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2009.07.29

夏休み。

こどもたちは20日ぐらいから夏休みですよねぇ。今日は職場見学のイベントが設定されているので、普段と違う歓声や、普段と違う人々の表情、パパだったり、ママだったり、遺伝子って偉大だなと思うけれど。

先週末のアタシ的夏休みは、8月にもう一回。エコを目的にして会社全体を休みにする数日があるので、心置きなく。もちろん青春18切符も購入済み(というか先週一回使いましたが)。さぁて、福岡行きは決まっているけれど、どういう日程にしますかねぇ。

演目は少ない割に開演時間とあたしんちからの距離と滅多にやらない前売り購入の相関が微妙でタイムテーブルを組みづらい週末。

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2009.07.27

足跡記録

芝居と乗り物づくしの旅。去年の「キングオブ深夜バス」に続き「東日本の女王」を狙って。ちょっと贅沢にスーパーシートとれたので。

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速報→「A面・B面(あきら)」渡辺源四郎商店工藤支店

2009.7.25 18:00

企画公演のもう一本。路地を挟んで斜め向かいの店・あきらはさんふり横町サイトではところどころ更新が間にあってませんが今年リニューアルされたよう。

呑み友達だった単身赴任の男を看取った女。一緒に通っていた店で静かに呑み始める。同僚の呑み友達の男も姿を見せて。

居なくなった一人の男をめぐる「A面とB面」の物語。「纏編」が女将と男の色っぽい話ならば、「あきら編」は看取った女と離婚した元妻の物語。残された感のより強い看取った女の強い気持ち。終幕近くまでほぼ店から出ないのも、この場所と人に対する思いの強さが伝わってくるよう。東京から来た元妻にとっては既に過去の人だけれどそれでも最後の別れという気持ちも透け見えてきます。

二人の女の熱い想いの交錯。両方店での物語は挟んだ路地での二人で幕を下ろすのは共通。アタシの観た土曜18:00の回に関して云えば雨も風も強くラストシーンの雪の効果はいまひとつになってしまった感はあります。それでも、からっとしているように見えてねっとりした物語がしっかりと。

「あきら」側にしか顔を見せない工藤由佳子の表情が絶品。こういう微妙に不幸な感じをさせると実に巧いのだけど、それだけじゃなくて呑み友達を演じた高坂明生とのコミカルで軽快なやりとりの序盤も居なくなった人との幸せだった時間を彷彿とさせるようで印象的なのです。

18:00の回はさすがに近隣も開店。近くの店の声が漏れ聞こえてきたり、普通の酔っぱらいが行き来したりと、コントロールは相当難しいはずなのだけど、なんとかきっちり。終演後1時間ほどは飲み食いを続けられるし、今回の店に限らず、青森に来たらまた寄りたい場所の一つなのです。いわゆる屋台村なので、観光客相手というよりは、普段使いに使いよい印象です。

「さんふり」はググればすぐわかる津軽気質なのだそう「えふり(ええふり-ええかっこしい)」、「あるふり(金のあるふり、持ってるふり)」、「おべだふり(覚えたふり、知ったかぶり)」 酒場っぽい感じの名前でこれもちょっとしゃれているのです。

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速報→「A面・B面(纏)」渡辺源四郎商店工藤支店

2009.7.25 15:30

渡辺源四郎商店の工藤千夏、工藤由佳子、工藤静香による劇団内ユニットによる企画公演。屋台村「さんふり横町」の二つの店の雰囲気を借景にしての並行上演される物語の片方、纏(まとい)編。35分。26日まで。

若い女将の店。三軒めへのハシゴに出ていった客の後から入ってきたのは東京からという女性が頼んだ料理を出前してもらいに向かいの店に行った女将は、近い知り合いの葬式だったということを知り。

7人ほどの座席のコの字型カウンターを客席、ワンドリンクと小さな一皿。女将と客の物語に耳をそばだてるような物語、どの席に座っても至近距離で更に向かいのもう一つの舞台からも時折声が漏れ聞こえてきて。実際のところ、美人女将はともかく、隣りに座った客をガン見して会話を聞くなんてことはあり得ませんからリアルというのとはちょっと違う気もしますが実に楽しい。

北の町、単身赴任の男と酒場の女将の少しだけ艶っぽい話が会ったことが語られます。ことばの心地よさ。路地っぽいつくりで外で起こることも実に楽しい。あからさまなことはあまり語られずに、想っていること、あるいは相手の素性を知っていることが徐々に見えてくる感じ。こんなにも情念にあふれた、しかし表向きは実に静かな芝居。

工藤姓が多いことをネタにするのは、前回のナベゲン公演と同様、そもそもユニットがそうだし、物語にも取り込んでいます。あんまり繰り返し使っていい方法ではないけれど、確かに実際そういう本名なのだからとっかかりとしては使いやすくて物語導入としてはうまい使い方。

屋台村目の前のラブホテル、土地の料理、土地の酒などさまざまなものさりげなく「借景」。見知らぬ人と屋台で意気投合なんてことが滅多にできないアタシなのだけど、土地にとけ込むようで実に楽しい。

工藤静香の女将、この近さ、色っぽさ。アタシに酒が入ってることを差し引いたってこれなら通うよね口説くよねてな説得力。山村崇子の静かで、しかし芯の強さが印象的。高坂明生も抑えた感じてしっかり。でも実は、物語冒頭ですぐ帰ってしまう初老の男(ここはクレジットされていない)に痺れたりもします。居酒屋では長っ尻せずさっと呑んで次の店と渡り歩く「居酒屋での居方」のようなものが実に自然でかっこいい。憧れるのです。

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旅に出てました。

内容は追々。先週末の予告、書いてませんでした...

