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2009.08.31

速報→「暗ポップ」空間ゼリー

2009.8.30 15:00

一年以上ぶりの劇団本公演。 ハロプロエッグを客演に。なるほど、ほぼ満員。120分、30日までRED/THEATER。

7日間のグループセラピー。心療内科の新しい試みとして病棟を建ててまでする最初の回。なれるまで言葉が喋れない女。ほかは保母、ライター、高校生、ニート、ヒモ、営業マン。軋みながらも慣れはじめ、快方に向かうことがはっきりしていても、それは些細なきっかけでがらりと変わってしまう。

中盤まで、丁寧に丁寧にセラピーの現場を描いている感じがします。もちろん、芝居を観やすくするためにキャラクタ化された人々は、リアルとはちょっと違う感じは受けますし、何より美人美男子がそろいすぎというのは、まあ仕方ないか。

こういう閉塞された空間での人間関係、特に人のささやかな悪意や空回りする善意や無意識のうちに傷つけるなんてことを描かせるとこの作家は強くて、「ゼリーの空間」と同じ意味でのこの劇団の勝ち筋の芝居、という気がします。(そうえいば終盤での飛び込み自殺を暗示するのも同じだ) この手の題材を扱うことで傷つく人が居るかもしれない、というリスクはあるのだけど、丁寧に描く姿勢は確かに。

終盤に至りものがたりが転がると、物語を進めたいがために少々エキセントリックに過ぎる変化を見せます。こういう繊細な題材を扱うには、前半に比べるとどうしたって粗っぽくなっている印象があります。半面、芝居として観ると前半はスローモーに感じるというのも確かにその通りで、丁寧さとの兼ね合いが難しい。 現実を知らないので、これがリアルなのだと言われると反論できないのですが、この手の治療プログラムとしてみると患者同士はともかく、入院患者まであまりに自由に交流させすぎてはいないかという感じはあります。終盤の事件はそういう「コントロールされないコミュニケーション」から生まれるので、物語を動かすための、という感じが全体の静かさのなかでは目立ってしまうのではないかとも思います。

全体には見応えがしっかり。斎藤ナツ子は真ん中にしっかり。半田周平演じる「オッちゃん」は厚みがあります。阿部イズム演ずるヲタ風の男は時に解説、時に狂言回しとして舞台にリズムを与えます。

それにしても120分をしっかりと繋ぐ物語を、いわゆるメジャー筋の若い役者を呼んだ華やかな筈の芝居でやるという心意気と、それにしっかりと呼応する役者たち。あたしは買いたいと思うのです。

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2009.08.30

速報→「INU-KERA vol.8」

2009.8.29 19:30

犬山イヌコとケラリーノサンドロヴィッチがロフトプラスワンで続けるトークライブ。

Tシャツを作りました、という感じから。植木夏十による次回公演の告知というオープニング。 寝てない犬山、ケラの新婚旅行の話、客からのお題でガンダム実物大にちなんで、実物大で観たいものの話、実写で観たい話。ゆるい近況報告を楽しむ雰囲気。なるほどこれを観ると前回がかなり異質なつくりだったことがわかります。 コミュニケーションシートから話題を拾いながら、ゆったり。

休憩後の後半、河原雅彦がゲスト。 斉藤幸子、次の印獣の稽古のこと。子供のこと、離婚しないこつ、ショーケン映像。 芝居のはなし、びっくりするぐらいそういう方向の話。芝居を自分の場所としつつ、いわゆる「売れている」人たちの話という見方もできるけれど、だらだらと楽しい話を。

#びっくりなのは、ロフトプラスワンのチラシの中にルーフトップが無くなったことだったり。さすがに景気はなぁ。

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速報→「PRIFIX3」王子小劇場

2009.8.29

王子が企画する短編ショーケースイベント。30日まで。

■自己批判ショー
笑点メンバーな山田組。お好み焼きはお好みに焼けず、末端価格380円の格安のイタリアンハンバーグ定食闇ルートで仕入れるが、それは偽物で。笑福亭の鉄砲玉が。
単発ギャグを個別に繋いでいく構成はそのまま。全体の流れで出てくるというのでもなく、かといって強烈なギャグの力で引っ張られるというのでもなく、微妙に体温の低い印象。好みの問題ではあるのだろうけれど。

■Mrs.Fictions
触覚の生えた宇宙人がこの職場最後の日。プロポーズしてきた女から逃げ回っている男。その宇宙人に興味持ったり焼き餅やいたり。
「うる星奴ら」の逃げ回る男と追いかける女、あるいは触角の生えた宇宙人などのパーツをバラバラにして、ひとつの風景20分として再構成。 オマージュ的なおもしろさはあるものの、体温が低い感じで、それ以上の何かになる直前で止まったという感じがします。

■バナナ学園純情乙女組
良くも悪くも、いつも通りのバナ学園。台詞の声の通りが決して良くない役者が居るのに、それに対して調整することのない音響(DJの仕事なのかどうかわかりませんが)や合間のDJのしゃべりに少々辟易しつつ。

■競泳水着
同棲していて倦怠期な男女。久しぶりにメールしてあうことにした女友達。不倫のカップル、一度は別れて5年後の再会。
地球の上で待ち合わせ、というフレーズを繰り返し。些細に出会い、別れ、再会する人々を描く趣向。 二人でまどろんだり、メールで盛り上がったりという競泳水着の得意なシーンをアソート、60分にシンプルにぎゅっと圧縮。今更ながら恋に恋する四十男の気持ちをきゅんとさせるシーンの数々。いわゆるドラマチックなことはなにも起きないのだけれど、シンプルで短いのに、丁寧に描かれるシーンが実にすてき。

■ナカゴー
超能力者だけの集められたクラス。リーダーだった男が去り、クラスはバラバラだった。ある日、彼らの能力が衰えていくという謎の事態が起こり。
コントっぽい仕立て、海外ドラマのようなせりふ回しとか、嫌み、パワー、元気、内向的みたいなキャラクタを並べてのテンションの芝居という印象。コントとも違うのだけれど、実はいい話にしたいのか、と思ったりするアタシです。

