速報→「BUG」燐光群
2009.9.27 14:00
新しい戯曲を紹介する燐光群+グッドフェローズのシリーズ。オフブロードウェイでロングランとなった日本初演。主役降板にもかかわらずの見応えある110分。30日までスズナリ、そのあと名古屋・大阪。
オクラホマのモーテル。息子を失って数年たった女。仮釈放された元夫の暴力から逃れるために暮らしている。女友達が連れてきた元兵士の男と出会う。神経質に見える彼とどこか気持ちが通じあい一緒に暮らすことになる。男は部屋に小さな虫が居る、と言い出し、部屋中をひっかき回して虫を探し始め、女も。
オクラホマのヤンキーな感じの人々。暴力と酒とドラッグの日常の人々。暴力夫、そこに神経質そうな、しかし優しい男。愛情を感じ初めてという感じの序盤。ここのありがちな、しかし丁寧に積み重ねたところから「虫」をキーワードにして一気呵成に暴走していくスピード感がちょっとすごい。ちょうど真ん中あたりでたった2分の休憩を挟んで暴走していくようになっていきます。
誤解を恐れずにいえば、「あたまおかしい」男の妄言と愛情のあまりその妄言に巻き込まれていく女。二人の互いの気持ちと思いこみだけで外界を絶ち、二人は異常な発振状態に飛び込んでいく、といえばそれだけの話ではあります。ドラッグや病気はともかく、ここまで暴走する愛情という意味でもアタシの何かに引きつけてみられる人物が一人もいないのに、引きつけて見続けてしまう不思議な吸引力があります。
美保純という役者でも年齢の進んだヤンキー女というキャスティングからは魅力があっただろうという気はするものの、すくなくともアタシのみた頃には西山水木以外には考えられないぐらいにものがたりにぴったりとはまりこんでいます。チラシポスターの類もすべて作り直し、さらにいわゆる「芸能人」の降板というハンデがありながらも、これだけちゃんと入っている、ということは芝居そのものがきちんと魅力的に作られていて面白い、ということだろうと思うのです。
もっとも、じゃあアタシがどこに惹かれたのかはいまひとつはっきりしません。序盤で二人が出会うシーン、互いをさぐりあい、つながり合うところが好きだということははっきりしていますが、そこから暴走する感じを、どう自分の中に定着させたらいいのか、ということはいまだに迷うのです。動物園のように眺める視点なのか、それともその暴走の嵐を全身に感じ取る視点なのか、自分にフックする部分がない物語の見方をどうしたらいいのか、ということに迷うのです。
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