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2009.11.09

速報→「てのひらに滲んだら」年年有魚

2009.11.8 19:30

年年有魚の新作90分。緩く見せて面倒くさい女の話を細かく書き込む作家がちょっとすごい。10日までOFF OFFシアター。

ハワイ発祥のリラクゼーション・ロミロミ(wikipedia)のサロン。女性だけに客を絞り、場所もわかりにくく客も少ない。店長は全力を注いでいるが商売としては。閉店時刻をすぎて飛び込んできた女性客、結婚するので施術を受けたいという。

劇団名も公演タイトルも、あるいは内容のハワイのロミロミだと聞けばゆるやかな物語を想像するけれど、そこまで作家はステロタイプに陥りません。ゆっくりと場所と人間を説明する前半30分は物語の進む矢印がどちらに行くのかわからず、少々ストレスを少しばかり。アタシの感覚では少々長い。

ありえないような再会という少々無茶でも「劇的な」キッカケで物語が転がりはじめます。

終盤に至って、幸せに見えるこの店の中ですらそこかしこで起きている不満や火種が見えるあたりはゾクゾクする感覚。このシチュエーションで、こんなにもどろどろとした女性の感覚を男性の作家が描く不思議。もちろん、それを面白がるアタシも不思議側の人間ですが。

ネタバレかも

終幕近く、店長とベテランスタッフの会話は表面的には巧く収束しているけれど、お互いの思っていることがまったくかみ合っていない瞬間でこれもすごい。そうあるべき、という点では「店長」なのだけれど、世俗にまみれたアタシの腑に落ちるのは「ベテラン」。アタシの中に同居する二つの感じ方を同時に並べて見せられているようで自分の浅はかさを看破されたような恥ずかしさを感じます。

流れや台詞に疑問を感じないわけではありません。後半でオーナーが中堅スタッフに残業を強制するシーン。そのあとでスタッフ側の想いが説明されるけれど、あのシチュエーションで無理矢理施術室に引っ張っていくには説得力が薄い感じ。

表情が薄くて不器用な中堅スタッフを演じた松下知世(ex.松下ロボ)が絶妙でアタシの気持ちを鷲掴み。客を演じた加藤智恵・トツカユミコは気持ち悪さすら感じさせるこだわりどころのわからない客をしっかりとしているけれど、役そのものの造型が気持ち悪すぎるというのは、役者の手腕のすごさなのか、書き込まれ具合なのか。

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