■ロロ
お父さんを拾ってきた兄。母親は認めない。 王子で上演した旗揚げ作の一部分を抜き出してリミックスという構成。 前に観たときはどうかなとおもっていなかったのだけど、短いこと、分かりやすい部分だけを抜き出したのが効を奏して、ちょっとおもしろい感じに。

□マーク義理人情が観られなかったのはちょっと後ろ髪引かれつつ。次の予定が迫ったので退出。残念。

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2009.08.29

速報→「さよならノーチラス号」キャラメルボックス

2009.8.28 19:00

1998年初演作の再演。クロムモリブデンの二人の役者を客演に迎えて120分。13日まで紀伊國屋サザンシアター。そのあと大阪。

父親の事業の失敗で夜逃げをしたが、学校から足がつくのを恐れて一人、叔母の 家で家族と離れて暮らしていたタケシ。六年生の夏休みを家族ですごすために、 父母や兄の住んでいる府中の自動車整備工場の二階にやってくる。 工場の社長は勇也、そこで飼われている老犬はサブリナ 工場にある日、ワケアリの車の修理が持ち込まれる。持ち込んだのは勇也の兄。

97年の年末公演として企画されたタイトルだったのだけれど、作家が倒れて98年に上演された作品。上川隆也効果でものすごい動員数になっていた頃なのだけど、ひたすら素直だったり、かっこいい時代劇が中心だった時代のまんなかに、作家の子供の時代を投影した、どちらかというと暗部をより取り出した印象の芝居は、キャラメルボックスが大人の芝居を作り始める最初の頃の作品で、ずいぶん違和感を感じたのでした。

役者は大幅に入れ替わっていて若い役者も多いのだけれど、印象はびっくりするぐらい変わりません。作家の想いが強く投影されているためかどうか、物語がどうにもいびつな感じで、正直な話、エンタテインメントとしての物語の完成度は決して高いとはいえません。それでも少年が大人に成長する12歳ぐらいのさまざまな想いがごった煮のように詰め込まれている感じは、40過ぎたアタシにだって、今でも感じる「もどかしさ」がめいっぱいなのです。

一人で暮らすことの寂しさ、父親が小さく見えてしまう感覚、兄への反発、母親に甘えたい気持ち。あるいは大人の男、その嘘や汚さ、年上の女性に対する淡い恋心。どうにも整理がつかないそんな気持ちが沢山つめこまれているのです。

初演に続いて「サブリナ」を演じた坂口理恵が圧巻。おなじようなキャラクタのアメリカの漫画がありますが、それを差し引いたって、こんなにもこの役に似合う女優がまったく思いつかないのです。クロム勢の久保貫太郎は実に味のある父親、コミカルさを全面に。森下亮演じる弁護士はもっとヒールでであってほしい気はしますが、特異なキャラクタを封印している感じなのは、新しい領域を見せます。

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2009.08.28

涼しい。

会社の中だけれど、あまり知らない人々との呑み会。新宿のルミネエスト屋上。わりと絶景なのだけど、食べ放題飲み放題の3500円の元は、この年だと取りづらい。けれどもいろんな話したりして、元気になったり考えたり。たまにあるのでまた行こう。

選挙のある週末。

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2009.08.24

速報→「名曲サンドウィッチ2」タムチック

2009.8.23 18:00

タムチックの本公演、とはいいながら、劇場に設えられステージを中心としたダンスや歌で繋ぐイベント形式。前身劇団・ボールドカーテンズで2008年に上演されたシリーズの2回目。アタシは初見です。バブル崩壊と題しての90分、ワンドリンク付き、オールスタンディング。観るなら荷物を預けてビール片手に。25日までウエストエンドスタジオ。

物語らしいものはほとんどありません。入場時点からいわゆる「お立ち台」でワンレンボディコン姿で踊る役者たち。客も上げたりしながら暖めつつ。オヤジなアタシは音楽にゆだねつつも、眼福を楽しみつつ。アタシにはなつかしい感じの曲を歌いおどる構成。ジャンケンイベントやらみんなで振り付けおどり(結構長い)やら。喋りを挟みつつ、突っ走ります。バブルをリアルタイムで経験しているはずもない彼女たちのやっていることは、記号としてのバブルだし、アタシだって物心はついていたけど、その中に自分が居た感覚はないのだけれど、自分の気持ちも乗っけて突っ走ると、わずか90分でも、その時代の浮かれ気分を追体験できるような楽しさがあります。

アタシにとってみれば、これはもはや芝居ではなくて、演出の入っているディスコイベントなのだけれど、この空気感を作り出すということ自体を表現だととらえるならば、これだって十分アリなのです。何より気持ちよく楽しい。

外界の雑音の問題を抱えがちなウエストエンドスタジオなのだけど、「それにまけないぐらい爆音で突っ走る」というやりかたは実にこの場所にあっています。客席を取っ払い、高い天井と、みんなからあからさまにみえる大きな階段というのは、確かにディスコっぽい雰囲気で場所を味方に付けているかんじ。

曲を紹介していいものか迷うのだけど、序盤、「UFO」を模したダンスの完成度がものすごく高くてたまげます。曲もそれっぽい感じでここまでいけばオリジナルといえないこともないし、かっつり踊れる二人(小林真梨恵ともう一人の名前がわからないけれど)がすごくて圧倒的に印象に残ります。

語りパートも笑わせて楽しい。ピザの宅配を一人でとる寂しさを笑いに持っていくネタ(吉岡友見)はちょっといい。

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速報→「ハンドメード ハートビート」文月堂

2009.8.21 14:00

気にはなっていながら3回目にして初めてのフミツキドウの新作。小さい劇場とはいえ超満員の日曜昼。23日までプロット。100分弱。

幼稚園の一角、元倉庫だった場所に陣取る成人手芸部「あいおい手芸部」幼稚園職員のほか、近所に住んだりつとめている人々が集まり、ミシンや編み物。近づいたバザーのために作品づくりに忙かったりもする。声をかけて新しく入ってきた男はどうにも正体がつかめない。

