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2009.06.08

速報→「炭酸の空」津田記念日P

2009.6.7 18:00

冨士原直也の初戯曲を新たな構成で再演なのだといいます。アタシは初見。105分。7日まで王子小劇場。

「終末」を迎えて地上には人間が住めなくなった時代。シェルターに逃げ延びた5人の男女。車いすの女には今は居ない兄の姿も寄り添う。リーダー格の男は毎日の薬や施錠など規律を重んじて場所を維持する。地上は変わることなく絶望的な状況だが、有り余る食料で当面の危機はないが、閉鎖された空間は人々に徐々に影を落とし。

極限状況で破壊されていく人間関係、という様相の濃密な空間。車いすの女とその兄の関係は合間合間に挟まれつつ、終幕近くに至って謎解きされます。この場所になぜ女が残されていたか、リーダー格の男はなぜここに居るのか。

極限状況になったときの人間の行動を5つに類型化する台詞が終幕にありますが、それを体現したような人物たち。もっとも、否応なく意識する終末は彼らに影響を与えているという背景はあるものの、少々全体に唐突な行動が多くて、アタシには箱庭を観察するという以上の姿勢を持つ市座を持ちづらい感じがします。

確定している滅亡ゆえの絶望だけではなくて、もしかしたら行き仰せてしまうかもしれないという別の意味での恐怖があったり、施錠などの規律を嘘でも作ることでこの場所を維持しようとする、という考え方などそこかしこにアタシの興味をひきます。それでも、人々の行動が一貫しない感じが、違和感を残します。

牛水里美はこの手の少女役をやらせると鉄板という感はあります。山本亜希のおもねる表情にやられる相変わらずオヤジのアタシです。

繭のように楕円形に柵で囲み、中央にテーブル、外側に囲みの客席。実に美しく作られた劇場の空間は入った瞬間に息をのむようなすごみがあります。が、この構成ではもとよりどの場所から見ても見えない瞬間は避けられません。たしかにシェルターな閉息した感じはよく出ていますが、彼らと自分たちの間に確かに存在してしまう壁、という感じもあって難しいところ。

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