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2009.11.30

速報→「ひまわりの花言葉」丸の内ストラテジー

2009.11.29 19:30

「演劇のできる飲食店」を目指すのだといいます。その心意気はちょっと買いたい。演劇で弁当屋、っていう団体もかつてはありましたが。60分。30日まで、中井・THIRD。カウンター前の低い机での芝居多く、最前列を。

海を隔てて文通していた同級生だった男女。突然途絶えてしまった返信に居ても立っても居られず日本に戻ってくる女。ほかの友人によれば高校教師だった男は両親を亡くして不登校になった少女の担任として悩んでいて。

バーカウンターを背景、机で手紙を書いたり、二人で呑んだりという構成。2009年の中井での来日した女を中心とした話と、2008年の横浜市(横浜、とだけ書いた方がしっくりくる感じがするのはなぜだろう)高校教師と不登校の女子高生を中心とした話を織り交ぜながら。

垣内勇輝(クレジットはないけれど北京蝶々)の描く 物語はごくシンプル。女子高生と教師がただならぬ泥沼、という話はかつてのTBSのドラマのような感じではあって、物語そのものがものすごく斬新という感じではありませんが、1時間という枠の中で描くにはこういうシンプルな物語で役者の魅力で見せる感じも、この距離なら悪くない感じ。

女子高生でもキャバ嬢でも十分通っちゃう長岡初奈、海を越えてきちゃう通地優子が魅力的。あまりに多くの公演の受け付けまわりで拝見すること多く、制作なのに一方的に顔覚えちゃってる安田裕美の役者っぷりも堂々としていて個人的に楽しかったり。

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速報→「その嘘に、リボンを」ビビプロ

2009.11.29 17:00 ビビプロの新作。15分押し。100分。29日までシアター風姿花伝。

資産家の男との結婚を控えて幸せいっぱいに見えた女だったが、暗い夜道で何者かに傘で刺され、そのショックで記憶を失う。犯人はみつからず関係者はそれぞれに怪しく捜査は難航する。

ポップな感じの素舞台に、張るような声、いわゆる楽屋落ちも含めて少々懐かしい感じすらする運び。正直に言うとリアルとも謎解きともファンタジーともコメディともコントとも違う枠組みがあって少々戸惑います。推理やサスペンスといった類に一見みせていますが、そこで勝負をするという感じではない感じ。

終盤で見えてくる記憶喪失の女のもう一つというか、記憶をなくす前の女の顔が明らかになっていくところ。作家はその豹変を描きたかったのだろうと想像しますし、あとから思い返してみるとわりと緻密にくみ上げていっている気はするのだけれど、その世界にどうしても乗り切れなかったアタシが居るのです。それは物語なのか演出なのかはたまた役者の力量に起因する物なのか、いまひとつ自分でもはっきりしないのですが。

物語からはずれた感じで遊軍という感じで動く伊藤淳二、浅見臣樹の大騒ぎっぷりは好き嫌いの分かれるところではありますが、アタシはこれ自体は嫌いじゃなくて、緩急をつけてくれているとは思いますし、瞬発力のようなものを感じさせます。とはいえ、あまりに骨格となる物語や役者との温度差が激しすぎて、むしろ異物感というよりはメインの物語にとって単なるノイズになる臨界点を超えてしまっている残念さがあります。

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速報→「ベイビーフェイス」鈴舟

2009.11.29 14:00

散歩道楽の太田善也の描く家族ものの圧倒的な強さの100分。次回予告編5分強付き。29日までシアターサンモール。

浜辺の見える酒屋を営む家。息子や娘たちはみな結婚している。ある日その主が全員を呼び寄せる。同居している長男夫婦はその意図を知っているが、口を閉ざしている。長男夫婦の娘ももう成人していて家をでていて、久しぶりに集まる。偶然、みな女たちは妊娠していて。

妊婦の不安不満、できちゃった婚、離婚の危機、仕事がみつからない、などさまざまな要素をもった妊婦と夫たち。そのどたばたっぷりの気楽に楽しめる序盤は次々ときちんと笑いをとります。プロレスで正義の味方を意味するベイビーフェイスを根幹に。子供のことを全力で守った過去のおもいでは、70歳になった現在でも歴然とやはり正義の味方なのだけど、やはり年齢は重ねていくわけで、その残酷な時間の流れはあまりに切ないのです。

もうひとつ、結婚を申し込みにきた男が偶然知った事実から、必至で家族をつなぎ止めようとする終盤のあたり。この波動的な泣かせ方は、太田節が全面にでていて、あたしの好きな物語になっているのです。こちらもドンキホーテ的ではあっても「正義の味方」なわけで、ベイビーフェイスに繋がります。

小難しかったり、いたずらに悪趣味だったりというのもキライじゃないのだけれど、気楽に見られて誰でも楽しめて、できすぎなぐらいにきちんと作られた物語は、実は昨今貴重なんじゃないかと思ったりもします。

苦労の末の妊娠、という夫婦を演じた二人。桑原裕子のキレっぷり、テンションが楽しい。振り回される感のある田中完もじつにいいコンビになっていて。実業家だけれどしあわせかどうかよく見えない夫婦を演じた二人。大谷典之は好きな俳優の一人、吉田久代も魅力的。女の間でもまれて居場所がない感じに佇む瓜生和成の絶妙。内海賢二の圧倒的な存在感。声だけの出演の筈の麻生美代子も予告編でちょっとだけ登場も嬉しい。

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2009.11.29

速報→「おまえのなみだはビールでながれてる」chon-muop

2009.11.28 19:30

chon-muop(チョンモップ)、仙川付近の場所から発想する物語。9月公演とblogに連携しつつ90分。29日まで、せんがわ劇場。

三ヶ月の旅行に出かけた主・友子に代わり留守番をすることになった女性、大町ヤスミ。blogを綴りながら、主を待ち、散歩を続けている。

9月公演では町の中野小さなカフェで出会った不思議な人々という風情だった物語は、今作、大町ヤスミが留守番をしている家の中を舞台に物語は進みます。間に挟まるスライド、日記はblogで使われているものそのもの。家に帰ってからblogを覗くとその世界がまたよみがえってきたりするのです。

雇用の不安定な状態の男と三ヶ月の旅行を提案したり、三ヶ月の研修に男を連れて行こうとしたり、あるいは大家の娘が来るまでの三ヶ月をどうするか考えたり。なぜ突然三ヶ月という期間を切って留守番を提案されたのかなんてことを、ぐるぐるぐるぐる。 友子と同居人や大家との物語を幾重にも描き出すけれど、それは記憶ではなくてどちらかというと想像の物語。男が三人入れ替わり立ち替わり、という派手な話かと思えばさにあらず。どこまでが現実でどこからが妄想なのかはどんどん曖昧になっていき、観客の立ち位置の足下は簡単に揺らいでしまうのです。

妄想と足下の揺らぎ、なんて簡単に書いたけれど、見ている最中はそれが明らかになるかんじではなくて、どちらかというと手がかりがすくなくて不親切な物語の運び。終演後に友人たちと酒を呑んで話してあれこれ巡らせる感じで生まれてくる感覚。一人で見たとしても、帰路で反芻しながら変わっていく感覚を楽しむという感じがします。

考えると、blogに書かれた「大町ヤスミ」なんてのはもちろん今回の公演のためのプロジェクトなわけで、実在しないのにそこに何かが作り出されて残っていく、という点で芝居とリンクさせる試みは面白いのです。