20代から30過ぎぐらいの人々。バイトだったり、幼なじみだったり、一途な想いだったり、この場所に対する思いだったりのアソート。ベタと言えばベタだし、あまりに都合よく久しぶりの出会いがあったり、恋いだの想いだのが錯綜しすぎだったりというのはあるのだけれど、女性の作演らしく丁寧にていねいに、きちんと描くのです。尖っているというのとは明らかに違う、全体としてはスタンダードな仕上がりは晴れた日曜の昼にふさわしい。

物を作りながらの会話という芝居はそれだけで楽しい感じ。今時のミシンのスタンダードというのはわかりませんが、ACアダプタタイプのというのは、手芸部のわりに軽便に過ぎるのではないかというのは多少気になりつつ。それでも終盤女性二人が向かい合ってミシンを踏みながら、強い言葉でやりとりするシーンがちょっと好きだったりします。あるいは女三人の酔っぱらいのシーンとかが好きなあたしは相変わらず。

勝村美紀のキレるシーン、辻川幸代の想い持ってそうな感じなど役者を観続けているのにあまりお目にかからない感じのシーンも楽しい。山田百次の終盤の見せ場にくるまどこかで観たことあると思いつつ、東北訛りでしゃべるまで弘前劇場につながらず気づいてびっくり。正体不明から不安定だったり暴れ回ったりという物語の運びには少々無茶を感じますが、一歩間違うと単に飛び道具となるキャラクタをしっかりと押さえ込む確かな役者の力は格段です。

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2009.08.23

速報→「サマーゴーサマー」あひるなんちゃら

2009.8.22 19:00

終わらない夏の話の駄弁70分。24日までOFF OFFシアター。やけにクオリティの高いおニャン子風味の曲のCD販売(500円)に乗っかるのも楽しい。

小さい町の映画館。オーナーがきちんと選んでおもしろい映画だけをかけている。客は少ない、商店街の他の店から暇つぶしにきたり、夢中な大学生や自主映画の監督がきたり。再開発を目論んで不動産屋も。

手堅い役者をきっちりそろえて、主張よりはエンタテインメント。間口は広く、気楽に楽しめます。だらだら話しているだけのようにみえて、作り込まれているのです。

あたしが観た土曜夜の回では、ほんのちょっとした役者の間違い。浮つきかけた舞台を元に戻したのは、アタシはあひるでは観たことのなかったアドリブなシーン。昔はやっていたようですが、アタシは知らないのでちょっとびっくり。

映画館のオーナーを演じた黒岩三佳は主軸としての安定。対峙する永山智啓のとけ込まない感じも◎。不動産屋(澤唯)、大学生(佐藤達)、映画監督(小林タクシー)という記号ではあるけれど突飛な人々が出てきてかきまわしかけるけれど、この映画館という場所は揺るがないというのが気持ちいい。

何かの思いいれということはなくても、たとえばアタシの父親に見せても楽しめるんじゃないかという間口の広さはアタシが観ているあひるの中では一番なのではないかと想うのです。

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速報→「レストラン ル・デコ」角角ストロガのフ×elePHANTMoon×犬と串

2009.8.22 16:00

どういうつながりかわからねども、90分強に3団体。食にまつわる話。全体で100分。10分押し。23日までルデコ5。

動物の皮を食べることが流行した時代。浮かされたように食べる人々。同僚の女性に好意を寄せている部長職の男にはある悩みがあって言い出せない「食皮俗」(作演 角田ルミ/角角ストロガのフ) 45分。
大根として生まれ変わり立派に世の中に出ていったが、その形が女体だったがために、世の注目を集めて、なかなか食べてもらえない「ロマンス〜ふぞろいな野菜」(作演 モラル/犬と串)35分。
入院の準備をする姉。同居している妹に赤ん坊を預け、家を出ていっていた夫も呼び寄せ、託そうとする「アイノユクエ」(作演 マキタカズオミ/elePHANTMoon)20分。

「食皮俗」は、覚醒剤のように「動物の皮を食べること」に浮かされる人々に、「ひとつ上の男」のネタをからませる、というワンアイディアをパワーで押し通す力わざ。角角らしくばたつく感じは未だ否め無いのだけれど、短編をワンアイディアで押し通すというスタイルと、支える役者の力があいまって、長い割には見せてしまう力があります。 ヒロインを演じた石井舞が可憐に美しい。想いを寄せる嶋村太一のバランスもよく、勝手に嫉妬したりもしますが。純愛の物語と読ませておいて、それだけではない感じも気持ちいい。芝居の作りとして、策略のようなものが機能していない感じはありますが、思いついた物語を全体で全力で作りあげる、という雰囲気がアタシの気持ちをつかみます。

女体大根と流行りものというワンアイディアではあるのだけれど、これで押し通すにはもっと大爆笑で観たい感じなのと、タイトさに欠ける感じ。飽きられてからあっさり大根下ろしで、というあたりは、「およげたいやき君」のオチのような無情感につながるようで綺麗にまとまっています。アタシにとって時間がもっとも長く感じられたのはこれなのですが、世間(CoRichですね)の評判は悪くない、というのは見慣れているかどうかということなのかもしれません。

「アイノユクエ」はわずか20分。ミルク缶をかかえた母親という構図の違和感を違和感としたまま静かに進む会話。もちろん早々にその理由は見えてくるのだけれど、夫がなぜ目を離したかというもう一段底が抜ける感じで唸ります。これでもか、という角角に比べると見た目にはグロさは少ないのだけれど、静かなだけに不気味さはむしろ増していて、印象にのこります。「佐藤の、」では「若い男」を演じた根岸絵美が落ち着いた人妻というのには驚きます。菊池佳南もバナナでの突っ走りとは違う落ち着いた芝居が印象に残ります。当日パンフにあるとおり、確かにelePHANTMoonらしさの雰囲気。うまく作られた感じではありますが、どこかで観た感じがしてしまう。ミルク缶の中から出て来たもの、というのはつくりとして巧い。