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2009.07.20

速報→「明けない夜・外伝」JACROW

2009.7.20 17:30

本編を補完する一人芝居企画。60分強。22,24,26の残り3回公演、サンモールスタジオ。本編の後に観るべし。

事件のその瞬間をゼロとして、一年前から切り取られるそれぞれの事情。

本編に比べて新しい事実はほとんど語られません。全員たちの物語をひとつひとつ。元愛人、職人肌、宗教の、子守、(事件)、経理、社長、めがね、主任、刑事、課長、警官、母親。

間でなにがおこっているか、ひとり5分の一人芝居。ひとりといっても、相手を無対象にしているので一人芝居である必要は薄いのですが、すべて役者の表情を観られます。奥の大きなソファーと縁側の芝居がほとんどなので、やや上手をおすすめ。本編では降っていなかったはずの大雨・雷は心情だとは思いますが、ちょっとつながりづらいのはちょっと惜しい。

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速報「モダン太陽傳~汁屋餡掛~」横浜未来演劇人シアター

2009.7.20 13:00

横浜開港150周年シリーズの最初、横浜未来演劇人シアターの新作。北村想書き下ろしで賑やかなチャンバラ活劇120分。20日まで横浜にぎわい座・芸能ホール。

昭和の初め、金持ちの家を襲っては金品を盗り家人を虐殺することを繰り返してきた夜鴉組は鳴りを潜めていたが、そのリーダー格の一人が襲われる。仕事をした男は牢獄にカラクリを仕込み、味方を送り込み、依頼の仕事の遂行にかける。追っ手は迫ってきていて。

特に前半は残酷非道な殺し三昧のシーンも多く薄暗いシーンも多かったり、前後する物語だったりと物語を追っかけようととすると、必ずしも親切なつくりではありません。子供も多い客席なのでどう見えてるのかしらんとか思いつつ。もちろん、かっこいいキメのシーンやら、見た目に美しいシーンは多数あってそれを観ているだけで楽しいという見方はもちろんありなのです。

中盤の後のほう、地獄にかかわるさまざまな蘊蓄。ダンテ「神曲」を引用しながらの講談師のシーン。アタシがこの作家に感じるある種の面倒くささは、いつものことなのだけど、そのほとんどを一手に引き受けた山口雅義は一人でそれを軽々と飛び越えて圧巻なのです。

シンプルな書き割り風の舞台。タッパを巧くつかいながら、空間をきちんと制圧。吉村公佑はさすがに主役を背負うだけあって軽々と、しかしきちんとかっこいい。

横浜在住なのに初めて入ったにぎわい座・芸能ホールは飲食自由、寄席としちゃ少々大きすぎますが、 気楽に楽しめるさまざまをできそうなちょっといい空間。まあ、今時ペットボトル500mlが170円という売り方をしている売店はどうかと思いますが、持ち込みを禁止されてるわけではないので、隣の100円ショップで入手して持ち込むべし。それでも缶ビール350mlを400円には、甘くなってしまうだめ人間のあたしです。当日券を「横浜開港博のマスコットの付いているものなら何でも提示で前売り相当に割り引く「たねまる割引」はこのお祭り騒ぎの中のやり方としては実に正しいのです。

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速報→「プラチナ」猫☆魂

2009.7.19 19:00

猫☆魂の新作。120分。20日まで駅前劇場。

引きこもりの弟を抱えた女教師はこの世の中心は自分だという視点のblogを書き人気を博し、小説家がそれをネタにしたいといって接触してくる。暴力男から離れられない女は暴力がきっかけで視力を失うが彼女に思いを寄せる小劇場の役者がその視力を肩代わりしようと考える。 病気を告知された男は半ば自棄になるが、挙げていなかった結婚式をしようと考える。

いくつかの物語を並行してすすめ、最後の場所にまとめあげる構成。生のバンドを入れて(劇中でも引用されるSpanish Gauguin)、舞台の上の仕切りを切り替えたりとスタイリッシュな見せ方が巧いのは前に見たときから変わりません。

複数の物語それぞれのピースは単独では既視感もあるものの、丁寧な仕上げ。役者の個性や力をうまく当てはめている感じで不安を感じさせません。が、この完成度ならばそれを組み上げた先に現れてくる作家の何かが観たいのです。小劇場でやるのだから、描きたいことがある、という作家としての衝動がアタシには感じづらい。

