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2009.09.29

速報→「高麗犬おるんー花モ嵐モー」マダマダムーンP

2009.9.27 18:00

危婦人の団体によるプロデュース公演。28日までサンモールスタジオ。120分強。 神社にある狛犬。廻せば願いが叶うという。戻ってきた姉はひとり、結婚を間近にした妹の婚約者は元彼で。狛犬は昔の話を語り始めて。

女性の自分自身の物語に強い作家です。本当に綺麗な女優と、面白くておかしい俳優、女優をそろえて物語るのは、やはり女性のものがたり。主役・おるん、ふねの色街の芸者二人を中心に据えつつ、その上の女将の世代の姉妹、その後の世代の結婚を控えた姉妹の物語もと三世代の女たちのものがたりを詰め込みます。

物語の辻褄や構造よりは、愛に生きるけれども全うはできない悲しい色街の女たちを通してさまざまな女のものがたりを組み合わせて共感で見せるタイプの芝居という気がします。正直にいえば、大味なところもあるし、笑いを取りきれないところもある、詰め込みすぎな印象もなくはありません。妙に芝居くささを感じて序盤こそ違和感を感じるのだけれど、なかなかどうして、丁寧につくっているなあと感じるのです。伝統的、というのとは違う意味で着物がポップに作られているのは、マダマダムーンの強み。

現代の結婚していない姉を演じた、古川直美がちょっといい感じ、なのはアタシのすきなタイプの役柄だからって気もします。コミカルなパートを一手に引き受ける鈴木ハルニ、田端玲実は緩急で観客を引っ張ります。チラシの美しい写真が印象的な松永かなみはどきっとする程、というのが大げさでないほどに格段に美しい。UNIQLOCKにも出ているのだそうで立ち姿、腰を曲げているシーンでも安定。

現代のシーンの妹役は新潟公演では出演しない、とクレジットされているのだけど、それって芸者の妹・ふえの女優の二役かなぁと思ったり思わなかったり。

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2009.09.28

速報→「BUG」燐光群

2009.9.27 14:00

新しい戯曲を紹介する燐光群+グッドフェローズのシリーズ。オフブロードウェイでロングランとなった日本初演。主役降板にもかかわらずの見応えある110分。30日までスズナリ、そのあと名古屋・大阪。

オクラホマのモーテル。息子を失って数年たった女。仮釈放された元夫の暴力から逃れるために暮らしている。女友達が連れてきた元兵士の男と出会う。神経質に見える彼とどこか気持ちが通じあい一緒に暮らすことになる。男は部屋に小さな虫が居る、と言い出し、部屋中をひっかき回して虫を探し始め、女も。

オクラホマのヤンキーな感じの人々。暴力と酒とドラッグの日常の人々。暴力夫、そこに神経質そうな、しかし優しい男。愛情を感じ初めてという感じの序盤。ここのありがちな、しかし丁寧に積み重ねたところから「虫」をキーワードにして一気呵成に暴走していくスピード感がちょっとすごい。ちょうど真ん中あたりでたった2分の休憩を挟んで暴走していくようになっていきます。

誤解を恐れずにいえば、「あたまおかしい」男の妄言と愛情のあまりその妄言に巻き込まれていく女。二人の互いの気持ちと思いこみだけで外界を絶ち、二人は異常な発振状態に飛び込んでいく、といえばそれだけの話ではあります。ドラッグや病気はともかく、ここまで暴走する愛情という意味でもアタシの何かに引きつけてみられる人物が一人もいないのに、引きつけて見続けてしまう不思議な吸引力があります。

美保純という役者でも年齢の進んだヤンキー女というキャスティングからは魅力があっただろうという気はするものの、すくなくともアタシのみた頃には西山水木以外には考えられないぐらいにものがたりにぴったりとはまりこんでいます。チラシポスターの類もすべて作り直し、さらにいわゆる「芸能人」の降板というハンデがありながらも、これだけちゃんと入っている、ということは芝居そのものがきちんと魅力的に作られていて面白い、ということだろうと思うのです。

もっとも、じゃあアタシがどこに惹かれたのかはいまひとつはっきりしません。序盤で二人が出会うシーン、互いをさぐりあい、つながり合うところが好きだということははっきりしていますが、そこから暴走する感じを、どう自分の中に定着させたらいいのか、ということはいまだに迷うのです。動物園のように眺める視点なのか、それともその暴走の嵐を全身に感じ取る視点なのか、自分にフックする部分がない物語の見方をどうしたらいいのか、ということに迷うのです。

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2009.09.27

速報→「はちみつ」こゆび侍

2009.9.26 19:30

こゆび侍の新作。不幸な恋愛好きなアタシにハマる105分。28日まで王子小劇場。

蜂蜜専門店でバイトしている学生の男。映研で一緒の元カノが今でも女神のようで好きでたまらないが、すでに別の男が居て。店長は隣の花屋の男に不倫で貢いでいたりするが、バイトの男はそれがいやでたまらない。

恋愛に不器用だったり結婚できない人々の話が大好きなアタシなのです。 一瞬「競泳水着」のようなポップな恋愛話かと思わせても、そこから何段も暗くてえぐるような方向に。一身に捧げても実らない人々の話はおかしさよりも、一種の絶望感のようなものが先に立ちますが、物語の「見やすさ」のおかげでずぶずぶと暗部から戻って来れなくなるということはありません。 役者の力と、物語の見やすさがあいまって、劇団としての一つのスタンダードとなれる感じがします。