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2009.08.22

速報→「反重力エンピツ」国道五十八号戦線

2009.8.21 19:30

国道五十八号戦線の新作。サンモールスタジオ、23日まで。105分。

古いアパートに集う人々。60年代からメンバーは若返りつつ続く学生運動。爆弾を仕掛けるという、新たな行動を起こそうとするが、爆弾を作る新たな仲間は妙な感じだし、メンバーな微妙にヒビが入っているし。

41才のアタシにすらリアルはない学生運動の現場。もちろん明治大学という彼らの出身が、いまでもその残滓を身近に感じられるということはあるかもしれず。緊急集会のたびにおこなうというある種の「儀式」も、国会解散の「万歳」に通じるような形骸化したプロトコルは古くささを楽しむ感じ。

集団闘争で反対し全員が勝ち取りたい何かが今の時代にあるのか、という根本的な問題はあるのだけれど、学生運動を今の時代に持ってくる「もしも」に発想する「ちょっとふしぎ」なSFとしてとらえるのはちょっとおもしろい。85年生まれの作家の、学生運動から宗教という流れにあったカルトに盲信することすらできなくなった時代になってから大人になった彼らはの見える世界は、どこかゲームのようですらあります。

そんな混乱した集団の中にあってすら、クールに見えて密かに盲信を育て続けるということを恐ろしいととらえるのは普通の感覚なのだけど、現象としては恐怖ととらえても、作家はそんな人間を愛おしく感じて(看板女優ということも含めて)描いているように見えてなりません。

向かい合う椅子に座り、人をモデルにして小説を書く、というシーンが幾重にもモチーフのように。きれいなシーンなのだけど、両方の対角線にするなど工夫はしていますが、端の席に座ると背中になってしまい残念な感じ。終幕のハマカワフミエのおそらくは表情豊かなシーンを楽しむなら、対面座席の入り口と反対側へ。アタシはそれがみられず残念。せめて対角線の上に客席がこないようにしたいところ。扉横にあるトイレは無くても、物語は回る感じがします。

ネタバレかも

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2009.08.20

要約して知らせる。

会社の仕事の一区切り。景気悪くても、旺盛に設計や開発はあって。多すぎるときは、要約という編集が必要なのですが、結構時間かかったりして。なんとか乗り切り次のひと波に向かって漕ぎ出すのです。

週末の予定もアタシの向かうちから。

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2009.08.17

速報→「ツアー反省会「ジョニー先輩、報告があります!」 」エロメールスライダーズ

2009.8.16 19:30

東京・名古屋・大阪・福岡の「半日本」ツアーから戻って来た瀧川英次と、旅に同行したスタッフたちの道中記トークライブ。3時間ぐらい。

通常の「赤ペン瀧川先生のエロメール添削」のツアーのために、ワゴンに乗って移動した平均年齢33歳の男たち5人の旅行記トークライブ。赤ペン添削のネタ自体は完全に封印しながら、スライド(というよりKeynoteか)と写真と動画での旅行の様子をおもしろおかしく報告する、というスタイル。 面白かったら料理食べられる、という多少のゲーム性は設定されているけれど、基本的にはスライドに沿いながらのフリートーク。

ラブワゴンさながらに(いや、男だけだけど)、車で馬鹿話しながら盛り上がって移動し、車中泊をし、チラシを撒き、FMに売り込みなんてことを盛り上げながら話すネタ多数。ライブを見続けて、福岡まで行ってしまったアタシにはまるで、メーキング特典映像のような楽しさ。もちろん、これ単独で見ると、どっかの男の馬鹿話ってのが面白いのかという問題はあるのだけど、まあ報告会として謳ってるし、むしろトークショー主体のロフトプラスワンでの他のイベントには近い印象。なにより、出演者だけでなく、スタッフたちにも親しみをもって、なんてのはファン心理だよなぁ、これ。また観ちゃおう、またツアーやってくんないかな、とか思ってしまうアタシが居るのです。

自転車キンクリートには「トランクス」という男たちの馬鹿会話が楽しい(実は物語はあまり覚えてないのだけど)一本があるのだけど、それを彷彿とさせるこの男たち。役者である瀧川英次、野口雄介が出るので観たいなぁと思ったり。

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2009.08.16

速報→「マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」DULL-COLORED POP

2009.8.15 19:00

史実( 1, wikipedia,) をベースにして小劇場のキャパのなかでこれだけの仕上がりを作家のオリジナルの戯曲で、芸達者な役者を揃えて。休憩10分込みの135分。17日までモリエール。横になるシーン多数あり、傾斜のない劇場の構造もあるのでこれからご覧になるならなるべく最前列を。

。 修道院地下の貧民院を毎週訪れ、ワインとパンを差し入れるマリー。原因不明で死んでいく人々は疫病だと噂される。同じ症状でマリーの父親も死の床についてしまう...

史実というのはもちろんあるのだけれど、まるで時代劇のような現実感がないのに、物語はまるで酒井法子の逃亡劇のようにドキドキしてしまうようなつながり。シンプルな舞台芸達者の役者陣も魅力。一歩間違えればこのせりふ回しは退屈なものになりかねないところなのだけど、 観客が芝居を見ている時に感じているよりはずっと速いテンポが観客の興味をきちんと繋いでいきます。

なによりも、このすべての台詞を作家がオリジナルのホンとして書き出しているということが心底すごいと思うのです。かつては観られた「オリジナルなのに翻訳劇臭い」感じはだいぶやわらいでいて、芝居の要請としての時代なりの大仰な台詞ではあるけれどものすごく印象です。

史実は知らなかったアタシですが、早々にネタはわかるように作られています。それを知ってもなお、舞台から目が離せない感じ。清水那保の圧巻はもちろんあるのだけど、支える役者の厚さ。大塚秀樹は、軽さをあわせもって見やすく。七味まゆ味は語り部としてのポジション。百科亜希とのラストシーンは笑顔一杯なのだけど、どこか不気味さを残す感も印象的。原田紀行のヤサオトコ、酒巻誉洋のキマジメな男も好演。宮嶋美子は実に眼福。

