速報→「わが星」ままごと
2009.10.12 14:00
口コミの威力は絶大、広く作っている囲み客席には立ち見も、いろんな芝居をする側の人々もたくさんの客席。80分。初日からあったのかどうかわからないけれど、口ロロ(くちろろ)の音楽(AM00:00:00)に載せた終演後の役者紹介も楽しい千秋楽。三鷹市芸術文化センター星のホール。toiを観られなかったアタシには強烈な印象を残しました。
どこかの星、両親・祖母・姉妹。誕生日を迎えて喜ぶ妹。その外側から望遠鏡で見ているオトコノコ。星が消えてしまうのが見えたこの瞬間すでに星は無くなっているのだけれど、時間も光速も超えてオトコノコはオンナノコに会いに行く。
太陽系の惑星である地球(ちーちゃん)の誕生から滅亡を団地に暮らす家族の末っ子ちいと家族、隣のオンナノコ(つきちゃん)の人生に重ね、それを外から見ているオトコノコが流星に乗ってボーイミーツガール、と言葉で書いてしまうと身も蓋もない感じなのだけど、時報とラップと音楽で貫かれた気持ちのいい体験の空間。三鷹の劇場をフラットに円形劇場のように仕立てたことも功を奏していて、高い天井がこの物語に対してはむしろ効果的ですらあります。
本当の時報の録音を除けば、4秒に強い拍子をもってくる、リズムの感覚。普通5秒15秒30秒60秒で語られがちな天文のリズムと微妙に外したこのリズムがあたしの感覚に実に良く合うのです。
少年王者館からの影響を指摘する声もありますが、アタシが強く感じるのはむしろ維新派のジャンジャンオペラ(王者館より維新派の「体験」を楽しく思うアタシだからかもしれません)。一つのリズムで貫いてヒップホップっぽくまとめた仕上がりは、ずっとスタイリッシュで、でも音楽だけでもヒップホップだけでもないテキストはあたしの友人がいうとおり、とてもgirlyでオンナノコ寄りでアタシの気持ちをわしづかみにします。「わが星」を観てしまった今から振り返ってみれば、維新派も王者館も古ぼけて見えてしまう、今を暮らしているアタシたちの感覚にあったリズムと物語、昭和も遠くに見えているアタシの年代だからか、その友達を作る感覚(アポロ、たべる?から始まり、ままごとをするシーンは大好き、終幕近くの、ありがとうを云うあたりはガー泣きです)、家族が忙しく毎日の生活を刻む感覚(終盤で父母が廻りながら、父親は並木道を母親は家の集合住宅の短い廊下を往復する、というのが泣きポイント)、オトコノコがやってきて(ちーちゃんはそこに居続けて)出会う感覚、なにもかもを凝縮して見せるここには確かにコスモス(ダサいね、この言葉)がきちんと存在。
これだけでワークショップ、学校公演でいくらでも稼げそう(このあたりが下世話なアタシ)、やったもの勝ち、たしかにおもしろい。たぶん小学生から高校生、親も巻き込んだワークショップは世界何処でも通用しそう。
笑いも多くて、見やすくて、小劇場の役者にとっては台詞だけではなくて、リズムの芝居を自覚するということを体験できる、という意味でもワークショップっぽい。役者を変えても成立するし、これを体感した役者たちは続けられるし、何年か後に歳を重ねてもすぐに出来るぐらいに刻み込まれている感じの千秋楽なのです。ままごと、というのはたぶん、なにかのロールプレイなのでしょう、(芝居での)オンナノコ二人(か三人)の会話が大好きなアタシにはその雰囲気が大好き。それをリズムを刻んできちんと。映像りょりもむしろ音だけMP3で貰って帰り道でずっと聞き続けていたいと思うのです。
端田新菜はある種の幼さを持った妹キャラをやらせると抜群に巧い。母親を演じた黒岩三佳も、姉を演じた中島佳子もべつにラップが抜群に巧いわけではないのだけれど、物語に寄り添ってしっかりと支えるのです。
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