結婚という枠組みの中で「もうほかの女にいかない」証拠を求める妻と、それをこんな形にしてしまう夫を、あるいは一身の愛情を注いだ映画も何もかも奪う女神をヒドいということは簡単だけれども、そこまで、ダメだとわかっているのに想いを寄せてしまう側、一種のだめんずのように作家は実に丁寧に描きます。結果的にヒールとなる妻や女神の造形は、共感はできないけれど、納得感があります。

今作においては、朔太郎を演じた安藤理樹が圧巻。若くて軽い感じに見せるけれども、一途という難しいバランスを時に笑いをとりながらきっちり。この軸がぶれないおかげで、力のある女優たちのそれぞれの力が隅々まででている感じがします。ハマカワフミエが演じた最近の彼女の中ではあまり見かけない役どころ。女神は最後まで客の反感を一身に背負うヒールをきちんと。確信犯なのか天然なのかということを彼女が気づいているのかどうかということをぼかしたままというのはいいのかわるいのかわからないけれど、「(次の男に貢ぐための電話をしようとして、自分に想いを寄せているとわかっている男に)頑張れって云って」という台詞を云わせてしまうだけのキャラクタのすごさ。 三十女、というばっさりした云われ方をする店長を演じた佐藤みゆきはこの劇団の中の安定感はいつもどおり。台詞はなくても舞台に居続けるというシーンがいくつもあるけれど、その居かたの凄みのようなものも。

ネタバレかも

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速報→「ありとあらゆる涙」ドリームダン・散歩道楽

2009.9.26 15:30

散歩道楽の役者・川原万季が作演する劇団内ユニットの新作。100分。30日までサブテレニアン。

同居している兄妹。二人で知人がスタッフをしている昼ドラにはまっている。兄は妹に内緒で結婚相談所に通うがいっこうに芽はない日々。兄は職場の友人を連れてくるが、過去に人を刺したことがあり、時効までの半年、匿ってほしいと頼まれ、住まわせてしまう。ある日、はまっている昼ドラのロケが近くで行われると聞き、見学にいくことにする。

ドラマ収録の現場のちゃらちゃらした感じと、うだつのあがらない感じの兄妹、なんか怖い犯罪者を置きながら物語は進みます。「くだらなく、熱く」というのが作家のやりたいことなのだと当日パンフでは語られています。熱くはともかく、物語をくだらなく一貫させるというのも実は相当大変なことで、どこで笑ったらいいのか、というのに少々迷う感じはあります。

兄と女優が、という物語がひっくりかえるような瞬間があって、これが物語の見せ場だと思うのだけど、みていて混乱する感じが先にたってしまうのが残念。嘘でもインパクトでもいいから突っ走ってほしいところ。 物語のつじつまを云々するタイプの芝居ではありませんから、インパクトでもこけおどしでも笑わせるところでも突き詰めてほしいとは思うのです。タイトルの見せ方はちょっとカッコいい。

結婚相談所の男を演じたキムユスの怪しさ満載感は太田善也のような感じすらあって印象的。マンガのようにカッコいいという設定の俳優を演じた郷志郎は突き詰め感があって、物語の世界を引っ張ります。単なるミーハー娘だったりもする一面のある妹を演じた菊池美里はこういうコミカルな役は静かなおかしみのようなものが凄くて圧倒的に巧い。

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2009.09.26

速報→「天ノ星ハ昔ノ光」ARMs

2009.9.25 19:00

緒方恵美(声優・シンガー), 坂口理恵(役者), 真柴あずき(作家・役者)の三人のユニットの朗読ライブ、初公演。各回100席のチケットは完売ですが、当日券も結構出るようです(なので丸椅子だったりする)90分、26日まで外苑前「月見ル君想フ」。

ラジオ番組の収録に訪れたゲスト。迎えるスタッフ、パーソナリティ。録音が始まる直前、作家らしいゲストはインタビューの代わりに、未発表の原稿を読んで欲しい、という。

26場。朗読、芝居、唄を交えつつ。全体の大枠はスタジオにきたゲストとパーソナリティの関係。短い物語をはさみつつ、徐々に明らかになるこの場の意味。真柴あずき脚本以外には緒方恵美のストリーミング放送で使われた物語と唄、シェイクスピアと宮沢賢治も。

声優は、アタシは気づいてなかたけれど、碇シンジを演じた彼女。ならば前売りがあっという間に完売するというのも頷けます。男の子から父親からかわいい女性から、オンナノコから、変幻自在で巧い。

真柴あずきは狂言回し的な役回り。序盤で客席を暖めるのも巧い。坂口理恵はアタシが追いかけ続けている女優ですが、むかし読んだ「濡れた声が本人は好きじゃない」というのを声を聴きながら思い出しました。今のキャラメルでは肉声というわけにはいきませんから、どうしてもマイクを通した声になっていますが、今作の間に挟まる芝居では肉声な感じ。三人とも独特の声を持っているので、さまざまに楽しめるのです。

ものがたりに関しては「おやすみ」が効き目抜群ですが、あたしが好きなのは「夏の終わりに」なのです。女性二人で旅にでる話は、アタシの気持ちにすとんとはまります。

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2009.09.23

五連休おわっちゃったなぁ。

で、秋に次いつあるかってのは、秋分の日が確定しないとわからないわけで、来年はダメみたい。予測値でいうと、2015年、らしいんですがどうだろう。

部屋の掃除機ぐらいはなんとか、芝居は少なめ散歩多め、Accessの入門書を基礎編ぐらいは読めた(「できる」シリーズを買うことになるとはおもわなんだ)。10月のチラシ整理はできた、ギンギラ福岡のあたりの予定が厳しそうだということもわかった。

iMacはSnow Leopardにアップグレード。びっくりするぐらい変化ないが、Logicoolのドライバがインストールできずに難儀したけれど、先人の知恵で解決。ということは、OSカーネルは32bitで動いてるってことか...。まあなんとか、落ち着いた休日。