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速報「雨の一瞬前」ユニークポイント

2009.8.15 14:00

太平洋戦争の頃の日本人と朝鮮人をとりまく2007年作品 (1 )の改訂再演。90分。16日までスズナリ。先だって韓国での公演も達成。

そこにその時代にあったはずの恐れ、恨みの連鎖を描き出す構造はそのまま。特定の史実ではなくて、あったかもしれない、という作家の創作の物語。初演にはあった傷痍軍人の妻、という常軌を逸した役を物語に登場させなくしている代わりに、アタシの記憶は曖昧ですが同級生の女の語りや、つれてくるのが警察になっているのは違いかと思います。

今につながるけれど今はない「差別する気持ちを持つ人々」が普通の時代にありながら、そこに違和感をもつニュートラルな感覚の旅館の女将。父母から受けついたとは説明されているけれど、そんな時節に高いリスクを負って男たちを従業員としてまで彼女を旅館の再開に拘らせるのはやはり今回も今一つ腑に落ちない感じも。

理屈ではなく守りたい場所である旅館が実は「国」で、その気持ちが「祖国の気持ち」と勝手に読みとってみると、休業状態の今を外力を借りてで再開したいと思う気持ちがわかるかと思ったけれど、国を成立させるための外国人、みたいな話にまで持っていってしまうと、明らかにこれはアタシのミスリード。

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2009.08.15

速報→「赤ペン瀧川先生のエロメール添削スライドショー!VOL.4 HALF JAPAN TOUR!! (福岡)」エロメールスライダーズ

2009.8.13 19:30

俳優の瀧川英次を中心としたトークライブ初の「半日本ツアー最終」は福岡。決して満員とはいかなかったけれど次はきっと、の150分。(福岡のみ?前説的+休憩時間に動画DJつき、)

出会い系サイトに登録している妙な「変ドルネーム」、迷惑エロメールを一行ずつの「エロメール添削」、出会い系サイトに自ら登録して有料でのメッセージを公開する「出会い系サイトログ」。 大きな赤ペン小道具やTシャツ物販もあって、ツアーな感じのプレミアムさも。スタッフが車でラブワゴンよろしく移動するというのも、若い彼らの無茶さ加減がでていてカッコイイ。キャンプ地だらだら語るのを動画配信で見せるというのも、さりげないけれどちょっとすごい。

名古屋大阪がどうだったかは知りませんが、天神の広いライブハウスには少々厳しい人数。エロねたは多数ちりばめられているのだけど、それよりも、瀧川英次という役者のネタライブはますます磨きのかかった感。ツアーという形で短い時間で続けざまにやったことのグループ感がでている感じもあって、あとはこれを継続して各所で続けていけるといいなぁと思うのです。

観客は女性中心。エロ度合いが微妙だったりするところでのいわゆる「引いてしまう」ネタが散見されつつも、緩急をうまくつけてきちんと乗り切ります。テンション芸っぽい感じは多少残るものの、役者がやるバカ芸の語りというのは巧いなぁと思わせます。まあ、それは清水宏も同じなわけですが。

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速報→「翼をくださいっ!外伝「幻の翼 震電」」ギンギラ太陽's

2009.8.13 14:00

幻の戦闘機と呼ばれる震電 (wikipedia, YouTube) のモノ語り55分。2Fロビーで展示中のプロジェクトとの関わりを示すビデオ5分を前に。もちろん、開場中の撮影タイムも。16日まで福岡市美術館ホール

無くなった雁ノ巣の飛行場跡に集う飛行機やバス、新幹線たち。雁ノ巣のもう一つのものがたり。 戦争末期、弱小航空機メーカーで訓練機などを製造していた九州飛行機が受注したのは、今までみたこともないような戦闘機だった。

初飛行こそしたものの、終戦翌々日に二度の試験飛行だけで、実戦投入はされなかったという幻の戦闘機のモノがたり。題材故にほとんど笑いはなく、悲劇と想いで押し続けます。歴史とモノの向こう側にいる人々の想いをシンプルに語るのは、この「かぶりもの」のスタイルはうまくはまっています。

特攻が当たり前の戦争末期にありながら、劇中でも「あきれかえるほど理想を追っ」て搭乗員の命まで守る思想の戦闘機の物語に、翼をあきらめてはいけない、というスカイマークの物語や訓練生たちを励ます雁ノ巣飛行場という場所をしっかりと組み込み翼を巡る物語に。 飛行機の技術が今の世にも残る、というのはエンジニア崩れのアタシにも気持ちを揺らされますが、 モノコック構造から西鉄バス、というのは少々無理矢理な感じがしないでもありません。

タイトルにあるとおり、YS-11をめぐる劇団の代表作「翼をくださいっ!」 (1)の外伝としての位置づけなので、雁ノ巣飛行場、YS-11、スカイマークエアラインという登場人「物」たちの背景を知らないと、少々戸惑うかもしれません。今年秋に再演が予定されているのだけれど、順序を逆にしてでも、終戦記念日前後の上演にこだわっているということなのかもしれません。

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2009.08.13

盆休み。

いよいよ会社もささやかな休み。これを楽しみにしてましたともー。

まあ、芝居観ちゃう訳ですが。そのあとの休み明け、仕事立て込みそうですが、がんばるー。

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2009.08.09

速報→「エモーショナルレイバー」ミナモザ

2009.8.9 18:00

ミナモザの新作はありそうで意外に無い振り込み詐欺の犯人たちを描く100分。9日までサンモールスタジオ。

マンションの一室。振り込み詐欺の掛け子たちの部屋。ノルマがあって順位つけられたり罵倒されたり。女には無理だと言うリーダーのもと、男ばかりのこの場所で、たった一人の女。女を捨てていて、と思われるし彼女もそれには興味がないが、この場所はどうにも愛おしい。