秋澤弥里を観るのは今でも至福、美しく想いが体現。杉木隆幸はこの手の悲しさを笑いで隠そうとする中年、みたいなことをやらせると巧いなんてところに感じいってしまうのは、アタシが年齢的にそちら側、ということですが。岸潤一郎も人の良さのようなものがにじみ出る感じ。

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速報→「罪とハネムーン」play unit-fullfull

2009.7.19 15:00

フルフルの新作。100分。20日までせんがわ劇場。

古い下宿。オーナーだった父が亡くなったあと、三回忌までの約束で切り盛りしてきた長女。家に寄りつかなかった父の分まで忙しくしていて母親を早く亡くした原因となったこの下宿を一刻も早くなくしてしまいたいと考えていて。入居者の男たちは、長女に想いを寄せている仲間の一人の想いを成就させて、閉鎖を回避しようと考えて。

家に寄りつかない父親を見て男を信用できなくなり、男に触れられるだけでアレルギーが出る女と、鉄道が趣味で不器用な男の関係を主軸。丁寧に丁寧に。30過ぎの彼らのその想いはちょっとストイックできれいにすぎる気がしないでもありませんが、いくつかある二人のシーンは実に暖かくて素敵。

浮気性のモテ男である次男の軽さ、「誰からみても明らかな幸せ」であるハネムーンに固執している婚約者、男受けが良くてしかし自分で背負い込まないという強さをもっている妹、末っ子体質な三男などドタバタの物語。全体を通して観てみると、いつになく落ち着いた感じと厚みの物語で成長すら感じる仕上がり。彼らとしてのスタンダードになりうる厚みを感じさせるぐらい、彼らの作品の中では群を抜いて深みを増している感じがします。 やけにゲイ・オカマの芝居の多い今週末なのだけど、今作においては、彼自身の悩みのような部分は少なめで、男アレルギーの管理人を物語に繋ぎ止めて、少々説教臭い台詞を口にしても納得感を持たせる巫女のようなポジション。少々デフォルメにすぎる気はしますが、しっかりと物語に組み込まれていて印象的。

終幕近くになって、追われていると勘違いした男のエスケープ劇はフルフルらしい賑やかな感じではありますが、ちゃんとオチをつけているとはいえ、少々無茶にすぎる印象。ドタバタのためのドタバタという感じがあって、全体の中ではバランスは決してよくありません。が、その直後にくる不器用な二人のシーンの静けさが実にいい味をだしていて、この対比は実にいいのです。

正直にいえば、笑いを狙ってどたばたさせても、微笑ましくはあっても爆笑にはつながりづらいというのがアタシが彼らに感じている持ち味なのだけど、今作においては、全体に押さえた感じになっているのが功を奏していて、笑いが取れなくてもきちんと見続けさせる感じがします。

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2009.07.19

速報→「明けない夜」JACROW

20009.7.18 20:00

戦後の誘拐事件二つをモチーフにした90分。26日までサンモールスタジオ。「外伝」と名付けられた本編補完の一人芝居の企画も数回。本編のあとに観た方がいいようです。

社長宅の居間。戻ってこない娘を心配していると、脅迫電話がかかってくる。顔見知りの犯行と踏んだ捜査当局は所轄と本庁のいざこざはありながらも、会社従業員や元従業員の聞き込みを続ける。

扱っているのが現実の事件を痛ましい事件を下敷きにしているというのもありますが、「コメディ要素ゼロの」のうたい文句通り。犯人との行き詰まる死闘というのでもスーパーマンというのでもなく、見えない犯人をこつこつと積み上げ追い込んでいく丁寧なつくり。もっとも、アタシはといえば、わりと早い段階で「犯人こいつだ」と思いこんでしまって(しかもちょっと間違ってる)妙なバイアスをかけながら観てしまったせいで、もうちょっと素直に観ればよかったなとも。

刑事たちの行き詰まる物語、名士だという被害者に対する警察の扱いの問題、痴情のもつれ、一方的な想いを90分に濃縮。実在の事件をもとにする、というと、パラドックス定数が頭に浮かびますが、あきらかな創作であるパラ定に比べると、今作は現実の物語を忠実になぞりながら人物を描き出そうとすることに重きを置いているようです。序盤は、あからさまに「昔の刑事ドラマ」風に物語を運びます。謎解きだけを追いかけようとするとそういうことを舞台でわざわざやる理由が見えづらい感じもしますが、振り返ってみれば、あの時代の人々を丁寧にこつこつと描き出そうとしているということはよくわかります。

昭和30年代風の家具に圧巻。アタシは生まれてない時代ではあるけれど、足のついたステレオセット、テレビ、水平置きでレバーをひねるオープンリールなど、よくぞ探し出したという感じのちゃんと動いている(ように見える)機械に喜んでしまいます。世間全体が上向いていて、今は持ってないけれど少し努力すれば手が届きそうなこういう「もの」たちへの欲求が力を持っていた時代、というのは、物語とは何の関係もないけれど雰囲気を良く描いています。

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速報→「プライベート・アイズ」フライングステージ

2009.7.18 15:00

120分。20日までOFF OFFシアター。

実はゲイらしい高校生の男。演劇部のもう一人の男子に恋をするが言い出せない。中学生の同級生がなぜか頻繁に訪れてある日、一緒に寝てしまう。幼なじみの女子が転校してきた夏の日。

