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2009.08.03

速報→「来来来来来」劇団、本谷有希子

2009.8.1 19:00

劇団としての本谷有希子久しぶり、新作。110分。16日まで本多劇場。そのあと新潟(8/18)、大阪(8/21-22)、北九州(8/25)。

次男の嫁として嫁いできた女。義母は義父が逃げてから気が触れ、それに辟易した次男は新婚の妻を置いて逃げ出してしまうが、残された妻はそれでもその家に居続ける。逆境こそが自分を強くするのだと信じ、今は居ない夫がみせてくれようとした美しいものを心に抱いて。

女性ばかり6人の構成。主役である次男の嫁、義母や長男の嫁、近所の主婦たち、女子高生。田舎の村、ちいさなコミュニティのこじんまりとしたなかで、女であること、嫁であること、理不尽さのようなものをぎゅっと圧縮。 田舎に嫁いできた嫁という立場は「そこから動けない悲劇」として語られることが多いのだけれど、作家はそこをあっさり飛び越えて「動かない」女として次男の嫁を描きます。

自意識と自分の美学と周辺からの期待とそのギャップ、のようなことを描かせると抜群に巧い作家の物語は、時に露悪的だったり意地悪目線だったりはするけれど、枠組みの中で必死に生きる人々を実に丁寧に。

これだけの美女をそろえ、しかも大笑いさせるシーンがそう多いわけではないのだけど、必死さからにじみ出るような「おかしみ」のようなものが笑いを生むのです。人の不幸は密の味とはよくいったもの。

逆境こそが自分を前向きにする、という無茶なポジィティブシンキングな主役を演じたりょうはすらりとした見かけからは想像できないほどに泥臭く、しかし人間が透け見えるようで印象的。意地の悪い長男の嫁を演じた松永玲子、近所のオープンすぎる主婦を演じた吉本菜穂子は円熟の領域といってもいいぐらいにこの世界にぴったりと寄り添います。木野花は結局まともなせりふがほとんどないやけに贅沢な使い方だけれども、業のようなものが滲みだしている感じが夢に出そうなぐらいに印象的。

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