振り込み詐欺の犯人グループの部屋、そこにたった一人居ることを許された女。アイドルにはなれるわけもなくOLすら長続きしなかった、冴えない女が居場所を見つけられた場所。まるで自分の子供たちを見つめるかのような、というのが全体の枠組み。序盤から途中にかけてはこの現場のあれこれ。中盤ではノルマや順位やらのまるで会社の営業の現場のよう(いや、知らないけど)。その後には、電話かけさせてみてダメ出しの罵倒など(あたしは本当のことは知りませんが)演出の現場っていう感じの。

。 母親と子供という場所の枠組みは、振り込め詐欺が成立する土台となっている「頼られて断る母親は居ない」という物語の根幹にしっかりと結びつき、終盤の女二人の会話、出産とか子供とかの話しっかりとにつながります。じんのひろあきにも近そうな作家の、どこか社会を切り取るという切り口は実に冴えていて、ここ数作で比べても出色ではないかと思うのです。

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速報→「花とアスファルト」青☆組

2009.8.9 15:00

川上弘美の「神様」(とその続編と)( 1, 2, 3, 4, 5, 6, )にインスパイアされたという、吉田小夏の新作。9日まで春風舎。100分。

入居者の減少が続く古い市営団地。入居者の拡大施策に伴って、「クマ」が引っ越してきた。

突飛な設定で一気にファンタジーに持っていく川上節を骨格に持ちながら、外側に社会を肉付けしていった印象。団地という選択は絶妙で、現代からみると少々近すぎる感じのコミュニティのありかたが、クマという異物に対してどう対処するかの面白さ。

「神様」はクマと女のほぼ二人だけの恋心あるファンタジーだったのだけど、その骨格の二人はもう少し枯れた感じに。外側の人々は、クマを恐れたり、夫婦じゃないのにほぼ一緒に暮らしていたり、離婚した妻のことだったり、こどもと二人で暮らす夏休みのことだったり、家に居る男と働く女の物語など、どちらかというと世知辛く、泥臭いあれこれを。シンプルなファンタジーという意味では純度が下がった感はありますが、それでもアタシはこの物語をいとおしく感じてなません。

木肌を生かした感じの舞台に、ほぼベージュの衣装という低いコントラストは、現実っぽい物語を舞台に乗せても、そのエグミを押さえ込んだ印象で、綺麗な感じにすら見せるのです。

外側につくられたいくつかのシーンは物語そのものはあまり運ばないけれど、他の人々の厚みを描いて配置していく感じ。スズカンと妻の会話の女のイラツキ感(生理前、に持っていかなくても、思うが)だったり、母と娘の会話、夏休みをどうするかの会話の静かで愛情があるのだけど、母親の疲れが滲む感じだったり。子供を演じた長野海が実にいい。 骨格の物語は、元の物語を読んだ印象よりはむしろもっと年代の高い感じなのだけど、それが女の部分よりも、少女に近い感じになっていくのには少しびっくりします。演じた羽場睦子の力、という気がします。

若い作家なのに、枯れた、という印象はあまり変わらない感じなのだけど、徐々に女や母というポジションが控えめに出てきて、作家の視線が年齢なりにあがってきている感じなのが、観続けているあたしには楽しい。

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速報→「グッバイ・マイ・ダーリン」世田谷シルク

2009.8.8 19:00

あちこちで印象に残る客演を続ける堀川炎の劇団、世田谷シルクの新作。アタシは初見です。90分。9日まで楽園。

ぽつりぽつりと常連客しか来ないセクキャバ。その店の二階に住む親子四人、母親が盗んで来たリンゴで家族は騒ぎになり

当日パンフにクレジットのある寺山修司「アダムとイブ、私の犯罪学」ではトルコ風呂の二階だった設定をセクキャバの二階に設定。階下では騒がしくもあまり代わり映えのしない日常としての風俗の日々。そこで働く女性たちをリンゴに例えるかのような演出がベース。なるほど衣装もリンゴっぽい赤だったりします。

キャバ嬢たちは母親だったり大学生だったり、ヒエラルキーやら内輪もめがあったりとさまざま点描。母親でホステスでという西原理恵子(「できるかな」)チックなものを想像しているとそれはわりとあっさり裏切られます。ものがたりというよりは、そういう華やかな場所を描いている感じ。

男と女がふれあう(というよりは「お触り」ですが)場所、となれば禁断の果実でリンゴというつながりはもとのテキストかしらん。あるいはキャバ嬢たち自身もリンゴとして描かれたりと幾重にも包まれたアイコンなのです。

正直にいえば、物語を追いかけようとすると少々戸惑う感じ。もとのテキストを知っていればもっと違う感じになるのかもしれません。いわゆる風俗としちゃ可愛らしすぎて劣情を刺激しないという弱点はありますが、女性たちの華やかな感じは鼻の下を長く伸ばせて楽しい感じ。コラージュなのだという特色はよく出ています。

ルパムっぽい動きが挟まったり、別の戯曲から生み出す手法だったりと「コラージュ演劇」と名付けられたその姿は、山の手事情舎を彷彿とさせる感じがします(そういえばその昔山の手は「ハイパーコラージュ」だった)。なるほど作演の経歴を観れば山の手も見えたりして、さもありなん。いわゆる劇団という長期間にわたって統一された役者たちというわけではありませんから、一糸乱れぬ、という感じにはさすがになりませんが。

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速報→「カスパー彷徨」unite d'Habitation

2009.8.8 15:00

風琴工房・詩森ろば作品の三演めは、若い役者とつくる新しいユニットで。80分。9日までルデコ4。

連続殺人犯の現場に残された「カスパー」の文字。犯人は17歳の少年で、三回目の殺人の現場で、その家の長女と出会う。その少女は少年の手を取り、「私を連れて逃げて」という。