なぜこの場所に居たいのか、という台詞があって、最近の自分の状態とリンクして気持ちが震えます。どうしてもここに居なくてはいけない理由があるわけじゃなくて、動かなきゃという状態ではあるのだけど離れ難いこの気持ちは、理屈ではきちんと説明できないし単なる感傷かもしれないけれど、すくなくともアタシには確かに存在する気持ちで、無視できないのです。

9月に引き続きヤスミを演じた中村智弓はぼやっとした不思議な風情が役にリンクする感じで面白い。友子を演じた石井舞は三人の男たちそれぞれとの会話で喜び、はしゃぎ、時に言葉を呑み込み。誰かと同居したことなんてないアタシだけれど、だれかと一緒に住むことの楽しさと寂しさをしっかり。雇用に不安を抱える男を演じた大塚秀記は、アタシと年齢が近くて、しかも昨今の雇用なんてことを考えると、単なるファンタジーじゃない不思議な切迫感をもってアタシに迫ります。

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速報→「欲望貴族」角角ストロガのフ

2009.11.28 14:30

角角の新作。105分。30日まで王子小劇場。

未成年の犯罪は親が刑罰を受けるということになった近未来。学生の頃同級生をおぼれさせて殺した兄弟は、親にひた隠し、捕まることもなく15年が経とうとしていた。一方三姉妹の母親は15年前に「拾った」醜い男をつれて家を出て、その兄弟の家に住み込みで働くことにする。

ダイニング、寿司屋、個室、オフィスをてんこ盛りに舞台上に。さらに二つの家庭は同じ舞台装置を共有していて、まったく別の場所の会話が平行して進んだりします。それ自体はややこしいのだけれど、ああそういうことかと気づけばそれほど大きな問題ではありません。それでも物語そのものが本当に荒削りなままで、三兄弟の家庭と三姉妹の家庭の物語がうまく整理されないままに舞台に乗せられている感じ。決して見やすくはありません。

謎めいた醜い男の正体はわりと早い段階で見えてしまいます。リバース機構やらNB法やらの枠組みも、実際のところ時効が設定されたということ以上に効果をあげているとはいえません。ともかく角田ルミという作家が気の赴くままにすべて載せたものの総体としてその圧力というか迫力を受け取る、という方法でしか観客は落とし前をつけられない感じすらします。三回目公演になってそれなりに精度は上がっているとも思うのだけど、安定とはほど遠く。でも目が離せない感じなのは、きっと湧き出すように描いてるのだろうなぁという意味で彼女の描き出す世界をもうちょっと見たいという存在は希有だと想うのです。

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2009.11.28

速報→「骨のない男」ワワフラミンゴ

2009.11.27 19:30

さえずる感覚が楽しい。オトコをこの場に配置するのも確かなちから。55分、29日までルデコ2。 奥の部屋と手前の部屋がありますが、机の近くが床の芝居もあるのでおすすめ。奥の部屋でちょっとだけシーンがありますが。

机が一つ、椅子が二つ。この机や机の脚がすきな人々。骨がなくなったオトコの行方は知れない。レモンと名乗る女性二人、ケーキと名乗る女性二人、この机の場所がどうしても譲れなくて。

ルデコの中でも芝居にはあまり使われない二階。二部屋の間仕切り壁が固定されていて、芝居のためにはどう考えても使い勝手の悪い感じ。入り口近くの机をめぐる話。といっても、他愛ない短い会話が多くて、物語としての大きな流れはあまりない感じなのはいつものとおり。

金曜夜の客席はどちらかというと爆笑寄りの反応。個人的にはそこまで受けなくてもと思わないことはないのだけど、箸が転がってもおかしい、と考えれば、舞台の描き出しているオンナノコっぽさにあっている気もします。

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じわじわと

微妙な不安を抱えながら、どうしていくかなーとかぼんやり考えつつ。ふわふわした足下の感じはあるけれど、でも日常の仕事は回さなきゃいけなくて。今週末でリセットしなきゃなと思いつつ。ほんとは睡眠最優先、アルコール控えめにすべきなんだよな。こういうときはむしろ。

公演がどうにもつまりまくりの今週。行きたいのに行けないところ多数。どうしたもんだほんとうに。

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2009.11.23

速報→「おるがん選集秋編」風琴工房

2009.11.22 19:00

風琴工房の小規模の公演。役者がずいぶん入れ替わった今公演は横光利一と鷺沢萌(wikipediaうあ、年齢ほとんどアタシと一緒で既に他界)に原作を求め多少の脚色を加えて。脚本付き。35分+休憩10分+60分。29日までギャラリー日月(にちげつ)。わかりにくいどころか、入るのに勇気が要るほぼ民家の構え。開演30分前から駒込駅待ち合わせのツアーがあります。

病気の妻を看病する夫。長い時間が経っていて互いに疲れもでていて。しかし、離れない「春は馬車に乗って」(青空文庫)
"おっちゃん"が死んだので喪主として戻ってきた男。おっちゃんと住んでいた女はすこし妙な感じ。男の恋人との会話がそれにだぶりつつ「痩せた背中」。

駅から離れている元民家(しかも、ほんとに普通に古いだけの文化住宅風邪の外観)にあるギャラリー。夜はそれなりに冷え込みますが、暖房も完備(ガスストーブは暖かい)。それなりに時間があるので、その時間で楽に見られる場所を選ぶのが吉。後半の芝居はちゃぶ台を使うぐらいの高さなので、二列め以降を使うのは少々勇気が要ります。

「春〜」は台詞だけをみていると恨み言、嫌みの応酬のよう。見ているうちに互いが想う想いのあまりの深さに振り落とされてしまいます。夫婦の情愛があまりに深くて傷つけあう二人。動きも少なくて、題材も華やかさには欠けますが、テキストをきちんと追う(戯曲がついているとこれが嬉しい)と、その深さを認識できるのだけれど、その情愛というものを、想像で読むしかないアタシは気持ちのもって行き場に困るのです。精を付けるための

「痩せた〜」は冒頭で携帯電話がでてくるなど、多少の脚色。書かれた時代とは違いますが、「春」が昔であることをしっかり描いているので、序盤でアタシの気持ちを現代に戻してくれるのは嬉しい。久しぶりに帰ってきた喪主の男、その養父的な「おっちゃん」は姿を見せませんが、最後の内縁の妻たる女と、男の恋人を交えてのあれこれ。目の前で演じられている芝居をみながらアタシの頭にあったのは、西原理恵子がいくつ書いている、高知の漁師町の話。あの話のような色っぽさの部分はないけれど、どうやって生きているかわからないおっちゃんと、若い後妻の話。これもアタシは未経験のことだけれども。

役者がかなり入れ替わっています。かつて「子供の領分」(1,2)が担っていたような、あるいはナベゲンが準備公演的に必要としたように次の一歩のための公演なのだと思います。それを目撃するのも観客の一つの楽しみなのです。

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速報→「ブロークン・セッション」elePHANTMoon

2009.11.22 14:30

elePHANTMoon、4x1hでの20分の短編を膨らませる形での75分。23日までサンモールスタジオ。

ごく普通に見える台所だが時折家の奥から悲鳴が聞こえてくる。奥から出てきた女はすっぽりとかぶったゴミ袋に血をつけている。奥にいるのは、ある事件の加害者で、子供を殺された親たちが、その犯人に暴行を加えて賠償としていて。

