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2009.10.08

速報→「世田谷カフカ」NYLON100℃

2009.10.7 19:00

休憩15分を含む190分。カフカの未完作「審判」「」「失踪者」をベースにしながらコラージュは物語重視とはいいづらいし、誰にでも見やすいとは到底思えないけれど、その体験は新鮮です。12日まで本多劇場。

三人の俳優が語る経験。近所の呑み屋で顔なじみの常連おばさんの介護話、けっこう大きくなってから知った自分の出生の秘密の違和感、学生の頃出演したクイズ番組での答えの理由がまわりにわかってもらえない話。そこを起点にしながらも。
理由がわからないまま裁判を起こされた男の話「審判」。測量のために招かれて来た街なのに何処にも泊まれず治めている城に行けと云われるのにどうしてもたどり着けない「城」。ドイツを追放されアメリカに流れ着いた少年は「失踪者」。

恥ずかしながらカフカを一編たりとも読んだことのないアタシです。コラージュというだけあって、それぞれの物語の断片は感じ取れても、深くはわからないし、全体として俯瞰しても大きな物語の軸があるという感じではありません。でも、この長時間、ほんとうに飽きずにわくわくするのです。

社会生活はそれなりに営んでいて、でもどこか鬱屈したり疎外感があったりと、表面と内面のギャップ感が全体を貫きます。ケラ自身が傾倒しているのは、この気分を共有したいという気持ちが強いのだろうなぁと思うのです。軽かったり感動したりという芝居が得意なこの劇作家なのだけど、こういう世間との違和感の感じ取り方は好き。あたし自身が本当に理解できているかはわかりませんが。

wikipediaってのは便利なもので、それなりのあらすじが読めたりします。これを読むと、そこかしこに断片がちりばめられ、緻密に作られたこの芝居にかける情熱のすごさを感じ取れるのです。序盤は三つの物語が平行し、しかも書き加えられた軽いシーンも多くてあたしの好みはむしろ前半です。

L

少し大きな立方体の部屋。これを動かしてあれこれの舞台を作るのも実に印象的です。箱の中で物語が動いているのを、回転させることで箱庭を眺めているような感覚にさせるというのはいままで体感したことのない感覚。芝居っぽくて楽しい。パンフにある距離感のめちゃくちゃさを体現するという意味でも効果的。

彼氏と二人で過ごす時間、みたいなシーンがちょっと好き。後から現れる友人の植木夏十がけっこうフィーチャーされていてアタシは嬉しい。村岡希美は序盤の一人語りに負荷がかかる感はあるのだけれど、きっちり。後半での老婆の声が美しい。

ネタバレかも

圧巻な映像遣いで毎回期待してしまうナイロンは、今回も裏切りません。30分近くにやっとタイトルビデオですが、これが実に圧巻。新感線などでの手法とは全く違っていて、遙かにスタイリッシュ。映像だけでも成立しそうなのです。見ていると素直にほおっと驚くシーン満載。なのに権利処理の難しい本作がDVDにならないのは余りに惜しい。楽隊のシーンでも映像が使われていて効果的。「次々と衣装を着替えるファッショナブルさで人気」ということがきちんと体現されていてちょっと凄い。芝居にダンスをきっちり作り込んでいるのは時代を感じないこともないのだけど、実に美しくてアタシは好きです。

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