速報→「足りてる男」ピンズ・ログ
2010.1.17 14:00
ピンズ・ログの新作はドラマで名をあげた俳優の事務所を舞台にした物語。がっちり組み上げられ110分にこれでもかと詰め込まれた物語が気持ちいいのです。17日までザ・ポケット。
テレビドラマで人気者となったテレビスターの俳優の芸能事務所。弟が事務所の社長、有能なマネージャーは連れ添って10年になるが、所属女優への不倫がもとで離婚することになっている。他にも俳優やお笑い、構成作家なども所属しており、テレビ局も厳しい時代だが、そこそこには仕事が入ってきているが、お笑いの方向性の違いや、恋愛もそこかしこにあって。
テレビスターといえばそれで事務所は安泰という時代は間違いなくあったと思うのです。「それで一生安泰だと誰もが思っていた」なんていう古き良き昭和は遠くになり、自分のリアルな今を重ね合わせて気持ちが震えます。
「足りている男」はイマドキからすれば少々古くさいけれども、世知辛い背景の上に、人としての想いも職人やプロとしての厳しさもきちんと描き出せる「昭和のゆとり」が豊かな物語を描き出し、世知辛さを背景にしながら、その嘘っぽくなく隅々まで行き届いた描かれ方は実に丁寧なのです。ラジオとお笑い、構成作家、はがき職人という世界への目配りも、物語の世界を豊かにしています。
ちょっと業界っぽい偽装恋愛とか、隠し子とか、離婚とか財産分与なんていうさまざまをエンタメっぽく詰め込みながら、その題材や笑いだけににおぼれることなく作家は人々を丁寧に丁寧に組み上げていて、印象に残ります。
構成作家を演じた迫田圭司の軽くてしっかりした視点は物語に安心感。事務所スタッフを演じた皆戸麻衣は事情を知らない人という重要なポジション、笑いの間がかっちりしていて巧いのはナイロン100℃ゆえか。スターでありながら尊大でもなく貫禄という点で青山伊津美は中心をしっかりと。雰囲気を全く読めないマネージャーを演じた石塚義高もその軽さ故のおもしろさが随所に効いていて物語に緩急を与えます。
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