払えない賠償金を被害者の親たちの暴行という形で相殺しよう、というワンアイディアの前半。「犯人を殺してやりたい」という、いわば常套句をギリギリのところで成立。幸いにしてどちらの立場も経験がないアタシは、ここにリアリティがあるのかどうかはわかりません。これを納得して始める人々と、仲介しようとする人々が居る、ということは無条件に了承するしか物語を読み進むことができません。なのでそこは判断停止のアタシです。ここまでの骨格は4x1h。

中盤、映像を撮ろうという少々傍若無人な二人の描き方はアタシの腑に落ちる感じ。都合のいいことだけを拾い上げ、切り取り、づかづかと踏み込むのは編集というものの宿命だけれど、そこを映像に近い立場の作家だからこその冷静で自分を見つめる視点は頼もしい。自分自身の犯罪行為すら、記録せずにはおれない、というあたりの脅迫観念は、一人で旅行して自分の写真を撮り、twitterしまくってしまうアタシの病的さにもはまる感じがします。

終わらない復讐劇はごくあっさりと、唐突に終わりを迎え、芝居はあれよあれよと「壊れて」いきます。人物の動きは衝動的でつながりが無く、どうにもいきあたりばったり。そこまで見せていた人物の厚みが一瞬で薄くなるのはマンガ的ですらあります。 血塗れだったり解体だったりとことさらにグロなことを物語に取り込んでいながら、実際には見せずに、ごくごくあっさりと。ちゃちになるよりはこの方がよっぽど正しい。

物語を描かない新しい手法というよりはもって行き場に困ったのではないか、というのがアタシの勝手な解釈ですが、たしかにそのタイプの映画もあるわけで、表現としてダメというわけではありません。舞台上に役者を乗せずに、役者たちが奥に引っ込み、声だけで描かれるシーン。時間の経過を示す照明は細かく美しい。

終幕近く、小林タクシー演じる男が逃げた理由をまるで小学生の言い訳のように延々話すくだりがちょっといい。ハマカワフミエの包丁を持った冷たい笑顔もちょっと見せますが、前半目を真っ赤にはらしていたのにホラー映画の話にのっかる時の無邪気な笑顔もアタシは捨てがたい。永山智啓・酒巻誉洋のふたりが落ち着いて全体を締めていて安心感なのはここの強み。

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2009.11.22

速報→「ジェネラルテープレコーダー(A面)」あひるなんちゃら

2009.11.21 19:00

あひるなんちゃらの企画公演、劇団員三人による、いわばオリジナル版の圧巻。70分。23日まで「劇」小劇場。どちらか一本しか見られないならば、芝居自体の満足度はこちらA面の方が予想通りに。

男女を入れ替えながらも、B面とかなり細かい台詞(完全かどうかはわかりませんが)までほぼ一緒。役者の定位置だけは左右対称に入れ替えています。音を頼りに聞いてみると、台詞を男女どちらが喋っても違和感がないようになっていて、ちょっと凄い。脚本の販売なんてことはやらないのがむしろあひるっぽいですが、ちょっと読んでみたい。たとえばこの脚本だけで関村演出抜きで、3人芝居としてどう成立させられるか、なんてことに気持ちが広がるのも、コンパクトな座組用で、しかも二つのバージョンを観ることが出来たからだな、と思うのです。

正直に言えば、劇団員だけで構成されているA面がB面に対して横綱相撲になってしまうというのは公演としてはどうなのよ、と思わないことはありません。アタシの観た土曜の昼夜の客席の沸き方をみてもそれははっきりしています。別に対決をしているわけじゃないから、勝ち負けにすることはないけれど、両方とも魅力的な役者たちをそろえたのは(マニアな客は)知っているわけだから、オルタネイティブとしてのB面が見たかったとも思うのです。

A面。あらゆるシーンできちんと笑いを引き出すような確かなちから。たとえ台詞をとちったとしても何の不安もなく戻すあたりは信頼感に裏打ちされて。作り込んだ駄弁芝居、という意味では圧巻で口語演劇の一つの結晶なのだと思うのです。

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速報→「ジェネラルテープレコーダー(B面)」あひるなんちゃら

2009.11.20 15:00

あひるなんちゃらの企画公演。同じ話を男女逆転で行う二つのパターンのうち、客演版となる「B面」。70分。23日まで「劇」小劇場。

ひと気の無い山の中の小屋。深夜作業をする男女。初めてやる「悪いこと」のたくらみの準備のために黙々と作業をしなければならない。朝までに終わるかどうか微妙なところだが、作業はなかなか進まない。

テープをひたすら延ばし続ける、という謎の作業。最後まで観てもそれがいったい何だったのか、「悪いこと」だという「魔法のテープレコーダー作戦」が何なのかということは決して示されません。そこに居続けること、会話の生まれる単純作業であるということが重要な構造なのだけれど、その意味の無さそうな作業が何なのかを終演後に妄想するのもちょっと楽しい。

作業をしなきゃいけないという気持ち、それなのにひたすら休憩しようとしたり邪魔したりしようとする人。無視しようといいながら、ついつい会話してしまったりと、まさに駄弁極まれりといった感じの会話。こういう世間話というか無駄話ってのに微妙にあこがれてしまうアタシなのです。どうも目の前のこと、仕事のこと、用のあることしか会話出来ないように年齢を重ねるごとになってる気がしてつまらない奴だなと思ったりするのです。なんて、自分語りしちゃいそうな気持ちも芝居後の楽しみ。

駄弁芝居、と自ら名乗る彼らの本を客演だけ3人でという趣向。ナンセンスのようでいて笑いは緩くて、笑いどころの見えない感じは多分いつものとおりなのだけど、あひるんちゃらの役者が入らないのに、あひるのどの役者がやるのか透け見えてしまうのはいいのか悪いのか。力のある役者をそろえたのに、その壁は結構高くて、苦労しているという印象があって、実はものすごく高度なことをしているのだということを目の当たりにします。芝居をやる人からみると、この駄弁芝居が実はものすごく高度に追い込まれて作られていることを云うのだけど、漫然と観ているアタシにはなかなかわかりづらかったりします。が、ここまではっきりでるとは。

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2009.11.21

速報→「D☆J(脱☆純情)~危なっかしくたっていいじゃない!?」鱈。/Hula-Hooper

2009.11.20 20:00

菊川朝子のユニット、鱈。久しぶりのワンマン。20日と23日。7th floor。2回の休憩を挟んで120分強。

ニューヨークで仕事をするマリー。仕事では好調、恋人も居るはずだけれど気持ちは晴れない。通りがかった老婆の言葉、故郷(サンタモニカ)の頃を見直せという。好きだった人に言いだせなかったあのときのこと。次の街はロックミュージシャンとしてのメンフィス。天才的ギタリストと結婚していてちょっとした遊び心で呼んだもう一人の女性のギタリストと夫が恋に落ちてしまい。そして再びニューヨーク。

大げさお約束てんこ盛り、70年代から80年代の音楽。休憩時間もDJでかかるのはドーナツ盤でジャケットを眺めながら歩き回ったりするのも楽しい。

当日パンフによれば物語を作りたいのではない、といいます。なるほど、4つのパートに別れていてそれなりの長さがあるけれど、物語としてはごくごくシンプル。ごく小さな気持ちや揺れを増幅して見せることが彼女たちの強み。そういう意味ではミュージカル的なのだけど、「台詞を音楽に乗せる」のではなくて「歌詞を台詞として喋る」という感じ。

