速報→「悪趣味」柿喰う客
2009.8.6 14:00
柿喰う客の新作5周年記念公演。きっちり幅広い観客にリーチしそうな105分。13日までシアタートラム。←こういう文体を当日パンフ(300円)でおちょくるセンスは好きだ。
町からはなれた村、呪われた家族。母親は時折起きるなぞの発作を薬で抑え、娘は毎日のように村の同年代たちを引き連れて森の中の化け物を探しにいっている。その呪いを解こうと村人も考えていて。
いつになくきっちりと具象っぽく村はずれをつくり込んだ舞台装置。物語も、しっかりと一つの筋を通して、そこに過剰な遊びやサイドストーリーを緻密に組み合わせた感じ。意識して作られたであろう安っぽさはあるにせよ、まるで新感線のようにすら感じられる仕上がりは、破綻のない物語で受け入れられる範囲が広いだろうなと思う反面、トークショーで語られた破綻なきゆえの不満が今までのファンには出てくるというのもよくわかります。こういう集約こそ今までは笑い飛ばして来た彼らですから、それゆえの「悪趣味」かとも思うのです。台詞の早さが体感的に2割ほど遅くなってる感じなのだけど慣れただけなのか、役者の力なのか、バナナの聞き取れない台詞との比較の話か。
母親と娘・息子たちの愛情の物語を全体の中心に。 呪われる家族になるとわかっていても宿した子供の生むという意志の切なさ、みたいなことを中心に据えてしっかり見せるし母親を演じたコロも娘を演じた深谷由梨香もしっかり。 まともに見えるはずの村人たちの考えることのえげつない悪趣味は終幕近くで姿を見せて、まとも(に見える)ということの怖さを描き込みます。それでも、 ことさらに泣かせるほどにはもっていかないのは彼ららしい。
片桐はづき演じる子供のキャラクタがちょっとすごい。これを役者の生理で演じきるのはかなりストレスフルな感じがしますがきっちり。須貝英のかっぱというのも飛び道具なのだけど、伝説を語る役としての重要。「箱庭」という単語にこだわりすぎるのは、まあご愛敬。
謎解きだったりイキオイの楽しさのようなものは薄め。物語の作り方の方針をしっかりと決めて取捨選択している感じがして、公演ごとに姿をがらりと変えてくるここ数作は実にスリリングなのです。トークショーによれば、旗揚げからの5年間の集大成となって次回からはがらりと印象を変えるつもりなのだといいます。いままでと今作でことさらに変えたことはない、とは彼らはいうのだけど、照れ隠しでなく本気でそう思っているならばおかしいだろうとおもうのだけどどうだろう。
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