速報→「すこし離れて、そこに居て」散歩道楽
2009.8.5 19:30
散歩道楽、はじめてのサンモール(スタジオじゃないほうの)進出。豪華な客演陣で。120分、9日まで。
町の豆腐屋。妻は出ていってしまい、息子は部屋からほとんど出てこない。娘は男と出ていったきり、義父は少々認知症が出てきていて。ある日、娘が突然戻り、義父はガールフレンドを紹介し、息子は元同級生の女が訪ねてきて。
あくまでもフラットに笑い少な目に始まる序盤、見やすくはありません。時間をかけすぎな感はありますが、駒を一つ一つ置いていくように。軽く見やすい話という印象で観ていると少々戸惑います。巧く行っていない家族の話というのはしかし実に丁寧。もっとも、離婚はおろか結婚すら経験してないアタシには大高洋夫が演じる男の拘泥するほんとうのポイントは見えないのかもしれません。
外での演出では、そこの主役ということを外さない作演ですが、劇団名義の公演に豪華な客演を招いても、ものすごくスター扱いしない、というのは興行的には難しいのにやってしまうあたりが男らしい。
ヤクザを演じた郷志郎はしなやかで中盤を支えます。息子を演じたキムユスはいわゆる飛び道具キャラでではなく、若者視点をきっちり。ヘルパーを演じた菊池美里は笑いをちりばめて見やすく。序盤のシャツのボタンに気づいて微妙な恋心で空気を緩ませる感じがいい。若い茨木弁の男を演じた宮原将護、笑わせかっこよくもあり印象的。
ネタバレかも
いい歳の男の挫折感を描いた終盤。底割れすることで物語全体をひっくり返す迫力。もっとも、これをするならば、そこまでの物語をもっとタイトにしたい感じなのです。初日時点ではそこの難しさを感じる仕上がり。
いわゆるアイドルを呼んでいる芝居なのだけど、主役に据えないというのはちょっと作家の男気、それに応えた二人もたいしたもの。引きこもりや、(あからさまには語られないけれど)宗教モドキにはまりかけているというある種の暗部を背負わせています。表面的な暗さや明るさの裏側をきちんと演じ分けています。彼女たちを目当ての客はどうだろう、微妙なところですが。
大高洋夫はやはり圧倒的な感じ。小劇場への客演が増えてきているのですが、その場所の役者や劇場にどんな風にでも変幻自在。巧い。
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