恋人に対して、片想いの相手に対して、きちんと自分の気持ちを伝えることこそが、というのが全体を貫いていて、シンプルで実に気持ちを乗せやすい。昔の曲を台詞っぽく、パロディー的な使い方は強度のある歌詞を持ってくる時点で反則技なのだけど、若い作家にもかかわらず、やけにこういう古い曲に詳しいのもアタシの気持ちをつかんで離しません。

音楽の使い方の楽しさが彼女たちのもう一つの強み。「ここで起こったことは口外無用」に従って、当日パンフに書かれている安田奈加のオリジナル曲を書き出すと「小馬大暴走」「白河夜船」「乱暴なうた」「私のFのブルース」、それぞれ小気味よく楽しい。

全体に未完成な感じも少しばかり残っているのは多少気になりますが、少ない人数が多くの役をやるというのは悪くないのです。マリーが三人によって演じられるのも少々無茶なところはあっても、その時代時代で女が変化していくという感じでもあって楽しめます。

四つのパートのうち、マリーを菊川朝子自身が演じた第三章は「ノっている」感じてスピードがあって楽しい。今作に関して云うと、全体を通して沖田愛が圧巻。ああいう感じの小さくて元気印な女優がアタシは好きだと云うことは割り引いても、唄も台詞も、セクシー系からおとなしめ、チャイナドレスなどなど眼福(←をい)も取りそろえて抜きんでている感じで強烈な印象を残します

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2009.11.20

家のこと。

先週はさすがに13日の金曜日、のような出来事。最初はどう逃げるかを考えていたけれど、一週間経って落ち着いてきて、どう乗り切るかなんてことを想えるように、前向きに。そうそう、前向きにしなきゃね。

今住んでる場所はずいぶん気に入っています。一人暮らしでも夜はそれほど寒くないし、暖房も滅多に使いません(まあ、湯たんぽですね)。近くにいい居酒屋も中華料理屋も電気店もジムもカフェもこじんまりとあります。

その家の点検があるので、明日は休みをとって、4連休。

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2009.11.16

速報→「15 Minutes Made Volume7」Mrs.fictions

2009.11.15 18:00

かなり短いスパンで行われているショーケース企画。15日までシアターグリーンBOX in BOX。休憩を挟み150分。(終わりの回、という名前のトークショー含む)

  • ゲキバカ「  」 ・囚人たちが捕まった原因を探っていく。ビルに潜入して。
  • こゆび侍「汝、石化することなかれ」 ・目を見ると石になってしまうメデューサは結構居て人を見ないように人に見られないように注意深く生きている。ひっそりと暮らす夫婦もやはりメデューサで。
  • モエプロ「三日月とライオン」 ・偶然に出会った先輩男子と後輩女子、当然のように恋に落ちて。
  • 国分寺大人倶楽部「ストロベリー -SHORT VERSION-」 ・部屋呑みに集まる男女。山手線ゲームで負けた罰ゲームで、初体験の話を、それを再現しようとしつこく。
  • 夜更かしの会「コント」 1)結婚の申し込みに行った若い男、タイミング悪く停電で。 2) 鬼頭真也が沢山の本を紹介する。でも時間の都合で。 3) バンドの新しいギターをスカウトしてきたが、ギターなんか触ったこともない男。スカウトの理由は。 4)クラシック風のコンサート、その名もファミコンオーケストラ。
  • Mrs.fictions「私は旅に出ることにした」 ・卵がおなかに宿っていると感じた女。それは勘違いだったけれど

ゲキバカは、ルパン三世とスパイ大作戦をパワーマイム(かつての劇団「惑星ピスタチオ」の手法)で演じる趣向。最近だとひげ太夫に近い感じ。その手法自体は実は目新しいものではありません。テンポよく客席が暖まるのはいいところ。

こゆび侍は、笑いにもっていける話をあえて悲劇として描いている感じ。わりとそうそうにネタは明らかになります。鏡はおろか水たまりにも気を配って注意深く目をみないようにしている、というわりには包丁は大丈夫なのか、と想ったり。そこまで注意深いならセラミック包丁にするよなとか。

モエプロは女優はもちろん。下手に見える役者を置くのが重要なのだとアタシの友人たちは云います。二次元が嫌いな訳じゃないけど、こういうのはもういいかなぁと思う40過ぎオヤジのアタシ。

国分寺大人倶楽部は、嫉妬、覗き、駆け引きをきっちりと。女三人の三角関係が楽しい、見終わって 思い出してみれば、罰ゲームでそういうことをさせた、というのもプレイ。欲望に正直で見やすい。

夜ふかしの会は、これは小劇場演劇じゃないよなぁと思いつつ。安定していて、きちんと笑いをとれる作りと役者。結婚申し込みにいったら停電で、でも申し込もうとするシチュエーション、時折車のヘッドライトに照らされるというのも巧い。マリオは想像の範囲内かと思えば、ラストのマリオの成長っていうのもちょっとすごい。

Mrs.fictionsは雰囲気はいいものの、女の視点の話を描きたいのか、だとすると途中の妄想日記は何なのかとか。積み木で作る家のほんわかさ加減はvol.1の時の落書きで作った家の雰囲気にちょっと似ています。

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速報→「おとことお酒」山の手事情社

2009.11.15 14:30

山の手事情社の、こちらは新作。90分。15日まで楽園。

チェ・ゲバラ、石川五右衛門、項羽の三人の男たち、南国のいかさないモーテルのウッドデッキでだらだらとしながら。

歴史上の人物の枠を借りて別のショートストーリーなどを構成するというのは先週と一緒。女であること、恋だったり愛だったりというあたりで全体が貫かれ、日常に近い部屋だった「おんな」編に比べると、「おとこ」が一人であることなのか、バカ騒ぎの子供っぽさなのか、戯れなのか、酒なのか、どの部分をフィーチャーしているのかが今一つ見えてこない感じがもったいない。舞台として設定した 旅先の南国、というのも日常につながったところではなくなってしまっていて、アタシの視座からどう繋がった地平の話なのかに戸惑うのです。 全体に生真面目なつくり、訓練された役者の圧倒的な身体能力を小劇場の世界できちんと継続しているところはごく少ないですから、その役者たちをこの間近で観られる迫力は、この規模が少なくなっている山の手の公演としては魅力があるのです。

ゲスト、内田慈は白いワンピース赤いハイヒール。男を追いかけてきて再会に胸膨らませるイタい一人芝居がちょっといいのです。

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速報→「庭」箱庭円舞曲

2009.11.14 19:00

箱庭円舞曲初めての二人芝居。披露宴出席者男女3組をの「二人きり」の隙間の時間を描く短編集。休憩込み80分。1ドリンク付き。真ん中の一段高いテーブルに向かい合って座るところが舞台なので、そこを目指して。15日まで。

披露宴の日の朝、新郎新婦と同期の女友達を呼び出した男はどこかドキドキしながら「男の庭」
披露宴直後、二次会前に男を担いで入って来た年上女の空回りする目論見は「女の庭」
二次会の最中こっそり抜け出してきた男女、久しぶりの再会に「二人の庭」

