速報→「暗ポップ」空間ゼリー
2009.8.30 15:00
一年以上ぶりの劇団本公演。 ハロプロエッグを客演に。なるほど、ほぼ満員。120分、30日までRED/THEATER。
7日間のグループセラピー。心療内科の新しい試みとして病棟を建ててまでする最初の回。なれるまで言葉が喋れない女。ほかは保母、ライター、高校生、ニート、ヒモ、営業マン。軋みながらも慣れはじめ、快方に向かうことがはっきりしていても、それは些細なきっかけでがらりと変わってしまう。
中盤まで、丁寧に丁寧にセラピーの現場を描いている感じがします。もちろん、芝居を観やすくするためにキャラクタ化された人々は、リアルとはちょっと違う感じは受けますし、何より美人美男子がそろいすぎというのは、まあ仕方ないか。
こういう閉塞された空間での人間関係、特に人のささやかな悪意や空回りする善意や無意識のうちに傷つけるなんてことを描かせるとこの作家は強くて、「ゼリーの空間」と同じ意味でのこの劇団の勝ち筋の芝居、という気がします。(そうえいば終盤での飛び込み自殺を暗示するのも同じだ) この手の題材を扱うことで傷つく人が居るかもしれない、というリスクはあるのだけど、丁寧に描く姿勢は確かに。
終盤に至りものがたりが転がると、物語を進めたいがために少々エキセントリックに過ぎる変化を見せます。こういう繊細な題材を扱うには、前半に比べるとどうしたって粗っぽくなっている印象があります。半面、芝居として観ると前半はスローモーに感じるというのも確かにその通りで、丁寧さとの兼ね合いが難しい。 現実を知らないので、これがリアルなのだと言われると反論できないのですが、この手の治療プログラムとしてみると患者同士はともかく、入院患者まであまりに自由に交流させすぎてはいないかという感じはあります。終盤の事件はそういう「コントロールされないコミュニケーション」から生まれるので、物語を動かすための、という感じが全体の静かさのなかでは目立ってしまうのではないかとも思います。
全体には見応えがしっかり。斎藤ナツ子は真ん中にしっかり。半田周平演じる「オッちゃん」は厚みがあります。阿部イズム演ずるヲタ風の男は時に解説、時に狂言回しとして舞台にリズムを与えます。
それにしても120分をしっかりと繋ぐ物語を、いわゆるメジャー筋の若い役者を呼んだ華やかな筈の芝居でやるという心意気と、それにしっかりと呼応する役者たち。あたしは買いたいと思うのです。
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