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2009.06.01

速報→「その受話器はロバの耳」青年座

2009.5.31 14:30

土田英夫脚本を青年座で。嘘をめぐるさまざま、というのは得意技ですが社会性まで併せ持つ100分。31日まで本多劇場。

携帯すらつながらないような離島に設置された食品メーカーのコールセンター。元レストランの建物を改装して設置されたため眺めがよく、ベランダもあったりする。現地採用のほか、いわゆる「島送り」になった社員で構成されるが、日に数本のかかってくるだけののんびりした職場だった。ある日、本社から元営業の男が所長として送り込まれる。ここでのんびり過ごしていた同期は優秀な同期の島送りをいぶかしむ。コールセンターの業務規律を立て直すのだと思っていたが、着任して数日で休む暇のないほどの着信数となり。

企業不祥事の時に顧客との矢面に立たされるコールセンターを舞台に、そこで働く人々の胸の内の嘘を絡めながら。アタシも会社員ですから、こういう現場は多かれ少なかれあるわけで、平常心では見られないところがあります。有害物質の混入が判明していてもしばらくは結果的に嘘をつくしかないオペレーターの現場、という企業の嘘の物語を骨格にしながらも、虚言癖から不倫、現地採用と本社社員の気持ちなどそこに居る人々のさまざまなを織り込みながら、「わたしたちの問題」に引きつけて見せます。単に企業の問題の糾弾でもなく、かといってドタバタを単に笑うでもない奥行きの深さ。

コールセンターが地方や外国にあるというのも半ば公然の昨今ですが、本社からの指示と真実と顧客との間に挟まれた現場の疲弊、あるいは派遣こそ出てこないけれど雇用形態の差や遊んでる社員の存在など、地方採用のまじめ一辺倒と思われた社員ですら。もちろん、あまりにも戯画的で誇張が過ぎる点はあって、そういう意味ではリアルはこれっぽっちもないけれど、それでも、 今時の会社の抱える問題の一面を鮮やかに並べてみせるあたり、会社員たるあたしの気持ちが穏やかではいられなくなるのです。

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