速報→「FUTURE」ブラジル
2009.12.19 15:00
ブラジルの新作。終盤に向けての物語の収束が見事な100分。21日まで駅前劇場。
共同玄関、共同トイレの古いアパート。男の部屋は失業して司法試験を目指して頑張る男。酔っぱらって拾って帰ったバッグの中には札束が。
女の部屋は作家志望の男を住まわせている女。だめ男は美人局にひっかかり、二人で犯罪に手を染める。それでもこの場所に女が住み続けるのは。
真ん中に扉が二つ。左右に一部屋づつ。交互、対比で物語が進みます。繋がっているようでいて、結節が見えないような物語。達者な役者をそろえているので、物語が観客の目にもあきらかに転がるまでの間も飽きることはありません。
ブラジルの持ち味は予想しなかった自体に直面したときの人間のおかしな感じ、というよりは、ごくあたりまえに生きている人を細やかに描写。その歯車が狂っていく感じが緻密。たとえば櫻井智也演じる司法試験を目指す男は金と来訪者という偶然が。高山奈央子演じるだめんずの女と西山聡演じる小説家の男とか。
しかし、物語のポイントはそこではありません。二つの部屋でどう繋がるかわからないピースがはまっていく終盤は実に快感があるともに、そこに人の想いがきちんと積み上げられていて、人恋しくなるクリスマスという季節にすらちゃんと合う仕上がり。
ねたばれです。かなり重要な。
アパートの部屋が二つ。上手側の男の部屋は実に緻密に作演の企みが施されています。電話もテレビもなく、司法試験受験者の質素な暮らしという舞台を選んだのは、時間軸というヒントを終盤まで絶対に与えないという企みが見事に成功しています。
下手側の女の部屋はイマドキの生活感がきちんと。中央に扉を配した美しい美術なのだけれど、最終的な物語としては実は辻褄があっていません。あっさりと一本取られるような物語の前には、それはどうでもいいことにすら思われます。
堀川炎演じる「きちゃった女」の物語の上の造型は少々突飛にすぎる感じはしますが、この思い込みの怖さはこの物語にはどうしても必要なのです。終盤で云われる「おばちゃん」というにあまりに可愛らし過ぎるのはご愛敬。平山美貴演じる美人局、序盤の笑わせるパートとしてきっちり。印象に残ります。
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