高校二年生、恋愛する気持ちだったりヤりたい盛りだった、好奇心旺盛だったりのさまざま。ひと夏の経験、というのには少々盛りだくさんにすぎる気がしないでもないけれど、「起こりうる」いろんなことを刺激にも笑いにも走らず、ごくごく丁寧に濃密に描きます。 ゲイの、という枠組みから結局は離れられないのだけれど、好きになってしまうということ、それに輪をかけて高校生。制御の利かないこと、ありのままで居ることの難しさをたくさん。

男女の恋愛だけがノーマルとはさすがに昨今思いませんが、ならば好きになってしまったのがたまたま男、という思考停止に陥らず、ストイックな恋愛感情だけではなく、あんまり美しくない「やりたい気持ち」も実にストレートというよりぐちゃぐちゃ。 あるがままの自分たちの状況をここまで追いこんで描き出そうというのは、生半可な気持ちではなくて、劇中にも出てくる「役者は自己表現だから」ということの強さなのだと思うのです。

正直にいえば、120分の中に少々要素を詰め込みすぎた感じもあります。役者のレベルもさまざまで、少々荷が重く感じられるところもあります。舞台としての演劇部まではともかく、心情を端的に表すように使われてはいるものの、演劇のWSのシーンには少々違和感も感じます。

それはもちろんわかった上でやっているはずで、おそらくは一人の高校生のひと夏をきっちり描こう、そのために内面で隠していることも含めてすべてをきちんと描き出そうという真剣な気持ちがそうさせていることを強く感じるのです。

好きになったら云ってみる勇気と、結局は今に至るまで一人であることの現実。親に対してのカミングアウントを描く終幕のシーンはあまりに静かな空間に交錯する両方の想いはあまりに深くて、しかし重いのです。

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2009.07.18

速報→「73&88」カニクラ

2009.7.17 19:30

カニクラ初の書き下ろし。コミュニケーションにまつわる70分。19日までアトリエヘリコプター。

遠く離れているのに突然会話できるようになった二人。あるいは前から「そういうこと」をしていた友人。電話よりも常に繋がっていて。それが別の再会も生んで。

チラシや当日パンフにあるとおり、73&88はアマチュア無線で世界中で通じる「さようなら」。男性に対して73(Good-bye)、女性に対して88(Love&Kiss)。チラシのあおり文句もラグチュー(お喋り)だの、QRZ(誰か当方を呼びましたか?)だの無線用語満載。金曜夜に設定された作演のトークショーによれば、テレパスの話を先に思いついて(そうえいば仮チラシの仮題は「テレパス」だった)、そこから調べてたどり着いたのだといいます。元無線少年のあたしとしては、心沸き踊る感じがしたのは肩すかし感もありますが、それは大きな問題ではありません。

電話のように相手が確定したコミュニケーションでもなく、町中でのナンパのような顔の見える関係でもない、偶然繋がって声が聞こえる感じの独特感。ネットがある昨今ならば、ふつうといえば普通だけど、肉声(のようなもの)が聞こえるというのは、ネットとも違う感覚。限られた帯域ゆえの想像力の楽しさ、不安が具現されている感じ。

普通のバカ話を気負わずしたいという感覚は腑に落ちる感じ。仕事場でもできなくてドキドキしちゃうあたしです。

役者は安定。芝居そのものとしてみると正直にいって、テレパシーという大技を持ち込んだ割には、後半電話との違いが見えづらくて少し残念。不器用なコミュニケーション、という視点が好きな感じだけにちょっともったいない。

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2009.07.16

速報→「ー初恋」世界名作小劇場

2009.7.15 19:30

MONOの名作(1)を若い役者で、味わいの違いを楽しむのです。20日まで711。100分ほど

小さい町のアパート。ゲイばかりが住んでいて、管理人は親の跡を継いで守っている若い女性で。町の雰囲気は迫害する感じになっていて。

昨今のテレビでの扱われ方なら信じられないけれど、町のなかで「そういう」人々をアカラサマに迫害する背景を持ちながら、その空間の安心感、疎外感、対立を丁寧に描く脚本はきちんと健在。

さすがに小屋の大きさの違いはあって、抽象っぽい舞台のつくり。もともとある段差をそのままにして、たった一つの真ん中のテーブルを斜めに置くことで空間を一つにしていたり、無理矢理にでも階上を作るなどホンの設定を規模にあわせて具現。

ここまでのアカラサマな迫害というのは昨今では信じられません。そういう意味では古いホンとも言えます。それでも、人はそれぞれに違うということを、マイノリティの間でも受容できないという視点は今見ても新鮮な感覚なのです。

こいけけいこが実にいいのです。MONOの上演の女優とはかなり異なるキャラクタで、アカラサマに美人には難しい役なのですが、「パーンっと」笑いを取り、並んでぎこちないということの落差をきっちり。腑に落ちる感じが楽しい。