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速報→「夜の口笛」chon-muop

2009.9.22 19:30

チョンモップの新作。毎日更新のblogと連動した9月と11月公演の一つ目。23日まで、仙川・niwa-coya。60分。

閉店間際の小さなカフェ。近所で暮らす知り合いの二人の女、話に花が咲くが、マスターは浮かない顔。店の片隅にはずっと寝ている女が居て。

カフェ&ギャラリーと銘打つ住宅にとなりあう小さな空間。何が物語なのかというとよくわからない感じなのだけど。女二人の楽しげなはなし、マスターの悩み、飛び込んでくる謎の男。近くの伝説のようなものを引いているようでいてそこに主眼があるわけでもなく。

blogの方は、仙川の街に住むことになった大町ヤスミのとりとめのない日常の点描。それを知らないと芝居がわからない、ということはないのだけど、その中でヤスミの見たもの感じたことがちょこちょこと顔を出したり、blogとリアルの接点のようなものを垣間見せるという「アート」なのだというとまあそうなのかもしれません。

ひとりと、ふたりで、三ツ矢サイダー♪という冒頭の曲が楽しい。結婚した女と独身女の会話、なぞめいた男、すてきなマスターなど、店にいて見聞きしたシーンを切り取って見せている感覚は、近所で知ってるようでいてでもどこか遠い感じのアタシの散歩の感覚に近いのです。

「合成コーヒー」や「伝説の怪人・コトヒコ」の感覚や、 これだけファンタジー感のある場所なのに怖い日常とか、都会のふつうの感覚で貫かれているのもちょっと面白い。

序盤終盤をきちんと「賑やかす」たけうちみずゑ、その相手となるつっこみの菊池千里が印象的。

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2009.09.21

速報→「立川亮とタンゴアカシアーノ×渡辺塾国民学校×部活動の『鱈。』 」

2009.9.20 19:00

一つのお題に沿って、三団体が行う共同企画ライブの一回目。テーマは「ぼくらの憂鬱」

誰にでも好かれてナンパされてしまうオンナノコは、やがてゲイも同性も巻き込んで。「部活動の『鱈。』、」
ジャージ姿に拡声器での演説ネタは教育・政治にまでおよび「渡辺塾国民学校」
ラジオDJに乗せてムーディーでコミカルな曲の数々「立川亮とタンゴアカシアーノ」

「鱈。」は昭和歌謡風なのはかわらないのだけど音源を減らしアカペラを増やした印象。50分ほどの物語なのだけど、対バンということもあって観客すべてが芝居を好き、というわけでもないこともあって少々苦戦をした感じがあります。今回の中では、人を思い続ける気丈なオンナノコを演じた沖田愛が実に愛らしくいじらしい。菊川朝子は部長だけあって隅々まで活躍、すごい。女に彼氏を取られるオカマ役を演じた武藤心平は観客をねじ伏せるように笑いを取っていて印象に残ります。

「渡辺塾国民学校」(wikipedia)は演説スタイルのピン芸人。演説口調や、唐突にさまざまな話題・ネタに飛びまくるというスタイルは、鳥肌実風だなぁと感じていたら、ネットではパクリとまで言われていたり。でもネタはたぶん独自なのでしょう。唐突で頭のおかしそうなことをいうだけではひねりがなさ過ぎる感じもして少々厳しい感想のアタシなのだけど、一定数の観客は確かに大受けで、どこを可笑しく感じてるのかということを知りたいなと思ったりも。

「立川亮とタンゴアカシアーノ」(公式web, myspace, YouTube )はいわゆるコミカルバンド風のエンタメに徹してるけれど、バンドとしても迫力十分でパワフルなステージで曲としてもちゃんとしてるのがたいしたもの。公式ページのdiscographyに歌詞が載っていますが、 不倫を題材にした男の身勝手な話を歌詞にした「君よこころの妻になれ」(上記myspaceで試聴可能)、 や、日本男児たるものみたいな「日本の男」、コンパの駆け引きを描く「コンパルンバ」などパワフルで楽しい曲揃い。ラジオDJの語りをした、かわばたおさむ、ボーカルの立川亮がともかく印象的。だいぶ雰囲気は違いますが、石井竜也のMC(小芝居)のエンタメ感に似ているところもちょっとあって、そういえば目の奥の光も同じように感じるなと思ったり。セットリストがあっという間にあがるのも好感度高い。

毎度観ている鱈はともかく、「立川亮とタンゴアカシアーノ」はもう何回か観ていきたいなぁと思わせるのです。三団体好き嫌いはあれど、致命的な差ではない気がします。むしろ客のほうが問題で、芝居を観るときにでも普通に話してしまったり、お目当て以外はほぼ無視を決め込む観客の多さはこの手の「異種格闘技」頭の痛い問題だよなぁと思ったり。

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速報→「青木さん家の奥さん」青年団

2009.9.20 15:00

南河内万歳一座のスタンダードを青年団上演という企画。27日までアゴラ劇場。80分。

ビールケースのうずたかく積まれた酒屋の裏。配達のバイトで入った若者。配達だけでほかに三人も居るが、その三人のみならず、酒屋の娘までもが、先を争って伝票を取り合っているのが「青木さんちの奥さん」のところだった。

