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2010.01.24

速報→「忘れ人」play unit-fullfull

2010.1.23 15:00

フルフルの新作。90分ほど。24日まで「劇」小劇場。

漫才トリオ「アショケ」の一人が死んで一人は地元で喫茶店、もう一人は構成作家として東京で成功し別々の人生を歩んで20年。トリオは地元の元旦の祭りの演芸として人気があったが、20年目の供養として新しいメンバーを見つけて再結成しようとする。

「劇」小劇場の下手側端にある箱状の部分をツリーハウスの梯子から下る階段と設定することで見事に劇場の幅いっぱいに建て込んだツリーハウス。少々無茶な設定ではあるけれど、フルフルとしては格段に美術を張り込んだ印象で見応え。

若くはない夫婦、独り者たち。それぞれに夫婦の関係があったり、元カレ元カノ的なドロドロも今は昔程度には風化していて、表向きは普通に接する人々。年齢を重ねたなりの彼女たちの等身大がそこにある、ということなのかもしれません。

可愛らしいチラシ、序盤はわりとどたばたが続くのとは裏腹に、ある種のダークサイドの吐露が持ち味の作家の白眉は、行き場のない漠然たる不安な気持ちを抱えた兄妹のシーンなのです。 誰もが抱えるその不安を不安としてそのまま吐露させるというのは、「だから何?」となりがちで、物語の力という点では少々食い足りない感じがしないでもありません。認められない構成作家は受け入れてくれるところを彷徨しつづけ踏ん張れない感じだっり、(美人なのになぜか)独りのままでいる妹の漠然たる不安。物語としての絶対的な強さというよりは、その「気持ち」に共感するアタシで、そこがアタシがここを見続けている理由なのです。そういう意味では観客を選ぶ感じはあって、 こういう物語だからこそ、どたばたはとことん笑いに持っていってほしいところ。

男たちを惑わせ続ける美しい同級生を演じた境宏子は薫る色気に説得力。妹を演じた広瀬喜美子は普通の表情の中に隠れる孤独があたしの気持ちを揺らします。遠藤友美賀はある種の迫力がアタシは少々苦手なのだけど、今作では年齢なりに悩む面が見えてちょっと似合う感じ。

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