速報→「グッバイ・マイ・ダーリン」世田谷シルク
2009.8.8 19:00
あちこちで印象に残る客演を続ける堀川炎の劇団、世田谷シルクの新作。アタシは初見です。90分。9日まで楽園。
ぽつりぽつりと常連客しか来ないセクキャバ。その店の二階に住む親子四人、母親が盗んで来たリンゴで家族は騒ぎになり
当日パンフにクレジットのある寺山修司「アダムとイブ、私の犯罪学」ではトルコ風呂の二階だった設定をセクキャバの二階に設定。階下では騒がしくもあまり代わり映えのしない日常としての風俗の日々。そこで働く女性たちをリンゴに例えるかのような演出がベース。なるほど衣装もリンゴっぽい赤だったりします。
キャバ嬢たちは母親だったり大学生だったり、ヒエラルキーやら内輪もめがあったりとさまざま点描。母親でホステスでという西原理恵子(「できるかな」)チックなものを想像しているとそれはわりとあっさり裏切られます。ものがたりというよりは、そういう華やかな場所を描いている感じ。
男と女がふれあう(というよりは「お触り」ですが)場所、となれば禁断の果実でリンゴというつながりはもとのテキストかしらん。あるいはキャバ嬢たち自身もリンゴとして描かれたりと幾重にも包まれたアイコンなのです。
正直にいえば、物語を追いかけようとすると少々戸惑う感じ。もとのテキストを知っていればもっと違う感じになるのかもしれません。いわゆる風俗としちゃ可愛らしすぎて劣情を刺激しないという弱点はありますが、女性たちの華やかな感じは鼻の下を長く伸ばせて楽しい感じ。コラージュなのだという特色はよく出ています。
ルパムっぽい動きが挟まったり、別の戯曲から生み出す手法だったりと「コラージュ演劇」と名付けられたその姿は、山の手事情舎を彷彿とさせる感じがします(そういえばその昔山の手は「ハイパーコラージュ」だった)。なるほど作演の経歴を観れば山の手も見えたりして、さもありなん。いわゆる劇団という長期間にわたって統一された役者たちというわけではありませんから、一糸乱れぬ、という感じにはさすがになりませんが。
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