« 速報→「ヨシザキ、カク語リキ」バジリコFバジオ | トップページ | 【落語】「三之助をみたかい? vol.9」 »

2009.06.22

速報→「空耳タワー」クロムモリブデン

2009.6.21 17:30

20周年を迎えるクロモリの新作、千秋楽。90分。

息子が女友達を刺して家に戻る母親は知恵を授けて瀕死の彼女を助けて家に幽閉しようと考える。息子は携帯電話を拾っていて、犯人をでっち上げる証拠にしようと警察に提出する。犯人とされた男のアリバイはふらりと入ったという神田駅の薄暗い場所で公演していた芝居、「空豆タワー」のあらすじを説明できるかにかかっていた。それを捜査する女刑事、署長。

荒唐無稽なベースはあるものの、きちんきちんと物語を積み上げて追っていったり、終盤もきちんと収束させていく感じになっているのは実に大人といえば大人の赤坂風味。やんちゃ度合いとか空間制圧とか大爆音とかという点では体温下がっている気もしますが、実にみやすくて物語を追える感じになっているのは広範囲の観客にリーチするような力を感じさせます。

音を重視する作演らしく、序盤は耳に心地いいリズムが続きます。会話の横で繰り返されるような単語は確かに頭の中に響くような感じがあって、台詞のおもしろさもさることながら、頭の中でリズムがずっとなっているようなグルーブ感。いままでは音楽だったり、あるいは一人の台詞のリズムだったものが、なにか重層的な感じに厚みが出来ていて。このリズム感こそが彼らの持ち味だと思うのです。

「お芝居」から派生して オシビーなる丸と三角と四角からなるオブジェのようなキカイで役者の演技を数値化するというネタがちょっと面白い。そのキカイはあたしたちを幸せにするかというのは別の問題だけどちょっといい。演劇をネタにする芝居は数あれど、内輪感に落ちないのも突き抜けてたりバランスがよかったりするのだなぁと思うのです。 観劇マニアを揶揄する台詞にちょっと後ろ指感もありますが、それも十分笑えておかしい。うあ、どんなネタだっけと思い出せない...。

終盤で音楽だけで無言のシーンが連なります。銃が次々と撃たれ人が死にという絶望感一杯に落とし込むかと思えばさにあらず。三つのオシビーに光があたり、セールスの女が祈るような身振りをすると、同じシーンなのに人は死なず、幸せになっていくような終幕に。クロムらしくないといえばそうだけど、現実がこんだけ悲惨ならば、これもありだよなぁと思わせるのです。

すのこ風の板でカウンターのような隠れ場所を作り、そこから上下しながらの出捌けを徹底するのも印象的。特に後半の「撃たれる」シーンではまるで射的の的のようでものすごい効果があります。

なまいき小娘を演じた渡邉とかげ、短絡青年を演じた久保貫太郎に飛躍的な成長を感じさせます。木村美月は公演を重ねるたびに若返っていくような感じ。色気一杯であたしは楽しい。 板倉チヒロのドラッグクイーンぽいのは楽しい。抑え気味の森下亮は新しい感じ。金沢涼恵は上品さを感じさせる役、意外に(失礼だ>あたし)似合う。

|

« 速報→「ヨシザキ、カク語リキ」バジリコFバジオ | トップページ | 【落語】「三之助をみたかい? vol.9」 »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 速報→「空耳タワー」クロムモリブデン:

« 速報→「ヨシザキ、カク語リキ」バジリコFバジオ | トップページ | 【落語】「三之助をみたかい? vol.9」 »