この芝居は若い役者をこのバイト役にあて、配達の練習シーンを無茶ぶりな即興にするというのが基本的なスタイルなんのだけど、青年団版はおそらくすべて作り込むスタイル。ギターの生演奏がついていた記憶もありますが、役者が歌ったり踊ったりになっています。

確かにものがたりはきちんとなぞっているといえるのだけど、青木さんちの奥さんは、不条理っぽさのおもしろさはあるにしても、無茶ぶりの即興があってこそ、という気がするのです。物語がそれほどびっくりすること山盛りというわけではありませんから、それを台本としてきっちり作り込んだこれをすることの意味、というのは今一つつかみかねるのです。

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2009.09.20

速報→「正しい晩餐(海の幸バージョン)」劇26.25団

2009.9.19 19:30

ニーゴー団の新作、二本立て公演のもう一方。似ているようでいて全く別の話に着地する100分。21日まで駅前劇場。

海沿いのペンション。B級カルト人気のある秘宝館以外はほとんど観光の目玉の無いところ。謎の生物「ツルポゴン」を目撃しながらも亡くなった父親の意志を継いで、今でも毎年捜索に訪れる四人兄弟。

序盤は海山のちがいこそあれど、ほとんど同じに見える物語。ところが、徐々に二つの物語はずれていきます。秘宝館のチケットをめぐる夫婦の関係、受験生の親子の関係、出入りの八百屋の想い。ネットラジオの二人組も全く違うキャラクタ。

主軸となる兄弟四人の物語も、大雨の中生物を探しに行ったあとの展開は全く違います。こちらの方が「晩餐」や「食卓」というタイトルに寄り添っている感じで納得感があります。

劇団所属の三人のやくどころは基本的には変わらないのだけど、たとえば赤萩純瞬演じるペンションオーナーの妻と夫の関係は違う色合いになっているのが楽しい。チケットを巡る夫の秘密を初めて知った山バージョンに対して、知っていたけど見て見ぬふりをしていた海バージョン。これ自体がサイドストーリーというかこれだけが独立した小さな話になっているので本筋にはあまり影響しないのだけど二人の関係の違いが楽しい。支える赤萩純瞬は派手さも奇妙さもないフラットな役だけど、こちらでもその力は確かなのです。

DJの二人のキャラクタが違いすぎるのはご愛敬としても、「普通の人が知らないカルトな単語」をあっさりとうっちゃるやり方も微妙に違っていて面白いのです。こっちはB級マニアが聴いているのだという前提で、何のてらいもなく流しているのだけど、二つのバージョンの違いのおもしろさ。

メインの物語は、こちらの方がより欲望に忠実で病的な感じがないぶんだけ、納得感。大筋で同じ物語を見たのが二回目だからより理解しやすいということはあるのかもしれません。それでもこの二バージョンで作家の描きたかった四兄弟の物語の主眼がどこにあるのか、ということは今ひとつつかみかねているアタシなのですが。

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速報→「正しい晩餐(山の幸バージョン)」劇26.25団

2009.9.19 14:30

ニーロクテンニーゴー団の新作。海・山の二バージョン同時上演のうちの山編。21日まで駅前劇場。100分。

鶴ノ島という田舎まち。観光地らしいものはほとんどないが、ネットで評判の秘宝館と数年前に目撃された「ツルゴン」探しに時折訪れる。毎年この宿を訪れる父娘は、娘が大学受験の勉強に、父親は失業していて仕事が見つからない。もう一組毎年訪れるのは、「ツルゴン」捜索隊で今は亡き父の意志を受け継ぐ四人兄弟だった。

父の姿を知らない四男と、記憶はある三人の兄。ツルゴンに関わることで死んでしまった父親を追いかける兄弟たちの物語を軸に。父のことが鬱陶しい娘の親子関係や、子供ができないが仲のいい、しかし何か隠し事のありそうな夫婦、ネットラジオ番組の収録に訪れた黒づくめの女ふたりたちが周りを固めます。

正直にいうと、主軸となる四兄弟の話以外は、おもしろそうになる引っかかりを持っている割には放り出されている印象があります。その四兄弟の話は終盤に向かって気味の悪い感じに収束していって、作家らしい。

ネットラジオDJ、というひととの距離感のつかみづらい女ふたり(高野ゆらこ、林佳代)のシーンはフラットで起伏のない表情や台詞が逆にこの中ではコミカルなキャラクタで楽しい感じ。耳慣れない言葉をいちいちリスナーは知ってるのかとつっこみながらも知ってるからいい、と切ってすてる感じが楽しい。

夫婦のキャラクタは大人な感覚。前半で一瞬かいま見せる妻のけなけな笑顔が絶妙だったりして、赤萩純瞬のフラットな強さ。高校生を演じた森口美樹の可愛らしさ全開。四男を演じた斉藤岳夫のまっすぐ感の二人のシーンは甘酸っぱい。