津留崎夏子演じる管理人の居続けること、勘違い感の間がいい。もちろん終幕のシーンも。対峙する窪田道聡は強さ。終幕をドライに感じるのは、これが最後の公演だという劇団のリアルを物語に重ねさせない配慮で潔いということだと思うのです。酒巻誉洋が美しい。ちょっとびっくり。

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その場に居ること、居なくなること。

記憶は怪しいのですが、彼を観たのは「ヒトミ」初演でした。瞬く間に売れっ子になり、誰もが知ってるビッグネームに。間隔は開いても、劇団出演をきちんと続けるストイックさにちょっとしびれる感じの彼なのです。

キャラメルボックスが上川隆也の退団を発表しました。信頼し合ってる関係が生んでいたのを失うのは惜しい。おしいけれども一人で勝手に祝福したいのです。クリスマスを今から楽しみにするのです。

三連休にやけに集中する芝居。コマ不足は深刻で、行けないところ多数。

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2009.07.13

速報→「箱を持っている」あおきりみかん

2009.7.12 17:00

あおきりみかんの新作。90分に、5分ほどのおまけコント付き。12日までシアターグリーンBOXinBOX。

絵手紙教室で出会った女ふたり。一人は女優、ひとりは「嫌われ者」の仕事をしている。人はそれぞれ「箱」を持って見えるようになって、同じ箱をもっていると似ているらしい。でもどうしても納得がいかなくて、互いに相手の交友関係を密かに聞き取りを始めた。

女性作家の人間観察の視線がしっかり。人と人との関係の主観と客観の差、いらっとくる自意識や自己主張の激しさなど。「ありがちな」人の見え方や更には自分がどう見えているかについての、さまざまなサンプリング。あたしには本当のことはわからないけれど、人からどう見えているかについて心を砕く女性というもの、ということを丁寧に、鋭く、少々底意地悪く描くのです。

「自分新聞」なんてものを出そうなんていう了見は、たとえばblogやmixiで自分の日記を書くのが大好きなアタシにもぐさっとくる感覚。それをblogといわず「自分新聞」という形で見せるのも巧いし、そういうのを書き続ける人間は実は人付き合いが苦手だっていう感覚も、アタシには腑に落ちる感覚ですとんとはまります。

自分の主観では、ごくフラットにふつうに会話しているのだけれど、ほかからみればあからさまに悪意があったり、否定する気満々だったりという落差の見せ方がちょっと面白い。あからさまに笑いを取るシーンもあって、すくなくとも日曜夜の回は大受け。微妙なバランスだとは思いますが、アタシには見やすい。

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2009.07.12

速報→「私の頭の中の日ハム」工藤倫子

2009.7.12 14:00

工藤倫子女優生活9周年、とタイトルされた公演。二部構成90分。12日までStudioGoo。

第一部、工藤倫子の女優生活9周年を祝ってのビデオメッセージ集。田中眞紀子、森山良子、櫻井よしこ、中森明菜、布袋寅泰。
第二部、映画好きな子供のために作られた小さな映画館を、劇場として借り受ける条件は最初の一回だけの審査でオーナーの心を動かすことだったが、公演一ヶ月前になってもオープニングのダンスだけしかできていなくて。

YouTubeに乗せられた映像は、どちらかというと第一部のネタ集的な感じで、笑いはほぼこちら側に集約。といっても、さすがに一人で全部をナマというわけにはいかず、ビデオの方が主体になっている感じ。青年団ばかりで観ているとこういう印象はないけれど、大柄で男っぽい感じもあって意外に似合ったりもします。

芝居の方は、ちょっと切ない気持ちも出てくるような味わいの物語。映画好きの少年と、というあたりからローマの休日とかチャップリンを物語に取り込もうとしたことで冗長な印象になってしまっている感じも。終盤であっさりその物語をすてて、初老の男が隠し持っていた自叙伝的物語に移ってしまうわけで、ならばこちらにもっと重きがあったほうがあたしは好きなのです。

StudioGooは初めての劇場ですが、住宅地の路地、きれいめもふつうの一軒家にしか見えないし、玄関もふつうの家。そこの奥に小さいとはいえ舞台のしつらえられたそれなりのタッパというのはちょっと驚く。この場所ならば防音もきちんとやっているのでしょう。金持ちのシアタールーム(AV機器とかたくさんあるような)っぽい広さなのだけど、こんな家あったら、楽しいなぁと思ったり思わなかったり。

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速報→「ひみつのアッコちゃん」ガソリーナ

2009.7.11 19:30

劇場としては閉館の決まった江古田ストアハウスでの、じんのひろあき最終作。濃密で圧巻の120分。19日まで。

実写版「ひみつのアッコちゃん」の主演女優の小学生を選ぶオーディションの最終選考。何万人もの中から最後の5人だが、それは本人ではなく、親への面接だった。

デビルマンの出てこない「デビルマン」や原作のキャラクタが出てこない「ビューティフルドリーマー」(1)と同様、有名な作品をその本人が出てこないつくり、じんのひろあき節が炸裂。アタシは知らないけれど、有名なアイドル・佐藤寛子も出ているらしく、アタシの隣の男三人組は何回目なんて話をしていて。

