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2009.06.14

速報→「リサイクルショップ『KOBITO』」ハイバイ

2009.6.13 14:30

ハイバイの新作は、リサイクルショップに集うおばちゃんたちの、でも実はとても優しい視点の物語。110分。16日までこまばアゴラ劇場。

リサイクルショップに集まる、いわゆるおばちゃんたち。その中の一人の娘をつれてきて、自分たちで芝居をして見せよう、という企み。無理矢理のように見せることにはなるが、所詮素人で、人の話を聞かないうえにぐちゃぐちゃ。娘は帰ろうとするが、あとから来た客に彼らのありのままを見続けろと云われ、店に隠れて。

大きく分けて二つのパート。群れて話を聞かなくてノイジーで揚げ句喧嘩までしてしまう「野生のおばちゃん」たちの様子を見せる前半。ハイバイ作品にはよく登場する、ちょっと頭のおかしげな演出家品川(本作では物語に合わせておばちゃんだけど)が素人の劇中劇を頼まれもしないのに演出する、というある種のお楽しみパートを経て、おばちゃんたちの過去を振り返る後半。

今現在がどんなに厚顔無恥でもノイジーでも、そこに至るそれぞれの人生を振り返っていくまるで大河ドラマ。地方で貧乏な家に生まれ苦労して東京にあこがれて出てきて苦労続き、結婚しても忙しいばかりでという女、バブルを謳歌し膨らみきった夫婦の生活から急降下の生活という女。

それぞれの生まれは違っても、彼女たちにも結婚(でもあんまり恋の部分は見せない。惰性で結婚という指摘は合ってる気がする)から、幸せは何だろうと自問自答し、やがて子供が手元から去ってしまうという経験は共通。二人にスポットを当てて対比してみせることで、「誰もが通ってきた」時間のおおまかな流れを共通に感じさせるというのは、アタシの気持ちに深くしみこみます。その時間の流れの先にある、いわゆる「おばちゃん」たちの姿という背景の厚みに泣きそうになるアタシなのです。

作家が描くおばちゃんたちに対する暖かな視線。暖か過ぎる感じすらあって、もちろんウルサく感じているいらいらする感じはあるのだけど、その背景を見せることで「一人の女の半生」みたいな厚みがあって、印象的です。結婚前に恋心的なものをみせないようにしているのも、どこかそのおばちゃんたちに対する作家の想いがにじんでいるようで、気になるといえばなりますが、でもそれはあたしたちが持ってる気持ちの断片だとも思うのです。

品川幸子演じる演出家が素人芝居に演出をつける、という場面はアドリブ的なおもしろさもあって圧倒的ですらあります。

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