裸の王様を引き合いに出してくるのは終盤に効いてくるかんじなのだけど、最初の唐突感が惜しい感じなのです。

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2009.09.18

【落語】「三之助をみたかい? vol.10」

2009.9.16 19:30

来年三月に真打ち昇進の決まっている三之助が続ける独演会。二席、115分。日暮里サニーホール。

博打打ちの手口「看板のピン」。 田舎からでてきて、財布を摺られ、困っていた男を雇った店は「甲府ぃ」

短いまくらといっていたにもかかわらず、まくらで60分。今年の夏のこと、来年のこと、旅先のこと、食べ物の店をネットで探す話、福岡のバスの話などさまざまとりまぜて。 アタシはどちらも初めて聞いた噺。なんか技をみて、それを真似しよう、という構造はよくある話。タイトに20分弱スピード感が楽しい。

後半はネタおろしらしい(違うらしいです。ご指摘感謝)じっくりした一本。タイトルだけは知っていて、どういう話かと思いながら、オチはあっても、涙じわりのいい話。素朴な感じをやらせても巧い。

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五連休だ。

で、すぐ来年のカレンダみたりするのだけど、春も秋も五連休にはなってなくて残念に思っちゃう。べつに休みだからって呑んだり観たりするだけなんだけど。

でも今年は五連休。ならば楽しみますとも。

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2009.09.14

速報→「極めて美しいお世辞」箱庭円舞曲

2009.9.13 19:30

120分、OFF OFF。美容院のバックステージの話なのだけれど、サラリーマンのアタシですら納得感のある、どこでも普遍に腑に落ちる会話は、会社員にこそ観てほしい。月曜からはトークショーもあります。

美容院、裏側、ロッカーと机とパソコンとダミーヘッド(正式名称知りません)のある部屋。5店舗を構える上期最下位の店。7年ぶりに天才肌の美容師も店に戻る。

美容院の話ではあるのだけど、そこに一度もいったことのないアタシでも納得感。これが美容院でも会社でも劇団でも成立しそうな大枠がしっかりしていて、気持ちにひっかかるポイントが多い。どこでもありそうな話という身も蓋もありませんが、そこかしこで起こりそうなことを書き込んで、知らない場所の話でも納得させる力があるは作家の強みなのです。

ミクロな会話があとから思い出すといちいちきっちり。 たとえばスタイリスト(原田優理子)とけん玉の女(津留崎夏子)の会話、唐突にすぎる動きの理由があとから腑に落ちるすごさ。このけん玉の女のポジションというのはすごくて、昔と今を繋ぎ、物語の裏側を見せ、しかしそれを軽く不思議な感じに見せてしまうたしかなちから。

後半で見せる総代表(伊藤新)と戻って来た天才肌美容師(小野哲史)の対峙のシーンがぞくぞく来ます。逃げ場を無くして追い詰めていくマネジメントと、圧倒的な能力のある職人のある種のバトルは二人とも格好良すぎるきらいはありますが、どちらに進むかという会社員的にほろ苦い分かれ道の先にある二人の姿で、あたしの気持ちを揺らします。

仕事の裏と表、色気も挟んでというのは、作家は意識していないと思うけれど、ある種「島耕作」の雰囲気。全く物語は違うけれど。観客の今の悩みと少々の夢想を視座にするという意味でエンタメっぽくてアタシは楽しい。

総代表からのプレッシャー、考え抜く店長(高木充子)の分析、たとえばスパンが伸びているという台詞は日経に載ってそうなありがちな分析だけど、芝居の台詞として聞くのは少なくて、作家が社会の、少なくとも風向きはきちんとみていることがアタシの気持ちを支えます。

これだけの濃密な芝居、DVDはもちろん売るでしょうが、アタシはむしろ戯曲として読みたいのです。当日パンフにクレジットされている前説男は作演ですが、劇中にも名前が出てきたりとか、以前の芝居の人物を引いてきたり(でも物語自体にはその知識を必要としない)する遊び心が楽しい。

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速報→「互角」げんこつ団

2009.9.13 14:00

げんこつ団の新作。120分。13日まで駅前劇場。

約20本強のネタは後半に。

ここしばらくの彼女たち印象として、毒よりもおかしみにシフトした印象。時節柄か、政党ネタは多いけれども駄洒落なネタも。使えない社員、苦しい経営者の自暴自棄、政党だの省庁だの本当に必要とは思えないし力もあるとは思えないなんて作家の冷ややかな視線が全体を貫いている印象。なるほど「『国』をテーマに」という感じ。

映像も役者も全体に安定感。とんがっている感じが減っているのはまあ互いに歳もとりましたから仕方ないのかもしれません。 ヤオイネタ、全体で一人の山田ネタ、お父さんの新機能、手書きのGPS地図がネタとしておもしろい感じ。次の窓口を案内するのがいつのまにかRPGな冒険になっているのは実感として腑に落ちて、それを役所っぽい語り口で語り切る春原久子がちょっとすごい。

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2009.09.13

速報→「猫の墓-漱石の想い出-」

2009.9.12 19:30

菅間ぽてと(馬鈴薯)堂の新作。夏目漱石の家の中の一年間。90分。13日まで王子小劇場。草稿webに掲載済み(上演されたものとはずいぶん違いますが、追々決定稿も掲載されるでしょう、きっと)。こういうところにギスギスしないのが天晴れなのです。

明治41年の頃の話、住み込みだった森田草平がかつて縁のあった人々から聞き取り、普段着の夏目漱石を書こうとしていて。

ここしばらくいわゆる「底辺近くで暮らす人々」の物語の多い馬鈴薯堂なのですが、本作は史実を元に妄想を足して描いているという意味ですこし色合いが違う気がします。その家の中で起きていることを創作を交えながら描きます。想いが交錯したり喧嘩したり。