親へのインタビューを繋いでいきながら、 家庭の様子、親の子に対する想い、子供の辛い経験、親自身の想いなどを緻密に張り巡らします。それぞれの親の語りを聞いているだけて涙がこみ上げてくるよう。親ではないアタシには本当には理解できないことだけれど。よもや窪田あつこで泣かされるとは。

選ぶ側の理由や想いも取り混ぜながら。 誰を撮っても大丈夫という状況で、追いつめられてもきちんと「選びとる」ことが第一歩なのだということを不安に対しても理解を示しつつ、きちんと描き出します。 モラトリアムは何時までも続かない。決めること、それがなにかに「なる」という視点の凄み。 オーディションの現場なんてものは知りませんが、あちら側もこちら側も見えるようなつくりは唸るよう。

時代を切り取る力が圧倒的なのはメトロポリスプロジェクトでもちろん知っているけれど、それを違う軸で作っている感じ。同じ時代に生きる親たちの共鳴と違いとがくっきり。

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2009.07.10

速報→「向日葵と夕凪」七里ガ浜オールスターズ

2009.7.10 20:00

海の見えるバーらしい店。同僚の美術教師だった地域の有名人の葬儀から戻ってきた元教師の男。教え子の男も現れ久しぶりの再会を喜ぶ。もう一人の教え子の女、亡くなった男の娘も姿を見せて。

アタシは未見。98年から99年ぐらいに上演されたようです。女性二人はP.E.C.T.でツアーまで組んで上演したままのキャストなのだといいます。初演されたのだという湘南の小さなカフェレストランの雰囲気(アタシは別の芝居で行っています)あるいは、直接関係ないけれど、湘南の海沿いにある小さな店や夕暮れ近い時間の雰囲気、あるいは初演での役者たちに想いを馳せ、自分の中での補完が、アタシの気持ちをより盛り上げるのです。

でてくる四人の、寄せ木細工のように密接にあちこち結びつく感じは都合がよすぎると言えばたしかにそうなのだけど、ネットで少々ググった初演の時の作家の言葉によれば、「意識的に情緒よりにしている」というのはたしかにそう。わずか60分をほどよい密度できっちりと物語る空気のなかにほろ酔いの気分で浸るのは至福の時間なのです。アタシはこの女優ふたりが、同じ舞台に居ることを目撃できたことが本当に嬉しい。

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夏ですねぇ。

いやはや暑い。半袖のシャツでも暑い。できれば混んだ通勤電車よりはもちょっと遅刻気味のすいている電車で行きたいなと思いつつ、それもままならず。帰りは帰りで暑かったり。

週末はサンダルにカーゴパンツにアロハのようないでたちなので、そう大きな問題ではないのですが、その格好で会社行くわけにもなぁ。いや、ほんとはジーンズも良くないなと思ってはや十数年。

北に引っ越していった方から宅配便らしい。まだ受け取れてないのだけど、クール宅急便、どうやってこの(遊びと仕事で)家に居ないのに受け取るかなぁ。もちろん受け取る気満々で。

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2009.07.09

【ライブ】「AQUA NOME」EPO

2009.7.8 19:00

EPO ( 1, 2, 3, 4, 5) が10年に渡って活動してきたライブユニット、「AQUA NOME」のアルバム発売を記念しての2日間。130分ほど。

ほぼ満員。 円形の劇場。天井を照らす青い光は、金魚鉢かグラスの水の中から、水面を見上げているようで美しい。 中央に四角のステージ。囲んでミュージシャンたち。アルバムを構成する彼らは、中央のEPOを囲むように。特設サイトと同じ雰囲気、パーマ、黒いルーズなワンピース風(どういうの、こういう服)。暴騰はアルバムからの曲を中心に5曲続けて。あちこちに体を向け、全方位に気を配り。

懐かしい曲、ポップな曲を挟みながら(EPO原理主義、なんて言葉で笑いをとりつつ)を喜んで歌ってしまうアタシなのだけど、もちろん曲名はわからないままでもAQUA NOMEの曲もそれなりには聴き続けていればそれなりに耳馴染みにもなってきて、全編楽しい。

それなりに有名曲もあるけれど、こんなにも予習ができない曲ばかり、しかも落差は激しいし、朗読まで混じったり。すべてが彼女だということはアタシはよく知っているけれど、初めて観た人はどう感じたかしらん、と思ったり思わなかったり。

  1. DANCE
  2. AQUA NOME
  3. NOAH
  4. サイレントソング
  5. 100gの金と綿
    (MC)AQUA NOMEのこと。MANDA-LAからとか、40歳になったからからとか。いろんな体験は自分のもの、元気な曲も今は愛おしい。
  6. 私について
  7. でも生きている
    (MC)来年が30周年で。どれが欠けても私ではない。昔の曲も込みで短冊でリクエストを。
  8. DOWN TOWN
  9. 音楽のような風
  10. 土曜の夜はパラダイス
  11. M
    (MC)eponica Recordのこと。ポップも大人の音楽も同じ会社の中にいろんな柱があった昔のレコード会社。そんなことをここでやってみたい。
  12. それでも私は生まれてみたい
  13. どうしてかしら
    (MC)いろんな垣根を越えてやっていけるこのユニットでできること、その一つがMusic&Drama
  14. 創作童話「光になった馬」(朗読・宮川雅彦 )
  15. たったひとつの
  16. 創作童話(題名不明)(水惑星、奇跡とか)
  17. キミとボク
  18. (アンコール1)う・ふ・ふ・ふ
  19. (アンコール2)Glory

