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2009.10.12

速報→「蛮幽鬼(ばんゆうき)」松竹×ヴィレッジ×新感線

2009.10.11 17:30

新感線、いのうえ歌舞伎の新作。上川隆也、堺雅人、早乙女太一、稲森いずみを客演で。27日まで新橋演舞場、そのあと大阪。休憩30分を含んで210分。

留学していた4人。権力者側の3人と平民から実力でのし上がったひとり。5年ぶりの帰国が近づいたある日、一人が殺され、平民だった一人が手をかけたと云われ、監獄島に送られる。裏切りに対する恨みは十年を経ても変わらない。牢の地下からする声に従い掘り始めた先にいたのは。

席は正直良くなくて、花道が見えないってのはそこで重要な芝居がないとしてもストレスにはなりますが、まあ三階席のBですからそこに文句をいってはいけません。 映像の格好良さというのは彼らの特徴ですが、ナイロンのスタイリッシュをみてしまうとセットの転換を見せないために多用するのがあまりにあからさまな感じがします。

まるで巌窟王のような前半は笑いも多く見やすい。そこからのし上がっていく過程は詳しくは語られませんが、そもそも殺し屋の男の後ろ盾で自分の復讐を果たすはずがいつのまにか、という物語。決して明るい話ではなく、全編を通して殺す殺されるのという殺伐とした物語。終盤にむけてどんどん死んでいく、なんてのは今ではテレビはおろか映画でもそうそうない感じがしますが、生の舞台でかっこいい殺陣を織り交ぜながら疾走する感じは新感線らしくて気持ちいい。 そうするざるを得ないところに追い込まれる物語がアタシにとっての、いのうえ歌舞伎なのです。そういう意味では大満足。

殺陣が圧倒的なのは早乙女太一。伝統的ではないけれど、見栄えとスピード感が圧倒的で舞台映えして、おもわず場内に拍手があがるほど。上川隆也はこういう偏屈さの芝居を見せると声の調子が一本になってしまうのは少々惜しいところだけれど、真ん中に一本の心の強さに説得力。稲森いずみという役者の美しさはテレビでは感じるけれど3Fではさすがに。堺雅人がよく言わ続けていた「嘘くさい笑顔」というのを物語に取り込んで冷徹な暗殺者に仕立てたのは巧い。橋本じゅんはコミカルも心意気も併せ持っていて、かっこいい。

久しぶりの演舞場、前はもっとカジュアルもあれもこれも取りそろえたバラエティ感があったきがするのだけれど、改装したのかしら。菓子・弁当・寿司の文字を取ったカベス茶屋一つに集約されたようで、これはこれで寂しい。

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