いつものとおり、台詞は断定の口調、決して自然な今の日本語とは違いますし、ぶっきらぼうにすら感じさせる文字面なのです。が、なぜか彼らにかかるとその言葉の奥にきちんと感情が込められているのです。最初は慣れないのだけれど、何回か観ているうちにこの特性に気づくのです。

夫婦の喧嘩のシーンの圧倒する感じが好きです。コミカルで楽しいけれど身にしみこむ感じに。味があります。漱石の癇癪持ちというのを広げた感じでものすごく印象的なのです。あるいは序盤で横に並び頭を下げ、そこから口上という形のおもしろさ。正直にいうと、いくつか聞き取れても意味のわからない言葉があったりします。「樺戸(※北海道のカバトの監獄のこと)帰りヨ!」なんてわかるわけもないのだけれど大きな問題ではありません。あるいは、ござを敷いて夜道の二人歩きを見せるのも楽しい。

客演しているタテヨコ企画の役者陣、舘智子・藤崎成益・好宮温太郎・西山竜一がしっかりささえる感じで心強い。小田豊演ずる文豪の姿は等身大で親しみやすく、妻を演じた稲川実代子はいつものとおりの安定感。

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速報「神様はいない」MU

2009.9.12 14:00

Muの80分二本立てのもう一本。笑いは抑えめで神様ってものにまつわる、しかしどこか日常の話。13日まで交互上演でモリエール。

そば屋の二階では作家の長女。編集者が書かせたい売れる本に対して世間に噛みつくような一本が書きたくて仕方がない。同居している外国人留学生はその文章に感動する。一階のそば屋は客が入らず長男は悩んでいる。商店街の知り合いが宗教の勧誘にくる。最初は拒むが、もっとカジュアルで神様を信じなくてもよく、互助会のようなもので会員は会員の店に行くようになるから商売にプラスなのだと説得されて。

「片思い〜」に比べると表だったコミカルはほとんどないのだけれど、真剣な行動ゆえの悲劇は後から思い起こすとどこかおかしさすら感じるのです。日本人だけが信じる神のようなものを持たないのを普通と考えている、という台詞が本当のことなのかどうか、本当のところを知るすべはアタシにはありません。まあそういうものだと考えて。

日本で起こせるテロはせいぜいが刃物を振り回して無差別に通行人を殺傷するということで、ある種しょぼいそういう現実なんかよりは、小説の中で自分のやりたいことがいくらでも詰め込めて、それこそがテロなのだと云うのです。それは足が悪くてあまり出歩かないという設定にされた作家の十分に屈折した自己実現の姿にアタシには思えます。それに心酔する留学生は結果として作家の信者になり、作家に迫る現実の脅威は、留学生が体を張って阻止するのだという戦争の縮小コピーのように、この小さな店の中で事件は起こるのです。

芝居の作家はここで何かを主張するということはなく、キャラクタ化した人々を描いて、小さな箱庭をここに作りだしています。そこかしこに「ありそうな」日常をぎゅっと濃縮してキャラクタを立たせているのです。

。 久しぶりに観たら髪の毛ばっさりでイメージのずいぶん違う足利彩は紅一点として舞台を支えます。長男を演じた小林至のどこかまじめだけれどうまくいかず、酒が入るとタガがはずれるというありがちといえばありがちなキャラクタを、しかしこういう味を持ってできるこの年代の役者は少なくて印象的。

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2009.09.12

速報→「片想い撲滅倶楽部」Mu

2009.9.11

結婚相談所での、悲喜こもごも。ハッピーエンドは珍しく楽しい。13日までモリエール。二作品を交互上演。チラシにあるとおり80分ほど。

結婚相談所。女性の社長、出資した男、その愛人。社長はその罰として愛人を会社で働かせようとして。実は、その愛人には別の力。

軽く観られる芝居は金曜夜の少し遅い開演と合わせて楽しいアタシです。どろどろ静かな修羅場の物語かと思えばさにあらず。いい歳した恋愛に不器用な女と、浮気性でモテモテな男と、天然と呼ばれていても自分の立場を分析しながら一途な想いの女とを軸にした物語。間口が広くて見やすくて。劇場の構造は決してよくなくてほぼ真っ平らな客席ですが、意外に観にくさを感じません(ほぼ立ち芝居だからですね、きっと)

物語の軸となる堀川炎と佐々木なふみのカップリングは強い。堀川炎は序盤でのキスを目撃してアゲられる感じのシーンが好きです。佐々木なふみは終盤、愛人が戻って来てからのもう一言の格好良さ。そのモテモテ感の成川知也はオヤジの夢物語の投影場所。浅倉洋介は普段見せない軽い芝居がけっこう決まる。大久保ちかは初見ではないけれど、声の特徴が印象的。辻沢綾香は実年齢に対してあまりにハードルの高い年齢を当てたのは作家の責任で、そう見えないのは致命的ですが、きっちりとしています。 というか、当日パンフに年齢を書かなきゃいいんじゃないかとおもったりも。

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2009.09.10

会議の一週間

シーズンごとにいろんなところから人が集まって話をする一週間。この会議の位置づけを考えたりしながら次はどうしていこうか、というのを夢想するのは嫌いじゃなかったりします。もっとも実際に実行する段になると、やりたくないなぁとか思うチキンなアタシですが。英語がなぁ。ラジオ講座を進めてくれた親にはほんとに感謝してて、アタシの英語力のほとんどは、中学生前後のあのラジオ講座の4年間に今でも依存してるのだけど、磨かなければとうぜん鈍るわけで。遊んでばかりで自分へのインプットが少なすぎるということかそうか。

