーマンストークについてですが、基本的に僕とアーティストとのトークはディレクター主導で《フェスティバル》としての色を持ったトークを、質問コーナーはアーティストとお客様の時間、ということにしています。
限られた時間でのトークですし、至らないところも多々あるかと思います。
できるだけ多くのお客様に満足していただけるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
貴重なご意見ありがとうございました。
今後ともアゴラ劇場〈サミット〉をよろしくお願いいたします!
投稿: 杉原邦生 | 2010.02.24 10:07