速報→「呪われたバブルの塔 -ビフォーサイド-」北京蝶々
2009.10.3 14:30
北京蝶々の2バージョン公演の、「ビフォア側」。どちらか一方ならば、ウエルメイド風の側面も持つこちらがあたし好みの70分。12日までOFF OFFシアター。もう一方と同様、もし選べるなら窓とテレビの両方が見える中央よりを。
70年代に建てられた小さな雑居ビル。親からオーナーを受けついだ男は、経営を妻に任せきりで自分は2Fのスナックに入り浸る。経済環境も行き詰まり、老朽化の目立つこのビルはテナントの確保に苦労している。1Fのそば屋は異臭を訴える。ある日、オーナーの夫は亡くなったはずの父親の姿を見かけ。
ビフォア、とはいいながら観客の現在よりは先の未来の話。アフターと4年の隔たり。老朽化した雑居ビルのテナント探しの難しさから始まった物語は、やがて夫を中心とした妻や自殺した父親への想いの物語に移っていきます。あれれとウエルメイドになっていくのもちょっとびっくりなのだけど、笑いと想いのバランスがよくて、ふつうに面白い物語に仕上がっています。やはり見る順序はこちらが先のほうがすんなりくる感じがします。
もう一方ではほんの少ししかでてこなかった(が、今までにないメイクにちょっとぐらっとキタ)鈴木麻美が実にいいのです。美しいのに少々の疲れ気味とか幸せ薄そうな感じの役をやらせるとありきたりなキャラクタではなく巧いのはアタシの中の定評ですが、細やかで印象的。終盤でほんの少しの化粧をするのだけど、それにもハマルおやじのあたし。父親を演じた鈴木歩己も妙にリアルな疲れたおやじの見た目のインパクトはともかく、いいかけて止めるあたりの呼吸が抜群。オーナーを演じた岩淵敏司も硬軟とりまぜ印象に残ります。帯金ゆかりも実はこちら側のほうが抑え気味でナチュラル。
アフターサイドの方がぶっとんだ世界なのにくらべると、リアルさをもったこっちの方が、コミカルさを含めた巧者がこちら側にそろったという印象があって、それは物語の見やすさにつながっている感じがするのです。
あたしの見た3日昼の回は終幕近くの停電(だよな、いわゆるパイロットランプも含め全部消えたのはちょっと異常な感じ)が、物語の雰囲気にあってて、ちょっと薄ら寒い感じもしましたが、それも含めて楽しめるのです。
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