速報→「A面・B面(纏)」渡辺源四郎商店工藤支店
2009.7.25 15:30
渡辺源四郎商店の工藤千夏、工藤由佳子、工藤静香による劇団内ユニットによる企画公演。屋台村「さんふり横町」の二つの店の雰囲気を借景にしての並行上演される物語の片方、纏(まとい)編。35分。26日まで。
若い女将の店。三軒めへのハシゴに出ていった客の後から入ってきたのは東京からという女性が頼んだ料理を出前してもらいに向かいの店に行った女将は、近い知り合いの葬式だったということを知り。
7人ほどの座席のコの字型カウンターを客席、ワンドリンクと小さな一皿。女将と客の物語に耳をそばだてるような物語、どの席に座っても至近距離で更に向かいのもう一つの舞台からも時折声が漏れ聞こえてきて。実際のところ、美人女将はともかく、隣りに座った客をガン見して会話を聞くなんてことはあり得ませんからリアルというのとはちょっと違う気もしますが実に楽しい。
北の町、単身赴任の男と酒場の女将の少しだけ艶っぽい話が会ったことが語られます。ことばの心地よさ。路地っぽいつくりで外で起こることも実に楽しい。あからさまなことはあまり語られずに、想っていること、あるいは相手の素性を知っていることが徐々に見えてくる感じ。こんなにも情念にあふれた、しかし表向きは実に静かな芝居。
工藤姓が多いことをネタにするのは、前回のナベゲン公演と同様、そもそもユニットがそうだし、物語にも取り込んでいます。あんまり繰り返し使っていい方法ではないけれど、確かに実際そういう本名なのだからとっかかりとしては使いやすくて物語導入としてはうまい使い方。
屋台村目の前のラブホテル、土地の料理、土地の酒などさまざまなものさりげなく「借景」。見知らぬ人と屋台で意気投合なんてことが滅多にできないアタシなのだけど、土地にとけ込むようで実に楽しい。
工藤静香の女将、この近さ、色っぽさ。アタシに酒が入ってることを差し引いたってこれなら通うよね口説くよねてな説得力。山村崇子の静かで、しかし芯の強さが印象的。高坂明生も抑えた感じてしっかり。でも実は、物語冒頭ですぐ帰ってしまう初老の男(ここはクレジットされていない)に痺れたりもします。居酒屋では長っ尻せずさっと呑んで次の店と渡り歩く「居酒屋での居方」のようなものが実に自然でかっこいい。憧れるのです。
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