再演を観ているはずなのだけど結構覚えていないだめなアタシです。小さな空間、ミニマムな装置、シンプルに作り上げられた分、役者を存分に見せる仕上がり。

ここまで少女の物語だったかどうか、その差は記憶の曖昧はアタシには定かではありません。が、本作での少女はアタシの気持ちを掴んではなしません。役の気持ちがわかる、というのとは少々違う感じ。彼女の描く奔放で翻弄する少女の姿のすごさのようなもの。直接性的なものは何ひとつ描いていないのに、圧倒される色気のようなすごみ。この作家は少女、という年代ではないので(失礼な書き方だなしかし)、見かけが少女で中身が大人なのか、というとそういうことではありません。本当のところは知る由もありませんが、本当に少女が考えそうなこと、を見せている感じがアタシを圧倒するのです。

その少女を演じた朝田愛の圧巻。カスパーを演じた紅林吉雄は見た目に反して狂気っぽくないのが序盤で不足感がありますが、終盤ではむしろ「私たちの視点」に降りてきている感じに見えるのが印象的。意図的なものなのかどうかはわかりませんが。

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2009.08.07

速報→「清水宏の炎の演劇部!〜夏だ!野音だ!しみんぐスーン!!」TWIN-BEAT

2009.8.7 19:00

清水宏の日比谷野音ライブ。開演直前の大雨に気持ちが折れかけて駅で逡巡しつつ、思い直して15分遅れで入場。時折ぱらつきながらも2時間走りきります。

アタシが入ったときは、映画の予告編(「13日の金曜日」最終作)のおしまいのほう。そこから、43歳の挑戦(北岳登頂)、もうひとつ映画の予告編、「E.T.」名古屋版。

登山は、演劇の演出家と役者、男ばかり4人での。エンゲキなんてと嘯き、虚実おりまぜながら。さすがに終盤は嘘ばかり感ありますがきっちり。そのあとの着替えの時間に、実際のその場所で撮影した映像を見せるのはお手のもの。名前を聞けばわかる演出・マツムラ、役者・サトウ、イマナラなんてのも、演劇好きに楽しい。

間にCM映像を挟みながらというのはいいアイディア。一人しか出演者居ない訳で、着替えの間をどう持たせるかもきちんと。

泣かせる人情話に仕上げたE.T.もきっちり。昔この原型を観た気はしますがが、バージョンアップ。

雨の中、狂ったように鳴くセミ。ばっちり。近くは官公庁のビルに向かって「金返せ」ってのも楽しい。あるいは、客席にエアー・大きなボールを投げたり受け取ったり、客席をぐるぐる回したりというのは、この人数相手のワークショップのよう。

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2009.08.06

速報→「すこし離れて、そこに居て」散歩道楽

2009.8.5 19:30

散歩道楽、はじめてのサンモール(スタジオじゃないほうの)進出。豪華な客演陣で。120分、9日まで。

町の豆腐屋。妻は出ていってしまい、息子は部屋からほとんど出てこない。娘は男と出ていったきり、義父は少々認知症が出てきていて。ある日、娘が突然戻り、義父はガールフレンドを紹介し、息子は元同級生の女が訪ねてきて。

あくまでもフラットに笑い少な目に始まる序盤、見やすくはありません。時間をかけすぎな感はありますが、駒を一つ一つ置いていくように。軽く見やすい話という印象で観ていると少々戸惑います。巧く行っていない家族の話というのはしかし実に丁寧。もっとも、離婚はおろか結婚すら経験してないアタシには大高洋夫が演じる男の拘泥するほんとうのポイントは見えないのかもしれません。

外での演出では、そこの主役ということを外さない作演ですが、劇団名義の公演に豪華な客演を招いても、ものすごくスター扱いしない、というのは興行的には難しいのにやってしまうあたりが男らしい。

ヤクザを演じた郷志郎はしなやかで中盤を支えます。息子を演じたキムユスはいわゆる飛び道具キャラでではなく、若者視点をきっちり。ヘルパーを演じた菊池美里は笑いをちりばめて見やすく。序盤のシャツのボタンに気づいて微妙な恋心で空気を緩ませる感じがいい。若い茨木弁の男を演じた宮原将護、笑わせかっこよくもあり印象的。

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2009.08.05

チャット。

その昔、NIFTY Serveがあったころ。夜な夜な電話代とは別に1分10円払って夢中になってやっていたり。もっと昔だとアマチュア無線で話してた高校生の頃になったりするわけですが。

最近だとtwitterがはやっていますが、それとはちょっと違います。twitterはあくまで自分の「つぶやき」、広くとらえても、全体が一つの場所ということなのですが、あのころのチャットは、場末のスナックというか、狭い場所にわざわざ行って、行き慣れて内輪感で楽しむのも、あるいは初めて入ってその場の雰囲気をつかんだりつかみ損ねたりする楽しさなのだと思うのです。

なんて、懐かしい雰囲気のチャットをKAKUTAが期間限定で再開。劇団員が居ることをあらかじめ担保しつつ、みんながPC持ってる訳ではないのにきちんとがんばる心意気。しかも24時になるとスパッと終わるのも気持ちよく。夏休みのアタシの楽しみなのです。

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2009.08.03

速報→「アタシだけ超怒られた」バナナ学園純情乙女組

2009.8.2 19:00

バナナ学園、初めての再演。90分弱の本編+休憩10分+ライブ30分の構成。芝居は2日まで、ライブは3日まで王子小劇場。

ドラマにでてたり、アイドルだったりという芸能同好会の部員、その一人を殺してしまったが、まだ犯人としてバレてはいない。が、切り取られた右腕が見つかり、学校周辺に現れている連続殺人犯に疑いが向く。部員たちは口寄せを行う。

作家が書けないということをネタにしまくったバナナ、ならば再演でクオリティを上げてくると誰もが想像。アタシが観た芝居楽日はそれを体感しますが、世間の評判はちょっと厳しい。毎日めまぐるしく完成度が変わっている感じは楽日でも変わりません。