週末

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2009.09.07

速報→「グロテスク」国分寺大人倶楽部

2009.9.6 18:00

国分寺大人倶楽部の新作。6日まで王子小劇場。アナウンスは2時間、でしたがほぼ110分。

個人経営の塾、夏休みの合宿。「お父ちゃん」と呼ばれる塾長と、問題を抱えていた若者の講師たち。塾生たちもリストカットや親との関係など問題を抱えていて。合宿の初日の夜、塾長の娘(言葉が理解できない。血はつながっていない)が、塾長を殺してしまう。講師たちはその事件を隠蔽していこうとして。

宗教めいた「お父ちゃん」の塾に見えるけれど、そういう信じるものに起因しているわけではない場所。お父ちゃんが殺されたあとでもこの場所を維持して、じぶんのしたいことが続けられるようにする、というあたりが全体の骨格かと思います。国分寺大人倶楽部(どうやって略したらいいんだろう)らしく、恋より先に体が繋がる感じが多くて、それは繋がることが日常に近くて、恋だの愛だのがもっと奥にあるという作家の世界の見え方がおもしろいのです。

本筋通りにいかない、無駄な会話にすぐ脱線してしまうのはイマドキの感じが良く出ていて楽しい(現実だと腹立たしいけれど)。

終幕、見学に来た学生のなくなっていた制服をかくしていたのは知恵遅れらしい娘のわずかな楽しみだったことが示されます。その直前のシーンは「お父ちゃん」の首を絞め(一度あきらめたものをお父ちゃんが手を添え、ガイドする)、押入の奥から制服を取り出し着替えて喜び飛び跳ねるように飛び出していく、気持ちを揺らされるシーンなのです。その前にあった死体のシーンでは下半身がでているのに、終幕はそうなってなくて辻褄があわない謎は残ります。でも、中盤で娘が押入れをあけようとすることを阻止した理由にはちゃんと繋がっていて。演じた望月綾乃はほぼせりふなしでも、その場所に居続けるという難しい役。ジェニー先生役の笠井里美は大人の色香をしっかり。

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速報→「悪趣味」柿喰う客

2009.8.6 14:00

柿喰う客の新作5周年記念公演。きっちり幅広い観客にリーチしそうな105分。13日までシアタートラム。←こういう文体を当日パンフ(300円)でおちょくるセンスは好きだ。

町からはなれた村、呪われた家族。母親は時折起きるなぞの発作を薬で抑え、娘は毎日のように村の同年代たちを引き連れて森の中の化け物を探しにいっている。その呪いを解こうと村人も考えていて。

いつになくきっちりと具象っぽく村はずれをつくり込んだ舞台装置。物語も、しっかりと一つの筋を通して、そこに過剰な遊びやサイドストーリーを緻密に組み合わせた感じ。意識して作られたであろう安っぽさはあるにせよ、まるで新感線のようにすら感じられる仕上がりは、破綻のない物語で受け入れられる範囲が広いだろうなと思う反面、トークショーで語られた破綻なきゆえの不満が今までのファンには出てくるというのもよくわかります。こういう集約こそ今までは笑い飛ばして来た彼らですから、それゆえの「悪趣味」かとも思うのです。台詞の早さが体感的に2割ほど遅くなってる感じなのだけど慣れただけなのか、役者の力なのか、バナナの聞き取れない台詞との比較の話か。

母親と娘・息子たちの愛情の物語を全体の中心に。 呪われる家族になるとわかっていても宿した子供の生むという意志の切なさ、みたいなことを中心に据えてしっかり見せるし母親を演じたコロも娘を演じた深谷由梨香もしっかり。 まともに見えるはずの村人たちの考えることのえげつない悪趣味は終幕近くで姿を見せて、まとも(に見える)ということの怖さを描き込みます。それでも、 ことさらに泣かせるほどにはもっていかないのは彼ららしい。

片桐はづき演じる子供のキャラクタがちょっとすごい。これを役者の生理で演じきるのはかなりストレスフルな感じがしますがきっちり。須貝英のかっぱというのも飛び道具なのだけど、伝説を語る役としての重要。「箱庭」という単語にこだわりすぎるのは、まあご愛敬。

謎解きだったりイキオイの楽しさのようなものは薄め。物語の作り方の方針をしっかりと決めて取捨選択している感じがして、公演ごとに姿をがらりと変えてくるここ数作は実にスリリングなのです。

トークショーによれば、旗揚げからの5年間の集大成となって次回からはがらりと印象を変えるつもりなのだといいます。いままでと今作でことさらに変えたことはない、とは彼らはいうのだけど、照れ隠しでなく本気でそう思っているならばおかしいだろうとおもうのだけどどうだろう。

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2009.09.06

速報→「THE DEEP」ネオゼネレイタープロジェクト

2009.8.5 19:00

NGPの一年ぶり新作は、B級魂溢れる海洋SFホラー120分。6日まで「劇」小劇場。

行方不明の遭難が相次ぐ海域。弟の乗った海洋調査船を追いかけ、友人のジャーナリストを頼ってサルベージ船でその海域に向かう女。果たして奇跡的に船はみつかり、30人のうちたった3人の乗組員にも出会う。が、何か違和感があって。

深海調査船にまつわる、水やホラーっぽさを満載の仕上がり。つっこみどころが満載だとしてもそれらしい説明をさらりとしかしきちんとしていることで、観客の納得度をあげています。そもそもが、バミューダトライアングルのような嘘くささがベースですの設定なので、そこにどうこういうのは野暮というもの。