カウンターキッチンのついたレンタルスペースなのだそうで、そこをカフェバー「misanthrope 中野店」と見立てての芝居。前説を兼ねる作演はDJブースに機材を持ち込んでいて音響も。短い時間でシンプルな物語ゆえに音のタイミングの絶妙さとテンポのよさが効いていて豊かな時間と空間を作り出します。

「男の〜」はわくわくの再会にこぎ着けた男の一人空回り感と、ああ手が届かないのだなという、告白以前にフラれている感じが絶妙。こういう空回り感の須貝英は巧いし、その空回りをまったく意に介さないというよりは気づきもしない女を演じた津留崎夏子は一歩間違えば単に冷たい高飛車女になりかねないところをぎりぎりで踏ん張るような人なつっこい表情が素敵。

「女〜」は若いイケメン男をなんと担いで登場の年上女、こちらも空回り感一杯なのだけど欲望だけでこうしたわけじゃない、という隠し味がきいています。若くてイケメンな澤田慎司のまったく気持ちが動かない感がしっかり。ザンヨウコ演じる年上女、こちらも一歩間違えばイタいだけになりかねないところをきちんと笑いに昇華するちから。

「二人の〜」は久々の再会の元恋人が、二次会を抜け出してこのまま戻らないで二人でどこかへ、という微妙な気持ちの揺れが細やかで印象的。ブーケを厚めも集めたり6個目なのに幸せな感じじゃない女を演じた清水那保が口説きにかかるところが絶妙で。それに揺るがない男を演じた小野哲史はあまりにかっこいい。が、あの口説き方されて、いくら今は別に恋人が居るからといって揺るがない、というあたりに説得力がない、と感じてしまうのはアタシがダメ人間だからですかそうですか。

コンパクトに作られてどこにでも持って行けそうな小品を、どこの劇団も2,3本は持っておくべきだ、というのがアタシの持論なのですが、その条件にぴったりの3本。テーブルを挟んで座る二人の位置がほぼ全く動かないので、観客が座る場所によってどちらかの俳優の顔しか見えないの図に成るのは少々惜しい感じ。だからといって無理矢理場所を入れ替えるのが正しいかというとそういうことではない気がするし解決策を思いつくわけではないのですが。

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速報→「東京裁判」パラドックス定数

2009.11.14 15:00

評判の人気作の2年ぶり再演。90分。23日までpit北/区域。公演期間後半は混雑必至だけれど、14日昼は緩やかに満員、ぐらいで。

東京裁判、専門家ばかりではなく急ごしらえの5人の弁護人たち。戦勝国が敗戦国を裁く状況の中、罪状認否が始まろうとしている。

二方囲みの1F席のそれぞれの辺、2Fの傍聴席、各々の場所で見えるものが違います。机の短辺側客席には検事席があるという設定なので、戦う気満々のいわばオンラインの表情。アタシの座った長辺側はそれよりはオフライン側の楽しさ。

いわゆる裁判の用語から国際法も持ち出しての会話。軽やかな笑いを交えながらずいぶん見やすい印象ですが、それなりには歯ごたえがあって。たとえその会話すべてについていけなくても、裁判の場でありながら感情を前面に押し出し声を張るシーンという演出は、いわば感情の流れに乗る楽しさ。公開された現実の出来事なのだけど、このままのやりとりがあったのかどうかは知りません。記録に残っている発言(つまり弁護団としての検事や判事たちとのやりとり)は現実のもので、その間の弁護団内部のやりとりをきっちり妄想して書いたという気がするのだけれどどうだろう。

元陸軍顧問弁護士だったり、一兵卒だったり、外交官・首相の息子だったり、通訳だったり、戦争被害者の立場だったり。急ごしらえの弁護団らしく多彩な面々という感じでこんなに短い時間にしっかり。政治と法のはざま、いわば大人の喧嘩とでもいうべきやりとりの凄みがいっぱい。 それを弁護団という片方の立場だけを描いて見せることがこの芝居の面白さを倍増させている気がします。相手の言葉なんかなくても、そこに丁々発止のやりとりが存在するように見せてしまうこと、90分息をつかせぬどころか、胃もたれしいそうな濃さ。芝居を観た、という満足感いっぱいなのです。

軽やかに噛みつき、闇物資を拒否する潔癖さを見せる末永を演じた小野ゆたかの魅力。彼に限らず、5人の役者の切迫しながらも軽口を忘れない会話のテンポはいつまでも聞いていたい。これ、音源で買えないかなぁ。iPodに入れて聴き込みたい気分なのです。

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2009.11.12

レガシーと選び方と。

ぴあMook「小劇場ワンダーランド」が発売されました。安くはありませんが、役者よりも劇作家が沢山フィーチャーされているのがちょっと嬉しい。今はネットで芝居に来る人が多くて、あたしもネット(@nifty, FSTAGE)で芝居を見始めましたが、その後に宝島の「Tokyo芝居探検隊〜小劇場ハンドブック」を中古で買ったりして楽しんだので、世知辛い昨今、紙媒体のこういうのが出るのはわくわくします。

そのMook本の巻頭は本広克行、末尾に「曲がれスプーン」。なるほど広告を兼ねたつくり、このタイミングで出版されるのは全く正しい。これは出版社が出す雑誌のようなものは広告前提だということを読者がわかっているからです。

で、CoRichです。 アタシの気持ちは→(1,2)に書きましたが、もうちょっとこの違和感を分析したい。

最近存在感を増しているtwitter(11日に行われた、業務仕分けの中継は芸術にまつわる助成金について考える時に重要だと思う)とCoRichの共通点は、市井の人々(好みはばらばらだとしても)が噂していることをきちんと吸い上げる力だと思うのです。CoRichが映画を取り上げることをアタシがちょっと厳しく思うのは、CoRich運営側が舞台芸術じゃないこの映画だけを「ヒイキしてる」ということが、あからさまになってしまったことだと思うのです。そういう意味ではマスメディアでは当たり前だった、ちょっと古いプロモーションのやりかたで、それを映画の宣伝の方法として選び取った、ということだと思うのです。いい悪いはわからないけれど、アタシには違和感があります。

だからといって、アタシは演劇ライフに行く気はさらさらなくて、CoRichラブですとも。映画も楽しみです。映画館じゃないかもしれないけれどDVDは買っちゃうかもしれません。最近はCoRichチケットも安定しているし、ちゃんとレビューを集めていますから、まだまだこれから遣い続けます。

長すぎますね、これ。週末の予定。出張せずにすんだので、なんとか予定通り。

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2009.11.09

速報→「てのひらに滲んだら」年年有魚

2009.11.8 19:30

年年有魚の新作90分。緩く見せて面倒くさい女の話を細かく書き込む作家がちょっとすごい。10日までOFF OFFシアター。

ハワイ発祥のリラクゼーション・ロミロミ(wikipedia)のサロン。女性だけに客を絞り、場所もわかりにくく客も少ない。店長は全力を注いでいるが商売としては。閉店時刻をすぎて飛び込んできた女性客、結婚するので施術を受けたいという。

劇団名も公演タイトルも、あるいは内容のハワイのロミロミだと聞けばゆるやかな物語を想像するけれど、そこまで作家はステロタイプに陥りません。ゆっくりと場所と人間を説明する前半30分は物語の進む矢印がどちらに行くのかわからず、少々ストレスを少しばかり。アタシの感覚では少々長い。