初演に比べると、主軸の4人の物語を厚く、枝葉もつけて見やすくなっています。相対的に傍線の物語が薄くなっているのは、人数ばかりのせいではありません。骨格の物語に対してこの人数は必要ないのではないかと思うのです。なれた客演を隅々に配置し、きちんとアゲていく感じにはしていますが、物語の落差は埋めがたく。

メインの4人+演出をのぞけば、浅川千絵、ばんない美貴子、山口航太は圧倒的にすぎます。高村枝里も印象的。 ライブは40男には懐かしいメロディを織り交ぜながら。祝祭はいらない都会だけれど、若い役者が祭りを体現しているのは実に楽しいのです。ライブでは山口、大久保嘉洋がなんかすごい。Winkに至っては悪夢ともいえますが、その悪のり感もまた、よし。

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速報「五人の執事」パラドックス定数

2009.8.2 15:00

パラドックス定数の新作。115分。9日まで三鷹市芸術劇場星のホール。

大きな屋敷、働く五人の執事たち。ふせっていた主人が亡くなる。給仕を担当する執事がほかの一人を主人と勘違いするなど、五人の執事たちの行動は少しずつずれていく。ところが、あったはずの主人の死体突然消えてしまい..

この劇場は天井がやけに高くて、たいていの劇団はこの空間を埋めることがうまくいきません。空間をうまく埋め尽くすことができることもありますが、彼らがとった方法はちょっとすごい。 舞台奥に二階につながる階段。客席の2/3ほどに舞台を張り出すようにして、広大な空間を作ります。三部屋とその間の通路を壁なしで配置。一見だだっぴろい空間なのだけど、序盤で、部屋を移動する人物を観るうちに、それぞれの部屋に壁も天井もあるように思えてくる不思議。そこに空間があるのにそう感じさせない、観客の想像力で空間を区切っている「思わせる」のです。水を注ぐ音、鍵の鳴る音、小さな音のひとつひとつも丁寧に聞かせて、空間をきちんと制圧していくのです。

たった5人の出演者、この広い空間ですから実際にはスカスカで、広い屋敷のなかでごく少ない人しかいないという感じがよくでています。それも空間をうまくつかえているたまもの。

現実の事件を引用することの多い作家なのだけど、しばしば「妄想」という言葉で自作を語ります。おそらく完全な創作となる本作は、作家の頭の中で起きていることを丁寧に積み重ねて、妄想を紡ぎます。

何を語ってもネタバレになりそう、ですが。

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速報→「来来来来来」劇団、本谷有希子

2009.8.1 19:00

劇団としての本谷有希子久しぶり、新作。110分。16日まで本多劇場。そのあと新潟(8/18)、大阪(8/21-22)、北九州(8/25)。

次男の嫁として嫁いできた女。義母は義父が逃げてから気が触れ、それに辟易した次男は新婚の妻を置いて逃げ出してしまうが、残された妻はそれでもその家に居続ける。逆境こそが自分を強くするのだと信じ、今は居ない夫がみせてくれようとした美しいものを心に抱いて。

女性ばかり6人の構成。主役である次男の嫁、義母や長男の嫁、近所の主婦たち、女子高生。田舎の村、ちいさなコミュニティのこじんまりとしたなかで、女であること、嫁であること、理不尽さのようなものをぎゅっと圧縮。 田舎に嫁いできた嫁という立場は「そこから動けない悲劇」として語られることが多いのだけれど、作家はそこをあっさり飛び越えて「動かない」女として次男の嫁を描きます。

自意識と自分の美学と周辺からの期待とそのギャップ、のようなことを描かせると抜群に巧い作家の物語は、時に露悪的だったり意地悪目線だったりはするけれど、枠組みの中で必死に生きる人々を実に丁寧に。

これだけの美女をそろえ、しかも大笑いさせるシーンがそう多いわけではないのだけど、必死さからにじみ出るような「おかしみ」のようなものが笑いを生むのです。人の不幸は密の味とはよくいったもの。

逆境こそが自分を前向きにする、という無茶なポジィティブシンキングな主役を演じたりょうはすらりとした見かけからは想像できないほどに泥臭く、しかし人間が透け見えるようで印象的。意地の悪い長男の嫁を演じた松永玲子、近所のオープンすぎる主婦を演じた吉本菜穂子は円熟の領域といってもいいぐらいにこの世界にぴったりと寄り添います。木野花は結局まともなせりふがほとんどないやけに贅沢な使い方だけれども、業のようなものが滲みだしている感じが夢に出そうなぐらいに印象的。

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速報→「永久サテライト」あなピグモ捕獲団

2009.8.1 15:00

あなピグモ捕獲団の新作。100分。2日まで、あくとれ。

森の中にそびえる謎の建物。あるものは自分の意志であるものは偶然にその建物に呼び寄せられるように集まってくる。建物の屋上には望遠鏡があり、ジュラルミンでできた壁は入るものを迷わせる。

黒く、鈍い光沢をもっている感じの中央の柱、そこから可動式の壁を使って、たてものの中のさまざまな場所に見立てます。抽象的な感じの設定なので、それは巧く機能している感じ。正直にいえば、ずっぽりSFな物語の運びで、好きでないと見やすい感じではありません。が、好きならばSFっぽさを堪能できるかもしれません。

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2009.08.01

速報→「肩の上で踊るロマンシングガール」佐藤の、

2009.7.31 20:00

こゆび侍の俳優、佐藤みゆきの立ち上げたユニットの旗揚げ公演。45分。前売りは完売したようですが、追加公演が出ています。2日まで新宿眼科画廊。これからご覧になるならば、中央よりは、入り口からやや遠い側の席をおすすめ。

つきあって三年のカップル。ある朝二人が目覚めると、男の方が女に変わっていた。

芝居映画小説で数々語られる性別が変わるファンタジー。「転校生」(映画の方ね)のように完全に入れ替えるわけではなく、男の方だけが女に変わるという女ふたりの芝居としています。変わったことに驚いた二人は、やがてその関係を変えていくあたりが片方だけにすることでより鮮明に浮き上がってきている気がします。

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