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2009.06.07

速報→「花のゆりかご、星の雨」時間堂

2009.6.6 14:00

役者を総入れ替えしての新生時間堂の公演。黒澤世莉の久しぶりの新作としても注目の90分。14日までルデコ4。客入れ中や終演後を含めて時間堂カフェと題しての提供も嬉しい。お茶もアルコールも劇中で出てくる無茶高価なワインも。

あまり商売になっていないアンティークショップ。閉店直後に飛び込んできた女は取り置いてあったソムリエナイフを引き取りに来たが、それは手違いで常連の客がもって帰ったばかりだった。

母親になる人、父親になる人に向けて、と当日パンフに書いている作家の視線は、自分たちが今ここにいることがその親たちの暖かな気持ちの中に生まれてきたことを丁寧に描きます。みんな可愛がられて育ったのだろうなぁ(いや、アタシ本当は彼らがどうか知りませんが)と思わせるような暖かさにあふれています。

アンティークショップを思わせるような物は、物語のキーとなるナイフ以外はほぼ現れません。役者たちは扇子を持っていて(衣装の腿のあたりに入れていて)、手持ちの小物の多くはそれで表現します。アンティークショップのシーン、特に序盤では音も舞台後方に置かれたさまざまを鳴らして効果音を作ったりしています。

正直に云えば、アタシのみた時点では、小物を扇子にしたことが、違和感を感じさせる原因になっている印象。これは技術の問題なのか、なじみ方の問題なのか、そもそも無謀なのかはよくわかりません。落語でやってることと意図は同じなのでしょう。しかし、暖簾をくぐって盆に乗せたカップとポットを持ってくるために暖簾も盆もポットも同じ扇子でやる切り換えや、傘を持っている手の位置が傘ではなく笠になってしまったりと、そこかしこに無理が出ている感じがするのが残念。

ネタバレ

モノを巡っての過去を見ることができる、というのは少々ファンタジーにすぎるという感はあっても、この優しい物語のなかにはすんなり。過去の場面を二段階で描きますが、役者が若いからか、年齢の進んだ役というのにする説得感という点では少々苦しい。

雨森スウの歌唱の強さはいままでどおりですが、改めて歌声に惚れます。圧巻で、透き通るというのはどう表現したらいいのだろう。終演後のカフェ時間帯にビールを買ってふらふらしていたら、彼女そのまま妊婦の格好だなと思っているとそういえばほんとに妊婦なのだといいます。おめでとうございます、言いそびれたけど。鈴木浩司はわりとまじめな役が多いのだけど、今作においては浮気症のコックという役の軽い感じが実はよく似合っていると感じます。

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