この船の不気味さというのが語られたあたりから、「何が脅威なのか」は観客には早々に見えてしまいますが、それが徐々に登場人物たちにも明らかになっていく過程こそがこの手のホラーっぽい話の楽しみで。照明や音などの効果も少々安っぽいほどにがつんと効かせることで、70年代SFっぽい感じになっていて、アタシの世代ぐらいだと懐かしい感じすら。

劇小という劇場でわずか7ステージという規模のわりに、劇場に建て込まれた海洋調査船の一室は空間の広がりといい実に印象的。なんかもったいないぐらいなのだけど。

恐怖感をさんざんあおるわりには後半にコミカルな要素が増えていくのはちょっと面白い感じ。前半でしっかり枠組みをつくっているから、その世界の中で遊んでいるようにも見えるけれど、B級SFにありがちな、後半で物語り世界が綻んでいく雰囲気にも似ています。本作が綻んでいるわけではなくてそんな雰囲気をわざと作っている感じが面白いのです。

恐怖が決まればそれにどう対抗するかがポイントなのだけど、それっぽい納得感のあるものを引っ張り出してくるのもちょっとうまい。強引さがあることも自覚した上できっちり描いているのは楽しいのです。ゾンビが迫ってくるのを次々なぎ倒していくシューティングゲーム風の場面もちょっとそれっぽい。

モダン太陽族に続く吉村公佑が演じる弟が印象的。森脇由紀のアクティブな感じや石塚義高の冷静な感じが後半でみせるコミカルさに繋がるのも楽しい。笹野鈴々音は以外に珍しい普通の大人の役がじつにぴったりなのだけど、恐怖に声をあげる感じはホラーっぽい雰囲気によくあっています。

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速報→「太陽の陽」G-up

2009.9.5 15:00

2008年の同居人作品(未見)のG-upによる再演。100分。6日まで駅前劇場。

中学一年の冬にイジメで自殺した男子生徒。その学校の副担任の自宅。妻は介護に追われるが明るい。娘は同じ学校の同級生だが最近新しい友達と遊ぶようになっている。夏になっても学校側の調査は依然として進まず、自殺した生徒の母親は時折ヒステリックな苦情を寄せている。副担任の男は風化する周囲に違和感を感じているが。

いじめに端を発する副担任の物語。とはいいながら妻に任せきりになっている自分の母親の介護の問題、娘の素行が怪しくなると友達とつきあうなと言い放つ姿、いじめに関しては何かできたのではないかという鬱屈した気持ち。30代後半から40代にかけての男が立たされる立場をさまざまな要素で丁寧に積み重ねます。状態の描写は実に細かいのだけれど物語は大きくは動かない印象があります。

勧善懲悪、二項対立とは行かない問題をあつかってるのでそう簡単にはならないのはもちろんなのだけれど、そこに描かれた男の姿のどこをどうアタシの中に納めていいのか、視座の持ちように戸惑います。 そこにある男の姿、周囲の様子のそこかしこの火種、終幕こそ家族のつながりに戻っていく感じは受けるのだけれど、それが解決というわけではなく。

とはいえ、そういうのも含めて人生か、と受け流すこともできないきまじめさの男。教師である前に父親である、というデッドロック感で身動きのとれない感じはアタシの気持ちに残ります。終幕ちかく娘が制服で男がYシャツ姿での帰宅、少々気になる感じ。物語を回収するためならば娘の友人についての外出になるべきなのだと思うのだけど、明確には語られません。

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2009.09.03

iPhone。

ソフトバンクはなぁ、と思っていたけれど、Macもってるなら使うべきでしょ、というのはわかっていて。この機械がイーモバイルで使えたら、ギャザリングもできるし、いいのになぁと思いながら、周波数が違うので叶わず。

という葛藤を経てiPhoneを使っています。touchからの乗り換えなので、重量以外はビックリするほどかわりません。いままでは使ってなかったフリック操作も練習したりして。

というので眺めてると、webも見やすい。たとえば、きらり☆ふじみの新芸術監督のニュースとか。

来週は英語が待ってる。せめて週末は日本語を浴びよう。

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2009.09.01

速報→「新釈 ヴェニスの呆人 2009」コマツ企画

2009.8.30 18:00

コマツ企画の過去作品(未見)の同タイトルなのだけど、たぶん全然違う100分。30日までアゴラ。

障害を持つ兄、母親は何かを隠しているが、虐待をしている。父親はなにもしてくれない。妹はそれをみているが。

正直にいうと、物語がぴんとこない感じはあります。が、毎公演の後に設定されているという10分のトークショーが作家の一人語りで、質問も受け付けないということを聞けば、これは、全能の作家が自分が作った物語を語りきることの恥ずかしさをごくごくまじめに、「ひり出して」いるのだということがわかるのです。

なるほど、芝居のそこかしこで演出というか作家自身が楽屋落ちのようにあからさまに姿をみせます。決してスマートではない、むしろ身を切るようなやりかたなのだけど、それは納得感があるのです。例えば本谷有希子も自意識を見せてなんぼ、な物語を書きますが、こまつみちるはもっと泥臭くて切実なのです。

下手側に座ったアタシは異儀田夏葉の表情の豊かさを堪能、対比して近藤美月の無表情で喋りつつ頭おかしい感じがすごいのはいつものことなのだけど、この二人が舞台にいることの楽しさ。 川島潤哉の医者はやけに説得力。

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