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2010.01.31

速報→「F」二騎の会

2010.1.31 14:00

二騎の会の新作。端田新菜と多田淳之介の濃密な二人芝居100分弱。7日までアゴラ劇場。芝居の後半に舞台前面の芝に座ったり寝たりする芝居あり、可能ならば最前列を。

部屋に戻ってきて人生初の花見ができたことに感激している女。男は冷静。「彼女にとって利益になること」を第一に考え実行する男。男は実はアンドロイド。花見やアンドロイドの所有はこの時代限られた富裕層にしかできないことだが、女は「不正じゃないけど違法」な方法で手に入れていて。

中央に大きな机というかダブルベッドを模したような大きな台。 花見の春、花火と浴衣の夏、ドレッシーな秋、クリスマスツリーの冬と四季を巡りながらがっつり二人の芝居。アンドロイドは「女の利益」を最善に考える。感情を持たないからそれは愛情ではないけれど、繰り返しによる学習を経てあたかもそこには何かの気持ちが存在するかのように「見える」のです。当日パンフで多田淳之介が語るように、平田オリザによるロボットの演劇にも通じる何かのきっかけがそこにはある感じがするのです。

ネタバレかも。

アタシが好きな「鉄腕アトム」に似た感覚。埋めきれない格差の存在の前提、人間への徹底した奉仕と忠誠、それでも規律を優先する感覚のアンバランスな感覚。時に綺麗すぎると揶揄されるアトムの物語に似た、純粋さがそこには確実にあるのです。シンプルな舞台、色気とは少々遠い感じの端田新菜という役者、逆にアンドロイドなのに色気すらある多田淳之介と、このタイプの物語の相性のよい座組とあわせて、気持ちがいいぐらいにはまるのです。

人類全体の利益を考えるとされていたアトムに比べると「おまえ」一人のことだけをひたすらに考えるという枠組みを与えたのは、あたしの気持ちを揺らします。自立した「電子頭脳」ではなく、ネットの知識を取り入れるというのもおもしろい。「人の命は地球よりも重い」なんて「建前」を嘘と論破するのは、いまの日本でやるからこその説得力を持ちます。

男が女に浴衣を着せる無言のシーンは美しく、直接的なことは何一つ無いのに圧倒されるような色気にあふれていていて見とれてしまいます。役者としての多田淳之介の色気と所作に、思わず惚れてしまうのです。端田新菜ははしゃぎっぷりと少々濡れた声の弱々しさが彼女のちから。こちらも安心感なのです。

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