速報→「おしゃべりなレストラン~ア・ラ・カルト リニューアルオープン 準備中 ~」青山円形劇場
2008.12.11 19:00
20年続いた「ア・ラ・カルト」が体制を変えるためと銘打ってのスペシャル版。ゲストにかなり左右される予感はありますが、アタシの観た川平慈英は大正解。休憩10分(ワインサービスあり¥300)込みの180分、青山円形劇場。
高泉淳子の口上に続き。オーナー不在となったこの店で少し開いた扉からギャルソンは集まってきて。
準備中のレストランを訪れた女。別のパーティ会場に持っていくつもりだった料理と酒を持って店員に。「シャンパンシンドローム〜さりげなく味わいがある料理でハートをキャッチする方法」
毎年この店を訪れた男は、前オーナーからの紹介で新しいスタッフにワインのことを「僕流のワインの定義〜ワインはわからない奴ほどよく喋る」
あの女史が新しい店長候補をつれてくる。ゲストを迎えてのトーク
失恋するたびに呼び出される男と腐れ縁の女。クリスマスの夜に、レストランに居たりして「おしゃべりなレストラン〜フランス料理恋のレシピ」
休憩を挟んで、ギャルソンのショー、"Ben"、ジャクソン5風の、ゲストのショー、ほか数曲。
初老の二人、どうも微妙にぎこちないが、テーブルの真ん中の駆け引きというか。「大人のデセール〜苺ショートとショコラなんとか」
準備中のレストランの店員に振る舞っていた女、店長候補もやってきて「クリスマスに乾杯〜いつまでも準備中じゃありませんように」
毎年この季節、あってあたりまえのこのシリーズ、去年の20周年。今年の先行予約ハガキを見てびっくりのアタシです。白井晃、陰山泰がシリーズから抜けることを発表し、今年は準備中としての上演に。半分の期待と半分の不安を抱えながら客席に座ったあたしは大満足だったのです。
偉大なるマンネリ、というのはア・ラ・カルトの持ち味で、少しずつ変化しながら、そこのキャラクタたちに毎年会うための楽しみなのは確かにそうなのだけど、この変化は全体を見直すことにつながっています。それでも、これは間違いなくアラカルトの世界でもあって。
序盤には例年の雰囲気のキャラクタも多く。一人で訪れる女、タカハシ、マダムジュジュ。特にタカハシはいつもの傍若無人が楽しい反面、逆にその相手が居ないことが浮き上がってしまうのは痛し痒し。
「シャンパン〜」は気軽な肴レシピを交えつつという感じ。いままではなかった趣向で楽しい。「おしゃべりな〜」は今までもあった腐れ縁妙齢男女のレストラン。アタシはこの感じが大好きでいろんなバリエーションがある楽しさ。本作では二日間しか出演しないために書かれた台詞を稽古せずに読みながらという趣向で、アドリブ風でも、川平慈英のテンションも含めて楽しい。ショータイムはいままでの感じだけれど、"Ben"は芸として楽しいし、I won't grow upをセンター街に通う強いオンナノコの訳詞にしたジャジカルトークライブ風も実によくて。ゲストの初恋話から始まる歌もいい。「大人の〜」は初老で、でもただならぬ距離感が楽しく、まったくあたらしいフォーマット。
川平慈英のサービス精神と濃いキャラクタが、青山円形の近さで見られる幸せ。二人のパントマイマーも魅力的。特に山本光洋の芸達者ぶりが実に楽しい。
積極的で強い女と、従う男の構図は、昨今の流行ではあるけれど、高泉淳子を真ん中に置いている今回の体制にはよくあっていて。子供を描いていた一本がなくなる代わりに、全体に恋のシチュエーションに絞ったことでこの季節にはよく合うのです。いままでの偉大なるマンネリが懐かしくないわけではないのだけど、いつまでも拘泥しないで、先に進むのは大切だ、なんて自分に言い聞かせる年の瀬なのです。
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