ありえないような再会という少々無茶でも「劇的な」キッカケで物語が転がりはじめます。

終盤に至って、幸せに見えるこの店の中ですらそこかしこで起きている不満や火種が見えるあたりはゾクゾクする感覚。このシチュエーションで、こんなにもどろどろとした女性の感覚を男性の作家が描く不思議。もちろん、それを面白がるアタシも不思議側の人間ですが。

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速報→「お茶とおんな」山の手事情社

2009.11.8 14:30

25周年、山の手事情社の今年唯一の国内公演。去年初演、女優で構成される「お茶と女」は8日まで「楽園」。90分。翌週に「おとことお酒」と題して。

メデイア(倉品淳子)、オフィーリア(水寄真弓)、阿部定(大久保美智子)という三人のヒロインを三人の女優。物語のテキストを部分的に抜き出して一人語りにしたり、シチュエーションを抜き出して現代の言葉で創作したり、ルパム(ダンス)したり。去年の「八百屋お七」を「オフィーリア」に変えて全面作り直し。

物語の合間には、それぞれのキャラクタに喋らせる、という体裁で(言葉は普通の現代の女性)、「男と別れる時」「思いがけずギャップできゅんとする時」「人形にまつわる背徳を感じる遊び」「恋に落ちる=恋は事故」「これは病的か」のようにさまざま。恋愛至上主義だけれど、それを客観し切り取って表現に昇華。卑近と素敵が同居していて、水寄真弓企画・プリズムで得意技とするこの世界がアタシは大好きなのです。

交互出演のゲスト男優、アタシの見た日曜昼は清水宏。静かな「女への手紙」として入ってきながら、自分自分で気持ち悪い、相手への心配りあってこそ好かれる、というあたりから暴走を始め、強引と繊細が同居するのが好きなんだろ、みたいな無茶な疾走感の語りは清水節全開で楽しい。

身体表現の力が抜群で、発声するちからも確か。名作と云われるテキストならばそれだけで成立できてしまうし、当時の言葉のままでやったって十分見せられる力。でも、あたしは現在に生きる彼女たちのからだ、言葉で語られるシーンこそに、気持ちを捕まれてならないのです。

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2009.11.08

速報→「今日もいい天気」渡辺源四郎商店

2009.11.7 19:30

ナベゲン。弘前劇場時代の再演作。初演の女優に負けず劣らずな工藤由佳子、名前こそ変わっていますが初演から続く主演もばっちり。気持ちに沁みる90(88)分。8日までこまばアゴラ劇場。

その家の中心で太陽のようだった女が亡くなり、夫、父親、兄弟。毎日の家事をすると言い出した長男。男四人で暮らしていて。そこに一人の女が。

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【イベント】「赤ペン瀧川先生のエロメール添削 DVD発売 タワーレコードインストアライブ」

2009.11.7 18:00

瀧川英次の続けるライブ、そのDVD発売を記念した、なんとタワレコでのライブ。女性雑誌の前でスライドを見せながらチンコチンコ云いまくるというアウェイ感一杯。それでも代々木のドコモビルを背景にした見目もちょっといいし徐々に盛り上がる。タワレコという場所を生かしたJ-POP歌詞を添削するというネタは次への予感へ。

サイン貰えるイベント整理券持っていたにもかかわらず、次の予定があって貰えなかったのは残念すぎる。

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速報→「ラフカット2009」プラチナ・ペーパーズ

2009.11.7 14:00

15周年目のラフカット。休憩10分を含み160分。8日までスペースゼロ。

(1)学年の教師と生徒会執行部が出席するという珍しい形態の会議。代理で出席した生徒は、緊急動議を発する。登校困難になっている女子生徒の心の病は学校に責任があるといい、そのために女子生徒は弁護士を立てるという。「職員会議」(作 G2、演出 堤泰之)
(2)もとはキリスト教系の、しかし時勢がそれを許さず学徒動員が日常になっている女子校。あの空襲の日、防空壕に入らず独り生き残った女学生が、いま。「真夜中の太陽」(原案・音楽 谷山浩子 作・演出 工藤千夏)
(3)墜落した旅客機、救助がこないまま食料が底をつき、窮した乗客たちが選んだ道は「アンデスの混乱」(作 鴻上尚史 演出 堤泰之)
(4)田舎の病院、もう先は長くないといわれている父親の見舞いに訪れる弟。兄や兄嫁は父親の面倒をよく見ているが、自分は東京でやりたいことばかりを。「父を叩く」(作・演出 堤泰之)

「荒削りな」役者を表す「ラフカット」を冠したシリーズ。40分前後の芝居を4本立て。素舞台に近く、ワンアイディアで押さなければならなかったり、演出が別だったりといろいろ難しい。それでも継続は力なり、たしかに歩んできた15周年なのです。

「職員会議」は職員会議に生徒代表がでてきてという設定から、セクハラで教員を訴えるのだという無茶ぶりの展開から尻すぼみ感。学年主任と、成功にどん欲な若い教師の関係の変化こそが見せ場ではあるけれどとってつけた感じがしないでもありません。

「真夜中の〜」は空襲で一度に失われた命へ、月日を重ねての強い思いをメインに据えた感じ。原案・音楽と作演というパート分けがどのように機能した結果の物語なのかはよくわからないのだけれど、谷山浩子の楽曲「真夜中の太陽」を劇中で合唱曲として歌うという構成。戦時中の敵性語や音楽の禁止といったあたりの時代と、そのあとに一人だけ生き残って戦後を生きてきた女性の、同級生たちへの想いを静かにどこか優しく描きます。

「アンデス〜」は食料尽きた遭難者たちの究極状態ですら「生き延びるため」なのに方策を自分の意志で選べない日本人ってやつは、という構成。読まなくていい空気を読み、意志による決定ではなくて「そういう選択になってしまう」日本人を少々意地悪く。 NHKの番組「COOL JAPAN」での外国人とのやりとりだとか、彼自身がよくいう「生き延びるために」ということのこだわりが奇妙にミクスチャされた感じは、鴻上節を知っていれば楽しめる感じ。 後半に至れば風刺の効いたコメディだということはわかるのだけど、前半がやけに遭難、食料、食人とやけに重い感じに運ばれてしまうので、少々の戸惑い。キリスト教圏の考え方というやつでひとくくりにやってしまう乱暴さは反発も多そうですが、二項対立にするのは実にすっきりしていて見やすい。

「父を〜」は30すぎて劇団員で定職も持たず、という弟の姿と入院している父とよくできた周囲の対比での彼の想いを丁寧に。よくできすぎていてあられもない介護しちゃう兄嫁とか入院して携帯電話料が跳ね上がった男のその原因とか、堤節というか色気路線もてんこ盛りで今回のラインナップの中では一番見やすい感じ。

役者の力量の差が結構あること、名のある作家の作品だけど短さのせいか演出のせいかはたまたもとの本かわからないけれど、どの作家も結構毎回苦戦する感じを受けます。 思えばこの劇場も天井が高くてすかすかになりがちで、しかも4本立てにするために素舞台に近くコントのような風情になっちゃうのは毎度のこと。その中でごくシンプルな照明と幕で航空機をちゃんと表した「アンデス」の空間の処理はほかとちょっと違っていて印象に残ります。

当日券で入った客席は15列目16番。オペレータ卓前中央。機材がというよりは、あたしの耳元のすぐ横に置かれた小さな外付けファンがうるさくてせりふは聞きづらいところも多数。たぶんあたしの席と園左右ぐらいのごく限られた範囲のことだろうと思うけれど、スタッフの想像力の及ばなさ、ということについて絶望的な気持ちになります。

