速報→「猫の墓-漱石の想い出-」
2009.9.12 19:30
菅間ぽてと(馬鈴薯)堂の新作。夏目漱石の家の中の一年間。90分。13日まで王子小劇場。草稿がwebに掲載済み(上演されたものとはずいぶん違いますが、追々決定稿も掲載されるでしょう、きっと)。こういうところにギスギスしないのが天晴れなのです。
明治41年の頃の話、住み込みだった森田草平がかつて縁のあった人々から聞き取り、普段着の夏目漱石を書こうとしていて。
ここしばらくいわゆる「底辺近くで暮らす人々」の物語の多い馬鈴薯堂なのですが、本作は史実を元に妄想を足して描いているという意味ですこし色合いが違う気がします。その家の中で起きていることを創作を交えながら描きます。想いが交錯したり喧嘩したり。
いつものとおり、台詞は断定の口調、決して自然な今の日本語とは違いますし、ぶっきらぼうにすら感じさせる文字面なのです。が、なぜか彼らにかかるとその言葉の奥にきちんと感情が込められているのです。最初は慣れないのだけれど、何回か観ているうちにこの特性に気づくのです。
夫婦の喧嘩のシーンの圧倒する感じが好きです。コミカルで楽しいけれど身にしみこむ感じに。味があります。漱石の癇癪持ちというのを広げた感じでものすごく印象的なのです。あるいは序盤で横に並び頭を下げ、そこから口上という形のおもしろさ。正直にいうと、いくつか聞き取れても意味のわからない言葉があったりします。「樺戸(※北海道のカバトの監獄のこと)帰りヨ!」なんてわかるわけもないのだけれど大きな問題ではありません。あるいは、ござを敷いて夜道の二人歩きを見せるのも楽しい。
客演しているタテヨコ企画の役者陣、舘智子・藤崎成益・好宮温太郎・西山竜一がしっかりささえる感じで心強い。小田豊演ずる文豪の姿は等身大で親しみやすく、妻を演じた稲川実代子はいつものとおりの安定感。
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