速報→「不躾なQ友」クロムモリブデン
2010.1.3 15:00
クロムムリブデンの新作。年末年始に休演日なく公演というのもちょっとうれしい、といいながらアタシがみたのは千秋楽。95分ほど。3日までRED/THEATER。
男は職務質問に合い、鞄の中のカッターナイフをとがめられたところに刑事になったらしき同級生が通りかかり助けてくれる。同級生は男が妻に不満を持っていることを知っており、殺して初恋の女と一緒にすると提案し、さらに自分を殺してほしいと頼む。
男は自首するが、実際にはそんな事件は起きておらず、同じように自首してくる男がほかにも居る。自首した人々に共通するのは、声をかけてきた男女が居たということだった。
夢なのか現実なのかはっきりしない世界の中で カッターナイフで切りつけるとか銃で撃ち殺すなどかなり物騒な中身。無差別射殺を肯定的に、と書くと語弊があるけれど、「悪いこと」で思考停止せず、かといってそれを社会的な位置づけから裁くなんてことでもなく、「彼なりの」理由を細かく描き込んでいって、さらに緻密なダンスがエンタメとしてもきちんと成立させている凄さ。
トリップ感を映像でやるところも、それを執拗な繰り返しで表現するという手垢のついた方法で表現するところも他劇団で数あれど、彼らはひと味違います。今作は毎度毎度、おかしくなった頭の中身を(たぶん)普通の観客に追体験させるクロモリの真骨頂が高い次元で成立していると思うのです。いままでになく見やすい、という評判が立つのも頷けるのです。
職務質問を受けてカッターナイフ持ってるだけで犯罪者扱い、というあたりから銃の乱射に吹っ飛んでしまう作家の頭の中は、表現者でなければ明らかにヤバい感じなのだけど、そういう表現こそ「表現」ってものだよなぁと思うのです。一歩間違えば袋叩きにあうこういう題材をこういう描き方で扱うところはすくなくて、そういういみでも、確かな厚みを感じるのです。 森下亮は前向きすぎて滑り気味テンションの漫才師がおかしく、終盤で効いてきます。「夢」側の渡邉とかげと久保貫太郎のテンションも楽しい。中川智明の怪しい催眠術師は、いつものこの役者とは違う造型に感じるし、幸田幸子との組み合わせも魅力的。
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