速報→「さよならノーチラス号」キャラメルボックス
2009.8.28 19:00
1998年初演作の再演。クロムモリブデンの二人の役者を客演に迎えて120分。13日まで紀伊國屋サザンシアター。そのあと大阪。
父親の事業の失敗で夜逃げをしたが、学校から足がつくのを恐れて一人、叔母の 家で家族と離れて暮らしていたタケシ。六年生の夏休みを家族ですごすために、 父母や兄の住んでいる府中の自動車整備工場の二階にやってくる。 工場の社長は勇也、そこで飼われている老犬はサブリナ 工場にある日、ワケアリの車の修理が持ち込まれる。持ち込んだのは勇也の兄。
97年の年末公演として企画されたタイトルだったのだけれど、作家が倒れて98年に上演された作品。上川隆也効果でものすごい動員数になっていた頃なのだけど、ひたすら素直だったり、かっこいい時代劇が中心だった時代のまんなかに、作家の子供の時代を投影した、どちらかというと暗部をより取り出した印象の芝居は、キャラメルボックスが大人の芝居を作り始める最初の頃の作品で、ずいぶん違和感を感じたのでした。
役者は大幅に入れ替わっていて若い役者も多いのだけれど、印象はびっくりするぐらい変わりません。作家の想いが強く投影されているためかどうか、物語がどうにもいびつな感じで、正直な話、エンタテインメントとしての物語の完成度は決して高いとはいえません。それでも少年が大人に成長する12歳ぐらいのさまざまな想いがごった煮のように詰め込まれている感じは、40過ぎたアタシにだって、今でも感じる「もどかしさ」がめいっぱいなのです。
一人で暮らすことの寂しさ、父親が小さく見えてしまう感覚、兄への反発、母親に甘えたい気持ち。あるいは大人の男、その嘘や汚さ、年上の女性に対する淡い恋心。どうにも整理がつかないそんな気持ちが沢山つめこまれているのです。
初演に続いて「サブリナ」を演じた坂口理恵が圧巻。おなじようなキャラクタのアメリカの漫画がありますが、それを差し引いたって、こんなにもこの役に似合う女優がまったく思いつかないのです。クロム勢の久保貫太郎は実に味のある父親、コミカルさを全面に。森下亮演じる弁護士はもっとヒールでであってほしい気はしますが、特異なキャラクタを封印している感じなのは、新しい領域を見せます。
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