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2009.11.07

速報→「西原理恵子の人生画力対決 vol.8」

2009.11.4 19:00

小学館のビックコミックスペリオール誌主催で、西原理恵子といろいろな漫画家が対決する「記憶スケッチアカデミー」企画「画力対決」。いよいよ大物登場、vs松本零士が前半、vs「猫まんが」括りの女性ふたり・くるねこ大和(アニメ)、 須藤真澄(同名の小劇場の女優とは別人)。22:30頃終演。

TCC(東京カルチャーカルチャー、略してカルカル)のこけら落としの時に見た、藤子A不二雄・みうらじゅんに端を発した対決シリーズ、うかうかしてる間に8回目になっていて、定着のイベントに。ロフトプラスワンにこれでもか、という詰め込み立ち見も多数。遅れたあたしはモニタでしか見られない2Fでしたが、ゆったりソファ席、これはこれで悪くない。もっとも、遅れを取り戻すべく飲み過ぎて途中の記憶がありませんが。(なので、詳しいレポートはこのあたりの方々 (1, 2, 3, 4, 動画)に..前半は撮影も許されているので写真も動画も。)

記憶スケッチアカデミー@ナンシー関が始めて、mixiでも人気アプリですが、画力対決は有名人がやるという小学館の付加価値。西原理恵子と編集者・八巻和弘の司会ぶりも楽しい。

ロフトプラスワン自慢の書画カメラを駆使。松本零士先生のメーテルをサインペン一本で下書きなく、右向きでも左向きでも自在に迷いなく描く過程、まさに観客全員が息を呑んで見守る、の図。 叶姉妹とか、鉄腕アトムとかウランちゃんとかヒゲオヤジとかハーロック。

後半の方は部分的に記憶飛んでますが(呑みすぎです) 猫村さん、ガラスの仮面、ピカチュー、太陽の塔、岡本太郎、鉄腕アトム、ナウシカ、

最後に4in oneな色紙を争奪じゃんけん。勝った女性二人組、大喜びで新宿の街に消えていったが、遠方からの終電が間に合うか気にしながらも、駅とは反対方向に小走りにいったけれど大丈夫かしらんと余計な心配。

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2009.11.04

速報→「父産(とうさん)」印象(いんぞう)

2009.11.3 17:00

気になりつつも未見の印象(いんぞう)の2年ぶり再演作。90分。3日まで吉祥寺シアター。

父親に結婚する事を告げた息子。母を亡くしたショックで引きこもり状態だった父親がやっと生活を送れるようになった矢先、父親は息子を手放したくなく。相手の女は妊娠をきっかけに婚約したのだけれど、エコーで見えたはずの子供の姿が消えてしまう。父親と息子二人で一晩を過ごし、婚姻届を持っていく朝、息子が二人に増えていて。

タッパのある吉祥寺シアターを使うのは結構大変なのだけど、こじんまり作る手法はうまく機能しています。終盤でぱっと広がることもカタルシスを感じます。

へその緒や子宮を物語に取り込む全体の印象(いんしょう)は遊◎機械全自動シアター。物語の印象も(若い作演だけれど)少々懐かしい感じすらするにぎやかさの演出もよく似ています。笑いをとるには少々厳しい感じがしますが、大きな問題ではありません。

タイトルのとおり「父親が産む」ということ自体には少々無理矢理感はあるものの、息子の婚約者の腹から、というもう一つの無茶な嘘を重ねることで、婚約している息子が「父親として産まれる」という別の効果を再帰的に作り出すのは巧い感じがします。

カーテンを横に引きながら場面をカットバックするという演出はスピード感を持ちテンポを崩さないまま物語を進める効果。反面、その色があまりに白くて照明がそのままだと観客の目には眩しすぎるのはすこし厳しい。

産んでしまう父親を演じた関根信一は前代未聞の「ジャージ姿の白髪」と、どこまでも男役のびっくりだけど、圧倒的な力。笹野鈴々音も普通の女性という役は珍しい。ダンスの取り入れられた「捜し物は〜」は「ヨメの中へ」という言葉の選び方には違和感がありますが、動きはちょっと楽しい。

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速報→「教会のみえる川辺で」海市(Kaishi)ー工房

2009.11.3 14:00

海市の新作。あたしは初見の劇団です。120分。4日まで711。

小さな川辺のホテル。実家を継いで切り盛りする妹。奔放な姉は再婚相手の連れ子としっくりいかず、時々戻ってきては幼なじみの男と会っていたりする。妹の夫は3年前にふらりと訪れ妹と結婚するが、カメラ雑誌に掲載された写真に写った姿をみて、訪ねてくる人が増える。夫の過去を妻は知らない。

ホテルの姉妹の物語かとおもえばさにあらず、演出を兼ねる小松幸作が演じる男を軸として進む物語。でてくる人々の想いはどこまでもすれ違い、互いの想いが成就している人が居ないというのはあまりに悲しい物語。どこに自分の視座をおいて見たらいいのか迷うところはありますし、全体に静かな話なのだけれど、突飛にすぎるキャラクタやらでてくるきらいはありますが。

ホテルの経営者である妹のまっすぐな想い、それに対比して描かれる男の複雑な過去と冷徹がもろいガラスのように一瞬で崩れる瞬間。終幕についた過去のシーンはその発端を描くのだけれど、少々蛇足な感じも。奔放な姉を演じた松岡洋子は時折どきっとさせる色気があってちょっといい。

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2009.11.03

つぶやいてますか?

ネットのツールの流行廃りってのはあるもので、mixiは今でもあたしのネット人生で大きな位置を占めてますが、今年あたりやけに流行しているtwitterも、負けず劣らずあたしを虜にしています。

「マイミク」という双方向の繋がりを前提にしたmixiと、「フォロー」という一方的なリスペクトというか繋がりを前提にしたtwitterは、繋がりの意味がやはり違います。どちらがいいわるいじゃなくて、ツールの違いなのでしょう。フォローの方はCoRichの「気になる人」も近い感じです。

知らない人も有名人も一方的にフォローできるし、発言が多すぎたり合わないようならばわりと気楽にフォローを解除できるという感じはmixiのマイミクの繋がりが重いと感じる人も多い昨今ではいいバランスなのでしょう。

mixiにも「ボイス」という昨日、amebloにも「amebaなう」が実装される昨今、どこに書くのかということは問題です。どこか一つならばtwitterを選んでしまうなぁ。自宅やiPhoneならばEchoというアプリを使って同時投稿をしますが、写真とか位置情報を取り込もうとするとどうしてもtwitterに軍配があがります。

twitterからmixiボイスへの発言転送ツール、twitter2mixiや、blogの更新通知RSSをtwitterに投稿してくれるtwitterfeed、自分のtwitterの発言を一日分まとめてメールで送ってくれる(blog投稿にも使える)twtr2srcも実に便利。などの外部ツールが多いのもいいところ。mixiはどうにも囲い込みが強くて、外部からのツールが作られにくい傾向があるのは度が過ぎるとniftyのフォーラムの二の舞じゃないかと思ったりも。