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2009.07.06

速報→「スメル」キリンバズウカ

2009.7.5 19:30

キリンバズウカの東京2回目公演。100分。12日まで王子小劇場。

定職につかず納税もしていない地方出身者を出身地に戻すという「東京都永住禁止条例」。東京に残りたい若者がその名目のために清掃ボランティアを行っている、いわゆるゴミ屋敷。一人暮らしの老女だと思われていたが、20年ぶりの帰宅だと娘を名乗る女が現れる。

頼られ続けたいと思う母親という役割。少々突飛とも思える設定だけれども、実に丁寧に描きます。東京に居続けたい若者と独居老人のある種の共生の姿を舞台に、長い間会っていない母と娘の踏み込めない関係を軸に物語は進みます。共生は少々暴走する感もある幕切れですが、物語の主軸というよりは余談ぽい書き込まれ方で、母を描くということに作家の主軸はあるのでしょう。

東京ではないけれど地方出身というのでもないアタシには、チラシにある「上京すること」の想いのようなものは今ひとつ実感をもてませんが、それでも物語の枠組みとなる「永住禁止条例」というのは中国での農民の扱いのようなある種の差別的政策を持ってくるのは、ちょっと面白い感じがします。

娘を演じた黒岩三佳のクールさと、母を演じた稲川美代子の頑固さのようなものの対峙する舞台はスリリングできちんとした緊張感。物語の要請する母娘の関係を雰囲気からも描き出していて印象的です。わがままを許してくれという娘に対する母親のたった一言の返事はものすごく難しい台詞なのだけど、ちょっと凄い。

少し泣いて、日常に戻るという母親の描き方、アタシの母親にも少し思い当たる感じがあって、気持ちを揺らします。平日昼間に設定している作家の母親を呼んでのトークショー、ちょっと見たい気もします。

古い日本家屋風で下手にはゴミ屋敷を象徴するようなオブジェのようなもの。舞台奥には庭に面した格子状の引き戸。引き戸部分を横の格子に、戸袋部分を縦の格子にするというシンプルな作りなのだけど、実に美しくて印象的です。陰になる部分は少ない舞台ですが、役者の表情を漏らさず見ようと想うのならば、中央によった部分をおすすめ。

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速報→「GOOD DESIGN GIRL LOVES ART!」ITO SHINTARO IS A NICE STALKER

2009.7.5 16:00

チャリT企画の伊藤伸太朗の企画公演。女優を山ほど呼んで謎解きめいたしかけも用意しての65分。5日までルデコ5。

■#1「病室の友達」
小学生のイトウローラ、同級生の女の子の見舞いに病院に行く。深刻な病気ではないのだけれど、一方的に想いを寄せて、ついには彼女が見たいと言っていた河童までつれてきて。
■#6「罰当たり」
大学生の彼女と一緒に住んでいる。 自分の書いた日記を読んでいる彼女に自分の書いてる日記が作品のガイダンスになっていくのだという話を始めて。 ■#3「宇宙には行けない」
中学生のイトウロウーラ。夏、従姉妹と一緒に海で遊ぼうという日、同級生でちょっと不思議なことばかり喋っている女の子の家の地下室で。外にはゾンビが迫ってきていて。

イトウローラなる謎の芸術家の死因は何かを謎解きするという「試験」をおこなうという趣向。3バージョン各3話なので、9つの話からなるのだけど、あたしはこのBバージョンだけ。 実際のところ、これをみただけではとっかかりが少なすぎて、謎解きしようという気にすらならないところはあります。見ていないので断言できませんが、全バージョンを見てもあまり変わらない気がします。

なんていう評判を聞いていたからかどうか、最初からそういう気持ちを放棄して観始めたのがよかったのか、女優をめぐる妄想短編が楽しい。ストーカーもどきだったり女の子が取り合いになったりという作家というか主演男の暴走する妄想を短編にまとめた感じ。ロリ趣味だったり、プチエロだったり、キャットファイトもどきだったりと、言葉だけ聞いているとエロ全面だけど、観ている最中はそんな感じではなくて、むしろ気持ち悪いほど「モテモテになる自分」のいわゆる中2妄想が全開な感じで、これはこれでアリだと思うのです。

ハマカワフミエと帯金ゆかりの出演する#3が、みょうなコスプレっぽくて、ばかばかしさの表面と、「シュレーディンガーの猫」を「確かめて見るまでは結果が確定せず不確実のまま残る」恋愛の話に写しているのがちょっとおもしろい。

