速報→「モンキー・チョップ・ブルックナー」ひょっとこ乱舞
2009.12.20 14:00
ひょっとこ乱舞、オールキャストの渾身。110分。23日までシアタートラム。
男二人と女ひとりで古い一軒家をルームシェアしている。好意や想いはあっても、それは微妙なバランスの上に乗っていた。ある日、男の一人が一人の女を「拾って」くる。監禁されていて、逃げてきて、かくまって欲しいのだという。最初は反対していたもう一人の男は、彼女にぞっこんになり、ほかの二人の反対を押し切ってしばらく住まわせることにする。かくまわれた女は部屋から一歩もでることなく。
役者の一人が怪我を負い車いすになっているということを最初に口上。登場の一言のところで拍手を観客に依頼。気落ちしている役者のため、のようなことを云うけれど、それよりもむしろ観客の中で微妙な気持ちのまま引っ張らず、すっぱり切り落とすという意味で、観客にとっても実は効果的だった気がします。
微妙なバランスの上に普通に暮らせていた男女が迷い込んできた女でバランスを崩す感じの物語。色恋沙汰の果てというよりは、惚れ込んだ一人が結果的に「監禁」して囲い込んでしまう、というのはごくシンプルです。その情景、関係する周りの人々を事細かに言葉で書き込んでいくという手法はどこか野田秀樹的でもあります。
「僕は世間に参加なんかしたくないんだ、観客でいたいんだ」というような後半での台詞。彼女と二人きりで閉じこもりたいのだ、ということに続くのは少々強引な感じもしますが、腑に落ちる感じ。
アタシが昨日行った近所の飲食店のオヤジと話した「今時の若者は海外旅行死体という気持ちが薄いんじゃないか」みたいなことに繋がる感じ。若者は、というのは正しくないな、アタシだって、世間だってわりと身の回りほんの少し周りの社会にだけ関わっていたくて、その外側に積極的に関わりたいと想わないという感覚は、実に腑に落ちる感じなのです。
やってきた女、三谷クミコを三人の女優(笠井里美、中村早香、佐藤みゆき)に振り分けて演じさせるのは、ある人間の像に固定しないようにふわっとしたものにしたいという意図は感じるものの、ほかの役も振られていることもって、少々テクニカルに走りすぎた印象。まあ、三人の女優は魅力的でアタシは楽しむのですが。ルームシェアをしている三人はがっつり。チョウソンハは気の弱い童貞キャラからの間違った突っ走り感が素敵、小菅紘史は車いすの奮闘もあるけれど、強く一本筋の通った生き方像が見えて印象に残ります。コロは等身大の女性が今までで一番感じられて素敵な印象。
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