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2010.01.31

:速報→「シンクロナイズド・ガロア」ユニークポイント

2010.1.30 19:30

数学者にして革命家・ガロア(wikipedia 1,2)と東大の学生運動(wikipedia)を「シンクロ」した90分。31日まで「劇」小劇場。近年のユニポとしてはびっくりするぐらいにエンタメ寄りで見やすいのです。

医学部の待遇改善に始まった東大の学生運動。それは広がりをみせ、安田講堂を占拠。暴力行為などとは別に演劇で出来ることはないかと一人の男が注目したのは、数学者・ガロアの物語だった。
ガロアは代数での大発見を論文に書くものの、まったく目に留められることがない。学校や権力に戦いを挑もうとする彼は屈服しない。が彼にも悪意は忍び寄る。

当日パンフによれば1970年生まれだという作演と、それよりは遙かに若い役者たち。アタシも含め学生運動を肌で知るわけではありません。ノスタルジックに描くと云うよりは、まるで数学の射影のように、二つの時間軸の物語を対比づけて見せるという処に作家の衝動があるよう。少々無理矢理な感じはあっても、決闘と機動隊突入を軸として時間軸を自在に操ってみせるのは、芝居ならではの感じで楽しいのです。

数学者というよりは革命家としてのガロアと学生紛争の対比ではあっても、数学という部分で物語の構造の繋がりが薄いように感じたのは惜しい感じ。いや、もちろん群だの体だのが物語の構造に組み込まれているのだとすると、それが理解できなかった自分を恥じるしかないわけなのですが。それにしても、占拠したバリケードの内側で、ガロアの論文を片手にチョークを走らせる男二人のシーンは哀しくて泣けてくる感じが好き。

結果として必要になった膨大な説明台詞、洪明花は狂言回しとして、鮮やかに活躍。時にコミカルときにスピード感で物語の背骨を支えます。 ガロアを演じた宮嶋美子は久しぶりの主役級、誠実でまっすぐ、なのに少々跳ねっ返りな感じによくあっていて楽しい。総長と総長代行は学生紛争の物語の中で唯一のヒールとなるのだけれど、一人で支えた宍戸香那恵は小柄な女優だけれど、実直なまでの誠実さをもつ人間と、総長という立場の建前っぽさとが同居する感じが良くあっている感じで、キャスティングの勝利の面も。演劇で、なんていう無茶なやくどころを与えられた村上哲也や泉陽二は、その虚構っぽさを持った人間というのを軽々と見せてしまうところに底力。何よりコミカルでペーソスすらあって楽しい。

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