気持ち悪いストーカーもどきの暴走する想いと、それでも彼が好きでたまらない女の話の#1はまさに「ストーカー」っぽい話で、序盤らしい。

サイトを作ったり、そのチラシをセブンイレブンのネットプリントで配ろうとしたりと、さまざまな試みの心意気はとても好きな感じ。楽しめるバランスかというと微妙なところですが、それはやっていけばすむこと。ネットがある昨今、むしろこういう遊び心が減っている感じがある昨今、これには乗りたいなぁとおもったりもするのです。

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2009.07.05

速報→「7の椅子 5」7の椅子

2009.7.4 19:30

同じタイトルのまま公演を続けるナナイスの新作。5日までメガバックスシアター。「空耳」をキーワードに短編アソートで105分。

卒業して7年目の山の合宿所。去年亡くなった友人たちを悼むために大学の同級生が集まったかに見えたが「空耳1」
車で買い物に出かけた妻が轢いて自宅まで連れ帰ってきてしまった男は、身代金誘拐の金を取ってきた男だった「空耳2」
ホテルのバックヤード。今晩開かれる高名な画家の新作発表だが、その絵が見つからない。そこに現れたのは解決できない問題はないという「空耳3」

それぞれに「聞こえないはずのものが聞こえる」「聞こえない振り」「タモリ倶楽部のコーナー」というタイトルを冒頭に。その言葉に違わないように作られて、カラーの全く異なる3編。最近のナナイスではわりと1本目のような笑い少な目テイストが増えている感じですが、今作ではいちばんの爆笑編を2本目に、3本目もわりと笑い多め。笑いの多い芝居を巧い役者、とナナイスを認識してるアタシにはむしろ何かの馬鹿力のような後半に向けての配列が楽しい。

「1」 同級生といえば仲がいい、というステロタイプを徐々に崩していく感覚は良くも悪くもちょっと気持ちに引っかかります。笑い少なめ、悪い人多かったりキリキリと来そうな感じはしっかりした場所を作る力。山本亜希はこの手の悩める女をやらせると巧い。

「2」 井口千穗の表情で作る「聞こえないふり」芝居が圧巻で印象的。そのカウンターパートにある山口ななも無茶な物語から振り落とされることなくきっちり。物語というよりはくだらない(これが重要なのだ)ワンアイディアを役者たちがねじ伏せ、圧延し、組み上げている感じでコントっぽさがわりと全面に出ているけれど、役者の魅力というだけでなく、言葉の細かい共感できる感じがアタシにはまります。まあ、巧い役者の爆笑編というだけで魅力は十分あるわけですが。

「3」 空耳アワー、というのはアタシも大好きなテレビ番組なのだけど、そのスピリットできっちり組み立てる終盤はちょっといい雰囲気でまとまりもいいのです。途中のドタバタのコミカルさは破壊力という点では2には見劣りするものの、3本全体の最後に置くことでまとまりがいい印象になっていMASU 。ここでも井口千穂の胡散臭いキャラクタが全開で楽しい。

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速報→「UNO:R」アップフロントエージェンシー

2009.7.4 15:00

メロン記念日が定期的に続ける小劇場規模での公演。新たに空間ゼリーの坪田文(作)・深寅芥(演出)を迎えての90分。5日までシアターグリーンBIG TREE。

なにも派手な物はない町。大雨の同窓会の夜。担任だった男は小さな喫茶店を開いて地元に居たが顔を出すことができなかった。二次会には行かず担任を慕ってあつまった仲良しの3人に、同窓会にはやはりいけなかった東京で暮らす同級生があつまる。

ファミリードラマっぽさを中心に据えた「かば」のシリーズ(1)に比べると、過去に刺さった太い棘を巡る、静かで暗い語りを中心とした構成。ある「事件」をめぐっての4人の一人語りは、いわゆるアイドル芝居ではないある種の挑戦を感じます。思いいれがこれぽちもないアタシですら、その落差に最初は戸惑いますが、主演の彼女たちに向かってするするとしっかり収束していきます。

おそらくはメロン記念日の彼女たちには、普段からそれぞれに与えられたキャラクタがあるのだと推測しますが、柴田あゆみはこの物語の中では異質のキャラクタで、馴染んでいない、ということもできましょうが、この舞台の中では首尾一貫して緩急を与えていて、むしろアタシにはガイドのよう。

物語はというと、わりと早い段階で構造は見えてしまいます。複雑さよりは後半一本しかない物語の上を慎重に歩くということこそが、作家にとっても役者たちにとっても挑戦なのだろうと思うのです。

元担任を演じた成川知也は慕われる一方、なんてちょっとうらやましく感じるのは年代の近いおやじ故の感想。妻を演じた平田暁子(年年有魚から一ヶ月でここまで)の少々コミカルさも含めて夫婦という形で「場所」を作ります。 女子高生を演じた空ゼ・西田愛季は主演四人に対峙しなければならない役をしっかり。終盤のコミカルさとの落差を付けた意図は今ひとつ見えませんが、アタシには見慣れた感じの安心感。

まあ、アイドルのイベントな上に三回回しなので仕方ないのですが終演後さっさと出て行けという態度なのはどうなんだろうなぁ。もうちょっと言い方ってものがあるんじゃないかと、思い入れがないアタシは思うのですが。

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