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2009.11.02

速報→「smallworld's end」時間堂

2009.11.1 18;00

時間堂の企画公演。5本の喜劇を3つのブロックに分けて15分ずつ休憩を挟んでの計245分。3日まで王子スタジオ。最後列でも見やすく、むしろ椅子のクッションが厚くて幅もあって実は快適。

本屋を営む男、妻が自殺し母親と妹が葬儀に訪れる。刑事が麻薬の容疑で逮捕された男のことを訪ねてくる「星々を恐れよ」。呼び出された工員は上司に工員たちの不満を伝える「工場でのもめごと」。夫を亡くして一年経っても喪服のまま部屋に閉じこもる未亡人、夫の借金を取り立てにがさつな男がやってくる「熊」。仕事を探している夫、友人たちは仕事を紹介すると家にやってくるがほんとうの目当ては「かんしゃく玉」。アテネからの船が難破し、島に奴隷と主人が流れ着く。そこは奴隷たちが作った共和国という名前の逆転の島で。

ビルの路面店、ガラス張りまま改装したスタジオ。外の車の音も通行人の声も聞こえるような場所で芝居を見る環境としてはよくはない感じ。むしろ落語に向いているような感じがします。まあ、外から丸見えは木戸銭とりづらいですが。4時間越えということを聞いていて決死の苦行覚悟で観たのだけれど、外の音も時間も意外なほど気にならず。

「星々〜」はいわゆる古くさい翻訳文体のまま、しずかに語らせる演出。喜劇といっても笑える感じよりは、反社会的な日陰として人の目を気にして生きていくということと、女たちにモテモテでその女たちから逃げる術を知りたいということを対比させてちょっとクスリとさせるのだ、ということは後からタイトルをみて思いついた解釈。正直に言えば、決して見やすくもなくて少々長く感じます。

「工場〜」はわずか5分。役者のせりふ回しで楽しませるという趣向の寿限無風、笑うにはあまりに稚拙なオチをどうしたらいいのか迷います。ヒゲをつけた百花亜希が可愛いらしい。「熊」はチェーホフな感じの始まりから、終盤に向けてなぜかミュージカルのような賛歌になってしまう落差とイキオイが楽しい。クールビューティが身の上の境宏子が芝居くさい芝居をするのが珍しくて実に楽しい。たぶん原作は男役なのだろうという使用人を演じた戸谷絵里とうるさくてがさつで大男を演じた白鳥光治の対比も楽しい。「かんしゃく玉」はあたしが唯一知っていた戯曲。不満をなげつけるかんしゃく玉は、もっと女の側の使われ方だと想っていたけれどきっと誤解なのでしょう。割烹着姿の百花に見とれる。役を一言で括弧の中に表している当日パンフの、のび太、スネ夫、ジャイアンという説明が実にぴったりで楽しい。

「奴隷の〜」は超訳というよりは捏造訳という趣。ドタバタとしてあばれまわり大声で叫んだり。現代の言葉だし、楽屋落ちも満載にして見やすく作っています。原作なのか演出なのかいまひとつ判断がつかないのだけれど、笑いのとりかたにいまいちセンスがなくて、続いていくうちに飽きてくる感じがします。女奴隷が王女の過去の様子を語るシーンは今っぽくて楽しい。大川翔子のつっこみ姫ぶりの感じは好き。ティアラ姿に惚れるオヤジたちの感想があたしの友人たちにたくさん。でもむしろ部屋着こそがあたしのツボ。

毎日18時開演でも終演は22時過ぎ。時間がながくなったから二日に分けるように、というアナウンスはするけれど、いくらリピーター割をつけても一気に観れば2000円ですむものを追加料金を払ってわざわざ二回で観るインセンティブは働かないのだろうなと思います。そういう意味ではちょっと無茶な試みだけれど、そういう無茶もふくめて楽しむのが吉。

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速報→「プレイバック Part3」チャリT企画

2009.11.1 14:00

チャリT企画の第20回公演は戦後日本の右だの左だのをめぐりながらイデオロギーに思考停止しない105分。3日まで王子小劇場。

日本を代表する作家がなくなり、全集を発行するにあたって身辺の資料を整理に訪れる編集者。膨大な取材テープの内容を確認するうち、戦争中に作家自身が南京で行ったことを告白するテープが現れる。

時代が変わり今よりももっと若い世代の右傾化がすすみ過激な論調もあって、右翼運動としての学生運動すら起きているという近未来を設定。 大虐殺はあったのかなかったのか、に代表される戦後歴史教育における史観の問題を真正面から。真実を明確に語る証拠がなく、事実なのかどうなのか、もし事実だとしても それを今更公表する必要があるのか、という何段階にもわたる議論のありかたを描きながらも、作家の女性問題をめぐり家の相続をめぐる遺言がないことにこじんまり投影しながらつくる構成。とっつきにくくなりがちなことを卑近な形に単純化して見せる中盤はわくわくとします。

史観がどうか、ということは見方だからそれぞれにあるのだろうけれど、それで議論をしようとか明らかにしようとはせず、むしろ観て見ぬ振り、避けて通ろうとするあたしです。そんなあたしに、軽い語り口でも切っ先を突きつけるような迫力がこの芝居にはあるのです。

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2009.11.01

速報→「あの日僕だけが見られなかった夜光虫について」studio salt

2009.9.31 18:30

王子を経て横浜へ。海辺を舞台にしながら明暗取り混ぜて強度のある物語を95分にぎゅっと、愛おしい。3日まで相鉄本多。

海辺、砂浜に面したデッキのあるペンション。オーナーの男は中学時代の同級生を招待して一晩のパーティを企画する。あのときの同級生が結婚して娘は二十歳になろうかという時間が流れていて、あのときの出来事は忘れていたり、絶対に忘れられなかったり、覚えていたりと記憶はそれぞれに曖昧で。

当日パンフによれば、作家は前回公演の打ち上げで夜光虫をみられなかった、なんて話から書き始めていますが、そこからこういう物語を広げるのか、というびっくり。芝居観ている最中は思い出せなかったけれど、「SOME DAY」another sideという趣の仕上がり。そういう意味では「ピクニック」の女性パートを蒸留したようでもあって、アタシの気持ちを揺らします。

ネタバレかも。

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速報→「リンスは瞳にして!」THE REDCARPETS

2009.10.31 14:00

旗揚げ公演後気がつけば一年半。RED CARPETSの新作。1日までエコー劇場。本編終了後にごく短いショータイム込み120分。

一人暮らししている37で独り者の長女。駆け落ち同然で家を出た三女は離婚して中学生の娘をつれて転がり込んでいる。次女はファッションデザイナーと結婚しセレブリティな生活。事故で父親を失い、直後に母親も亡くした長女は一時期精神を病むものの、かなり復調している。 三人姉妹をめぐってはある秘密があって、長女が今でも独りなのとも関係している。

シンプルな舞台装置。ある秘密を持った家族たちと、その対抗勢力というファンタジーのような物語がお茶の間サイズで展開するというあたり、物語を貫くのは愛だの友愛だのというところなのだけれど、それを無条件に信じる前提のミュージカル、というわけではないので、このファンタジーを引っ張るだけの力には少々欠ける印象は否めません。

金房美加演じる三女と梨澤慧以子演じる娘(中学生はいくらなんでもやりすぎではあっても)という母娘はイキオイで見やすく楽しい。千葉おもちゃ演じる「ダンゴ虫みたいな」冴えない長女というのも静かさと秘めたる想いみたいなあたりが印象的。

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