速報→「罪とハネムーン」play unit-fullfull
2009.7.19 15:00
フルフルの新作。100分。20日までせんがわ劇場。
古い下宿。オーナーだった父が亡くなったあと、三回忌までの約束で切り盛りしてきた長女。家に寄りつかなかった父の分まで忙しくしていて母親を早く亡くした原因となったこの下宿を一刻も早くなくしてしまいたいと考えていて。入居者の男たちは、長女に想いを寄せている仲間の一人の想いを成就させて、閉鎖を回避しようと考えて。
家に寄りつかない父親を見て男を信用できなくなり、男に触れられるだけでアレルギーが出る女と、鉄道が趣味で不器用な男の関係を主軸。丁寧に丁寧に。30過ぎの彼らのその想いはちょっとストイックできれいにすぎる気がしないでもありませんが、いくつかある二人のシーンは実に暖かくて素敵。
浮気性のモテ男である次男の軽さ、「誰からみても明らかな幸せ」であるハネムーンに固執している婚約者、男受けが良くてしかし自分で背負い込まないという強さをもっている妹、末っ子体質な三男などドタバタの物語。全体を通して観てみると、いつになく落ち着いた感じと厚みの物語で成長すら感じる仕上がり。彼らとしてのスタンダードになりうる厚みを感じさせるぐらい、彼らの作品の中では群を抜いて深みを増している感じがします。 やけにゲイ・オカマの芝居の多い今週末なのだけど、今作においては、彼自身の悩みのような部分は少なめで、男アレルギーの管理人を物語に繋ぎ止めて、少々説教臭い台詞を口にしても納得感を持たせる巫女のようなポジション。少々デフォルメにすぎる気はしますが、しっかりと物語に組み込まれていて印象的。
終幕近くになって、追われていると勘違いした男のエスケープ劇はフルフルらしい賑やかな感じではありますが、ちゃんとオチをつけているとはいえ、少々無茶にすぎる印象。ドタバタのためのドタバタという感じがあって、全体の中ではバランスは決してよくありません。が、その直後にくる不器用な二人のシーンの静けさが実にいい味をだしていて、この対比は実にいいのです。
正直にいえば、笑いを狙ってどたばたさせても、微笑ましくはあっても爆笑にはつながりづらいというのがアタシが彼らに感じている持ち味なのだけど、今作においては、全体に押さえた感じになっているのが功を奏していて、笑いが取れなくてもきちんと見続けさせる感じがします。
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