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2009.12.20

速報→「エンジェル・イヤーズ・ストーリー」キャラメルボックス

2009.12.19 18:00

特に平日の集客に苦戦していると聞きますが、むしろ妻や子供をもつオヤジたちにこそ観て欲しい一本。それなりのチケット代ではありますが、当日半額となるハーフプライスも出ているようです。120分、25日までサンシャイン劇場。

会社をサボった社員がライブハウスに居ると聞きつけた編集プロダクションの社長。そこでステージに立っていたフォークデュオは自分の息子だった。終演後に詰問しようとするが、突き飛ばされた弾みで頭を打ってしまう。命に別状はなかったが、病院で目覚めた時、彼には人々が口にはしないけれど思い浮かんでいることが声として聞こえるようになったことを知る。

女子高生たちの、と云われて久しい彼らも24年目。役者の年齢幅も広がり今作の物語はむしろ等身大の西川浩幸や作家・成井豊の年代の父親の側を主軸に書いた物語。 きちんと仕事をして、子供たちも順調に育ち、嫁姑問題もそれほどには波風も立たず順風満帆な幸せな日々だと信じていた男が、他人の心の声が聴ける能力(天使の耳=エンジェル・イヤーズ)を身につけた時に耳にした家族の心のうちを知るある種の絶望感。もちろんキャラメルのクリスマスツアーですから、きちんと家族の幸せな物語にきちんと収束していきます。

家族を想っていることを自負していた筈なのに、家族にはそれが伝わっていなかったことにきちんと向き合う父親の姿は、自信をなくしがちなオヤジにこそ優しく響きます。(いや、家族なんて居ないけれどもアタシは(泣))

こう聴くと「しっとり風味」かと思えばさにあらず。バラエティーかと思うぐらいに、はじける感じも、世間がこういう世知辛いときだからこそありがたい。大げさにこけて見せるにしても、舞台の上には楽しい人々がデフォルメとともにきちんと描き出されているというのは実に貴重なことだと思うのです。

父親を演じた西川浩幸はことさらに年齢より上にみせるでもないけれど、少々古風な造形も物語にあっています。娘を演じた渡邉安理とのバランスは実に良くて、大人になりつつある女性の気持ちをベースにしながらも「子供」としして描き出していて腑に落ちる感じ。物語を時にコミカルに進める編集者の三人の力は安定しています。坂口理恵の声のすばらしさに改めて感嘆し、細見大輔の小ネタのおかげで物語が軽々と進む感じも嬉しい。岡内美喜子はメインを張らない時のこういう軽い感じもしっかりしていて素敵。

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